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読書まとめミニ『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』(読書の秋2022)

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』小杉 拓也


概要

読書感想コンテスト「 #読書の秋2022 」でピックアップされていた本を読んでみました。文学部卒だけど、あえての数学本。

本の内容はもちろん勉強になりましたが、それ以外での気づきを3点共有します。


① 図は、理解の補助線になる

わかりやすく説明するための、図の威力を実感しました。

この乗法公式の証明として、ユークリッド(紀元前300年ごろ)の『原論』では下記のように書かれています。

線分が2つに分けられるとき、全体の線分上の正方形は、「2つの部分の正方形」と「2つの部分で囲まれた長方形の2倍」との和に等しい。

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』209ページ

文章だとちょっと何言ってるかわからない状態なので、本書の図を見てみましょう。

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』210ページ

「全体の線分上の正方形」が乗法公式の左辺、「2つの部分の正方形(イ・エ)」と「2つの部分で囲まれた長方形の2倍(ア・ウ)」が右辺を指していることが一目でわかります。美しさすら感じた。

数学では、図形の問題を解くときに「補助線」を引くことがありますよね。下図は別の問題で、直方体の対角線CEの長さを求めるために、補助線EGを引いている図です。

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』450ページ

図形の問題ではなくても、図をうまく使えば、理解を助ける「補助線」になると感じました。どこに補助線を引けば問題が解けるかを考えるように、どんな図を描けば理解を助けることができるか、noteでアウトプットしながら考え続けたいです。


② 公式は、ストーリーを理解して使う

例えば2次方程式の「解の公式」、およそ20年振りに再会しましたが、学生時代に覚えられなかったことだけは覚えてます。登場人物が多いし、プラスとマイナスがごちゃごちゃしてるし、全く意味不明でした。ルートの中に2乗が入ってるところとか、フライパンに鍋を乗せて火にかけるみたいなことはやめませんか。

本書には、この「解の公式」の作り方、そこに至る前段階の「平方完成」の考え方が掲載されています。

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』243ページ

この導き方を見て、私が「解の公式」を覚えられなかったのは、公式の作り方のストーリーを理解しようとしていなかったからだと感じました。導き方の各行でやっていることは、すべて中学数学の範囲で習うことです。つまり、平方完成を使うことを頭に入れておけば、「解の公式」を忘れてしまっても自分で作ることができます。プラスマイナスが出てくるのは、平方根を求めたから、という理由も理解できます。

公式の作り方を理解することは、歴史上の事件をストーリーとして理解することと似ています(文系脳?)。年号や登場人物を単発で暗記するのではなく、事件に至るまでの時代背景や登場人物の意図を理解することで、前後のつながりが見えてきますよね。本書でも、数学や科学の歴史を紹介するコラムが挟まれており、文系にやさしいつくりになっています。


③ データ活用の学習は中学校から

2021年の新学習指導要領から、中学数学の「データの活用」の単元に「箱ひげ図」や「四分位範囲」の単語が追加されたそうです。厳密には高校数学の範囲からの移動ですが、そもそも私の学生時代にはこれらの概念自体が学習範囲にはなかったと記憶しています。中学校からやり直したい。

『中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる』579ページ

「データの活用」に関する学習指導要領の変化は、当たり前のスキル・求められるスキルの変化を象徴していると思いました。リスキリングが叫ばれて久しいですが、義務教育の内容からして、時代の変化や新発見に対応して変化しています。「箱ひげ図」や「四分位範囲」などの用語は知っていて当たり前、という時代に変化しつつあると思った方がよさそうです。


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