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ネコやこどものいる前で、大人の会話はご用心

愛するペットやこどもの前で、つい「わかってないだろう」と思って大人な会話をしちゃうことってないですか?今日は、実はそういった会話は言語的な問題を超えて思っている以上に彼らに伝わっているというお話です。

今朝起きたら幼馴染から久しぶりにLINEが入っていて、何かと思えば数年ぶりに地元の夏祭りに行かないかという誘いでした。生まれ故郷の小さな村のお祭りですが、ちゃんと屋台も出てビールも飲めて、以前は小さな花火大会なんかもあったりして…成人してからもちょくちょく顔を出している素敵なお祭りです。夫に話すと「ビール飲みに行きたい」ということでじゃぁ行こうか、朝から盛り上がりました。

「飲んだら車で帰ってこれないけどどうする?」

「あ」

「うちの実家泊まる?」

私の実家には去年リビングに馬鹿でかいクーラーが導入されたので、リビングで雑魚寝すればいいか…となんとなく思い浮かべながらそう口にすると、足元でくつろいでいたサーニャ(ネコ)が今まで聞いたことのないような声で絶叫しました。

「二ィヤァァァァァァぁぁぁぁ!」

「え?」

「なになに、どうした?ひーくんしっぽ踏んだ?」

「いや踏んでない、ってか俺動いてない。」

絶叫したサーニャは立ち上がると、この家で一番の特等席になっている安楽椅子の上に登り、地べたに座っている私たちと同じ目線の高さに座りなおしました。

「あー、そういうことか。」

私はサーニャの顔を見て全てを理解しました。彼女は私たちが夏祭りの夜実家に帰って家を留守にするのが嫌なのです。あの絶叫はことばにすると「私をひとりにしないで!」「外泊断固反対!」くらいの意味だったんだと思います。自分のことが夏祭りの予定に含まれていないことが不満で、目線が合うところまで来てアピールしてるように見えました。

サーニャがどのくらい日本語を理解しているのかは謎ですが、私は日々いろんなことを話します。言っても通じないかもしれないので、話しかけるときは頭の中で伝えたいことを映像化して言葉に乗せて届けるようにしています。例えば、夜遅く帰るときは家が暗くなった様子を思い浮かべて「このくらいの時間に帰るよ」と言ったり、暑くなったら冷房のついている部屋に行くようにいうときはその部屋の中を思い浮かべながら涼しくて快適なイメージを作って言葉に乗せて伝えます。

今朝の件も、夏祭りが何かはサーニャにはわからないかもしれないけれど「夜帰ってこない」というイメージは伝わったのでしょう。しかもあろうことかそれを私が夫に提案したので怒ったのだと思います。夜に家を空けるとすごく寂しそうに鳴く子なので…。

これと似たようなことって自分の幼少期にもあったよなーと、懐かしくも教訓的にも思い出したことがあります。

私にはかつて親戚の中にとても苦手な人達がいたのですが、それはなぜかと言うと 母や周りの大人がその人達に苦しめられた話を散々聞いていたからでした。彼らは私にその話を聞かせている訳ではなく、電話や親戚が集う席で昔あったあれこれを話題に上げているだけなのですが、無自覚に投棄されたゴミのようにそれらは私の中に溜まっていきました。

1番強烈な思い出は、母が電話口に向かって『あの人達には私の子どもは絶対に見せない!』と叫んでいる光景です。もしかしたらまだ小学生に上がる前の記憶ですが、夜な夜な電話にかじりついて怒りを表す母の姿を鮮明に覚えています。母と彼らとの間に何があったのかを理解するのはもっとずっと後のことですが、とにかく母を苦しめた人等として私の中にはインプットされていました。

その後、元々は母のものであった怒りと悲しみの種が私の中で芽吹き、色んな人から無意識に聞かされた有象無象の話が葉を茂らせ幹を育て、私の中で1つの呪いとして立派に育ちました。この呪いは母が彼らと友好的な関係を取り戻した後も私の中に巣食いつづけ、事あるごとに出てきては私の心を乱しました。

当時は『母を苦しめた人達を私は許さない』みたいな大義名分の元常に臨戦体制をとっていたのですが、母の中で過去の出来事が消化されていくのを見ているうちに私だけいつまでも呪いを持ち続けても意味がないことに気がつきました。

それからは本を読んだり、色々な方法を試して少しずつ呪いを消していき、ここ7年くらいで私の中にあった呪いの木はほぼ完全に消えました。私の中で消えてきたタイミングで、母の中にまだ残っていた残滓に気がつき、今は懐かしく微笑ましく見ています。

呪いを消すのには苦労しましたが、母や周りの大人達のことを恨んではいません。大変だったけど、この7年で色々と気付いたこともあったのでむしろ私には必要な経験だったのかなとも思います。

でも、いつか自分に子どもができたら気をつけないと…無意識に変な種植え付けたくないですよね。

【ネコや子どものいる前で、大人の会話はご用心】

無自覚に放ったその言葉が、いつか望まない花を咲かすことのないように…

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