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読書まとめ『数値化の鬼』→不都合な現実を数値で視える化し、直視せよ

『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』安藤 広大


一言でいうと

不都合な現実を数値で視える化し、直視せよ


概要

数値化する力を高めようと思い、読んでみました。新刊なので図書館の蔵書にはなく、珍しく購入してます。

キャッチーなタイトルの真意は、心を鬼にするために数値化する、だと感じました。人間の心は、易きに流れやすいものです。感情論や曖昧な言葉に逃げずに、自分の不足に向き合うことの大切さが説かれています。

また、サブタイトルにある「仕事ができる人」の共通点は、自分を甘やかさない仕組みを持っていることだと思いました。そのための仕組みとして、数値化は多くの人に適用できる方法です。

私の場合は、数値化したあとの振り返りが不足していたことに気づきました。振り返りの具体的なアクションとして、下記を実施していきます。

  • 時間の家計簿を使って、週次(金〜木)でKPTを振り返り、金曜日にnoteに投稿。

  • 仕事の工数管理システムを使って、週次(土〜金)で工数の内訳を振り返り、月曜日に週報で共有。

  • 仕事の課題管理表を使って、課題の発案者・対応者を集計し、メンバーの定量的評価の基準として使いやすくする(使うかどうかはメンバー次第)。

本稿では、数値化するためのHowを中心に、3点でまとめてみました。


① 曖昧な言葉を、いったん数字にしてみる

情報過多の現代では、曖昧な言葉が過剰に使われており、明確な数字が不足しています。自分の考えを相手に伝えるには、数字よりも言葉のほうが簡単です。しかし、言葉は主観的・抽象的であり、認識のズレを生む原因にもなります。一方、数字で伝えれば認識のズレは起きにくいですが、データを集めたり論理的に考えたりする必要があり、簡単ではありません。数字で考えることを放棄して、曖昧な言葉による言い逃れがクセになると、そこで成長が止まってしまいます。

まずは、形容詞・形容動詞・副詞を数値化することを意識してみましょう。客観的なデータを使って伝えることで、認識のズレを減らすことができます。読書が好き→月に5冊以上の本を読む、図解が得意だ→2年で150本以上の図解を作った、といった具合ですね。

根拠のない当てずっぽうでもいいので、とにかくいったん数値化してみることが重要です。例えば、月に15時間勉強することを目標にしたとして、実際には5時間しか勉強できなかったり、逆に20時間勉強できたりします。そうすると、月に15時間という数値が妥当だったのか、キツすぎた・甘すぎたのではないか、と考えることができます。また、その時点での模試の点数や教科書の進み具合から、月に15時間の勉強で大きな目的(○月の試験に合格するなど)が達成できそうか、修正が必要かが判断できます。


② 行動を分解して、変数と定数を区別する

実際にやっていることを数値化するときは、無意識に行っている行動を分解して考えます。身近な例だと、お米を炊くという行動は、米を研ぐ→水を入れる→加熱する、といった工程に分解できます。

達成したい目的に対して、分解した各工程が変数なのか定数なのかを区別して考えると、どう数値化するかが見えてきます。全体の工数を削減したければ、米を研ぐ時間(無洗米を使う)や加熱時間(早炊きモードを使う)が変数になります。もし炊き上がりのお米の食感を変えたければ、水を入れる量が変数になり、お米の銘柄なんかも変数になるでしょう。

変数が複数あるのであれば、その中で最も重要なもの=真の変数を1つ決めましょう。そして、真の変数をカイゼンするための行動量を最大限増やしていきます。理想のお米の食感を目指して、真の変数を水を入れる量として、少しずつ変えては炊くことを繰り返すイメージです。

行動するときは「これが真の変数だ」と信じ切ること、振り返るときは「本当にこれが真の変数か」と自問自答することが求められます。この辺りのサジ加減については、本書ではあまり言及されていませんでした。これが経験値・ベテランの勘、の正体なのかもしれません。


③ 数値化されたKPIを作り、行動する

行動を促すために、目標をKPIとして数値化します。①で述べたとおり、数値化されていることで、行動量や結果が期待どおりかどうかが明確になります。KPIに沿った人事評価制度であれば、期の終了時に自動的に評価が決定され、管理コストも小さくて済みますね。

KPIを決めるときに気をつけたいことが、目的にしないこと・ニセモノの数値化・確率の罠の3点です。

KPIは目的達成の手段としての目標であり、それ自体を目的にしてはいけません。例えば、「1年以内に1件の提案を実現すること」を目的に、「毎月1件の提案をすること」をKPIにしたとします。このKPIを達成することが目的になると、よく練っていない状態で提案したり、前月のマイナーチェンジの提案を繰り返したりして、行動と本来の目的の達成とがつながらなくなってしまいます。

ニセモノの数値化の例は、「英語力を2倍にする」といった表現です。「○○力」は数字ではなく、数値化できていない言葉です。言葉と数字を掛け算することはできません。「TOEICで800点を取る」「週1回、英会話教室に行く」などで表現すれば、達成できたかどうかは一目瞭然です。

確率の罠の例は、「商談時の契約率を30%以上にする」といった目標設定です。確率のみでの目標設定は、行動量を制限する可能性があります。例えば、契約率がちょうど30%のとき、「今回は断られそうだが次回以降で見込みあり」な新規顧客にアプローチしなくなるリスクがあります。また、商談数が2件・うち契約数が1件の状態だと、契約率が50%なので目標達成になってしまいます。パーセントだけでなく、分母と分子も考慮するようにしましょう。


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