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子宝の家にいったら妊娠した話

私の知り合いに『子宝の家』に住む人がいる。子宝の家というのは私が勝手に名付けただけで、私以外の人は多分この事実に気づいていない。その家は閑静な住宅街にあり、私の知り合い家族がごく普通に暮らしている。ごく普通にと書いたが、子どもが4人いる。私がその家にお邪魔した時は子どもが3人で、末っ子ちゃんはまだお母さんのお腹の中にいた。

最初子どもが3人いると聞いて少し驚いたけれど、まぁそんな子だくさんなお家もあるのだろうくらいに思っていて別段気にはしていなかった。

ある日用事があってお家にお邪魔することになった。家自体はごく一般的な二階建ての注文住宅で、玄関には建てたときにみんなで押したであろう家族の手形が飾られていた。ピンポンを押すと、臨月に近いお腹を撫でながらお母さんがでてきた。私は軽く挨拶して玄関をくぐり、リビングへと続くドアを開けて驚いた。

リビングは吹き抜けで、壁一面に家族の写真や子どもたちが描いた絵や工作が飾られていた。空中にキラキラと金粉のような光が舞い、キャハキャハと楽しそうに笑う子どもたちの声が聞こえた。その様子は小さな天使がたくさん飛んでいるようだった。

「これはすごい…子宝の家だ。」

これが私の第一印象だ。昼間で電気もつけていないのにとても明るい雰囲気で、部屋中に光が舞っていた。お母さんの話を聞く限りいろいろ悩みもあるようだったけれど、これ以上幸せな家があるだろうかと思うほど祝福と愛に満ち溢れた空間だった。

「もしかしたら、私もあやかれるかもしれないなぁ」

そんなことを思っていたら、3ヶ月後くらいに妊娠が発覚した。ちょうど数秘術的にみても家族が増えやすい時期だったのでいろいろ実験的に試していたが、まさか本当に妊娠するとは思っていなかった。

あれから1年が経ち、無事娘が生まれた。もうあの家にお邪魔することは無いかもしれないけれど、また赤ちゃんが欲しくなったら尋ねたいなと思う。

だって、その辺の神社よりよっぽどパワースポットだと思うから。

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