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明日ともだちがLINEから消える

「そういえば、10月にLINEがヤフーと統合するからLINEやめるね。」

何かのサブスクを解約するくらいの質量の無さで、通話口の友人はそう言った。今だってLINEで通話しているのに、そんなことは全然関係ないみたいだった。

「え、なんで?」
「ヤフーあんまり好きじゃないから。信用の問題かな」
「ヤフーと統合するんだったらやめてやるぞと」
「そういうこと。」
「じゃぁ、これからいろんな人との連絡どうするの?」
「SNSは他にも色々あるし」
「そうだね、WhatsAppでも入れてみてよ」
「WhatsAppいいね。世界中で使われてそう」
「っていうのは冗談だよ。世界中で使われてても、周りの人がやってなきゃ意味ないんだから」
「私と連絡取りたい人にはWhatsApp入れてってお願いする」
「それは…悪くない考えかもしれない笑」

とにかく彼女の意志は固かった。現在の日本でLINEを解約しますなんて私にとっては電気の契約を辞めるくらいのライフラインの切除に思えたけれど、彼女にとってはそこまで重要ではないようだった。他に替えが効く単なるひとつのアプリでしかない。

「最近、若い子の間ではLINEってそんなに交換しないらしいよ。」
「あー、インスタ交換するんでしょ?確かにいきなりLINEの交換は心理的ハードルが高い気がする」
「うん。だからもうLINEはなくてもいいんだよ」
「いやいや、でもそれは逆にいうとLINEはより身近で親密な人との連絡手段として使ってるってことだと思うけど…あともう、我々はそんなに若くないんだよ。」

彼女はそうだね、と言って笑っていた。

「でもさ、いい機会なんだよ。LINE知ってるけどもう何年も連絡取っていない人もいるし。そうゆうのも整理できる良い機会だと思う。」

そして数日後、『ご連絡』という表題の業務メールみたいなLINEがきた。LINEを辞めるから、連絡取りたい人は別の手段でお願いしますという内容だった。彼女の文面の潔さに、しばらく笑いが止まらなかった。

こんな風に自分の好き嫌いに正直に生きれたらいいなと思う。好きならやればいいし、嫌いならやめればいいんだ。周りなんて気にする必要はない。

生き方が誰かに勇気を与えるってこういうことか。
ステキなものを見せてもらった。

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