恋文も賀状も全部捨てた。最後に残ったのはあの手紙だった。
手紙というのはなかなか捨てられない。特に年賀状のような写真入りのものは気持ち的にもプライバシー的にもいろんなことが気になって結局「もう少し残しておこう」ということになる。直筆の手紙もまた、捨てがたい。量産的に書かれたであろう年賀状などはそうでもないが、時に驚くほど丁寧に認められた手紙など見つけると、その筆跡から当人のことが偲ばれて手放せない。
先日一念発起して実家の片付けに行ったとき、思いがけなく手紙の整理をすることになった。当初の予定は服の断捨離だったが、幼少期に宝物を入