記事一覧
今泉力哉作品の民俗学的想像力
はじめに3年ほど前、今泉力哉監督の発言がTwitter上で炎上した時に、自分は以下のような記事をしたためたことがあった。
その時の顛末は上記記事を読んでいただければ幸いである。ちょうど当時、劔樹人氏原作の「あの頃。」が今泉監督によって映画化され、これがとてもよかったということもあり、自分は今泉監督に親近感を抱いていた。そして、当時のネット世論上での彼に対する批判と擁護、どちらも筋違いだと感じたた
アンジュルムのヲタクが愚痴垢を叩いてはいけない幾つかの理由
はじめにさて先日X上でも書いたのであるが、「例の件」が突如出来したため、アンジュルムのヲタクは少なくとも年末までは、なるべく発言に気を付けなければならないことになってしまった。
特に自分のような人間は、基本的に「誰も敵に回さないような発言」をする術を知らない。なので年末まではnoteの発信自体を控えようと考えている。ところが困ったことに、自分などよりは平和主義者の集団であるはずのアンジュルムのヲ
9/2 続・「声出し」の法と道徳
さて、今日はこの話の続き。それにしても上國料萌衣さんの汎用性が高すぎる。このnoteのヘッダーに使うの何度目だろう…
ちなみに自分は「新規」と「古参」だと、どちらかと言えば「古参」に同情的な姿勢でこの記事を書いたところがある。繰り返すが自分は隣の人が声を出そうが出すまいが、割とどうでもよい。ただ推しグループの現場について考えると「古参の声が高らかに響きつつ、新規もどんどん入ってくる」というのが活
9/1 TOKYO GIRLS DO SHIT A? -仮説提示のすすめ-
さて、ようやくNewJeansおじさんの話に戻れるぞ。
今日は既にネットミームと化してしまった「東京の女の子、どうした?」の話をしたい。実は自分、このフレーズを見た時にすごく懐かしい気分になってしまった。
まず「東京の女の子」というフレーズ。これ自体が岡崎京子の『東京ガールズブラボー』を彷彿とさせる。すなわち作品のテーマとなった80年代前半から作品が書かれた90年代までに有効だった概念なのだ。
8/31 続:ジャニー喜多川氏を泣いて斬るために
さて、ジャニー喜多川氏の件についてもう一つ論点が残っているので、今回もその話を続ける。
件の報告書を読んでいて興味深かったのが、1999年の文春報道裁判でジャニー氏が敗訴していたという話である。ところがその後もジャニー氏の性加害は止まず、ジャニーズ事務所はご存知の通りさらなる隆盛を続けた。そのことを指して「けしからん!」という人は多いが、やはりここでも「何故?」と考える人は少ない。つまり、この報
8/31 ジャニー喜多川氏を泣いて斬るために
ジャニー喜多川氏の過去の性加害をめぐる報告書で世の中大騒ぎになっている。
ジャニー氏を非難する声がさらに高まる一方で、ジャニーズファンの間からは証言の信頼性などをめぐってジャニー氏を擁護するような声も挙がっている。折角なので71ページにわたる報告書を自分も読んでみたのだが、その中で自分が一番気になったのは、「何故彼がそのような行為に及んだのか」ということであった。
この件に限らず、批判対象の当
8/30「声出し」の法と道徳
昨日(と言ってもジャニーズのアレが放流される前だが)このツイートがネット上で物議を醸していた。
このツイート自体のツッコミどころ満載ぶりには他の人も書いているので触れない。それに自分の興味は特にアンジュルムのような現場「盛り上げたい古参」と「新規」がどのように共存するかにある。それに関して、林拓郎さんがこんなことを書いていた。
これは確かにその通りである。「盛り上がりたい」人は周りに一言ことわ
8/29 歴史の終わりとNewJeansおじさんワンダーランド
さて、昨日の話の続きなのだが、若い友人から「New Jeans」ではなくスペースを空けずに「NewJeans」なのではないかというご指摘を頂いた。確かによく見るとそうなので今後はそう表記することにする。ただ、今後自分が「NewJeansの話」をすることはほとんどないだろう。自分が興味があるのはNewJeansではなく「NewJeansおじさん」の方であり、それは「感度の高い人たち」とも換言可能だか
もっとみる8/28 「言及したら負け」なネタとしての「New Jeansおじさん」とどう向き合うか?
ということで短文キャンペーン二日目。昨日の記事の続き。
「New Jeansおじさん」というのは、とにかくどの角度からであれ「言及したら負け」なネタである。
まず「自分は特に関心がないが」という前置き付きで何かを言っても、「本当は興味あるくせに興味ないって言ってるだけなんじゃないの?」と痛くもない腹を探られてしまう。ちなみに自分は本当にNew Jeansには興味がない。だが、「ないことを証明す
8/27 IVEおじさんの東シナ海
「New Jeansおじさん」という言葉が知らないうちにミーム化しつつある。自分は最近Twitterをほとんど見ずに奥の院に潜んでいるので、親しくしている人たちが持ち込んでくる話題が全てというところがあって、それはそれで情報が厳選されるのでよいのだが、そうした人たちのうちの一人(New Jeansファン)が、とにかく自分にそのグループを一度観てほしいというもので、とりあえずMVだけ観てみることにし
もっとみる「黒い白鳥」の行方〜Juice=JuiceとBEYOOOOONDSを「反脆弱性」から考える〜
はじめに:BEYOOOOONDS恐るべし2023年に入って「TWO OF US」がスタートして以来、Juice=JuiceとBEYOOOOONDSの共演機会が増えるようになった。自分はアンジュルムとJuice=Juiceを主現場にしているヲタクだが、そんなわけで今年は自然とBEYOOOOONDSのパフォーマンスを目にする機会が多くなったのである。
考えてみると、Juice=JuiceとBEYOO
どっちも、いっちゃう!?:「倫理的問題行為に加担した表現者をどう扱うか」問題についての原則論
はじめに:※この記事は原則論であるここ数年、いわゆる「キャンセルカルチャー」の問題が何かと話題にのぼるようになり、このnoteでも何回か取り上げたこともあった。ハラスメントなどの倫理的問題行為に直接的、間接的な形で加担した表現者の作品を、どう扱うのかという問題である。
ただ、そうした自分の記事群を改めて読み直してみたところ、どうも話が枝葉に入りすぎているな、という反省を抱くに至った。この問題系全
上國料萌衣のアンジュルムならとっくに始まってる
はじめにそんなわけで、6月21日に横浜アリーナに行ってきた。そして公演を観終わった後、自分は一つ心に決めたことがあった。
それは、竹内朱莉の卒業公演の素晴らしさや、彼女のリーダーとしての偉大な事跡について、今後自分は語らないようにしよう、ということである。
その理由の一つには、「そんな当たり前のことは自分が語るまでもない」ということである。実際、既に卒業公演後、有名無名の様々な人々の口から竹内
卒業後世界に飛躍する竹内朱莉さんに書いてほしい外国語
これまでの投稿はこちらからご覧ください。
はじめに先日、竹内朱莉さんの書道展『煌々舞踊』に足を運んだのだが、その前に、ヲタ仲間から「竹内さんの在廊確率が異様に高い」という話を聞いた。
それを聞いた自分は、少し困ったな、と思った。自分は彼女に対する大きなリスペクトを抱いてはいるものの、いわゆる「クソデカ感情」を抱えているタイプのタケヲタではない。おそらく竹内朱莉さんは「クソデカ感情」型のヲタクに
Juice=Juiceの「風林火山」〜武道館で川嶋美楓に見せた「三顧の礼」〜
そんなわけで、5月29日に行われたJuice=Juice10周年武道館公演を観に行ってきた。
前回に引き続き素晴らしい公演だったが、今回は公演内容について細かくは論じない。自分が抱いた感想としては、2月の武道館公演で見せたグループとしてのステップアップに加え、さらに着実な積み上げをしているな、というものだったからだ。植村あかりの「存在としての凄み」、段原瑠々の変幻自在ぶりと井上玲音の力強さ、工藤
「凱旋」で喧嘩してんじゃねーよ:川村文乃「凱旋」騒動まとめ
はじめに5月14日に行われるアンジュルムの愛媛公演をめぐって、ちょっとした騒動が持ち上がっている。
自分は最近ほとんどTwitterにいないので仲間内の伝聞で知ったのだが、何でも高知県出身の川村文乃さんの「凱旋」企画を愛媛で行うことを呼びかけるアカウントがTwitter上で立ち上がったというのだ。残念ながらそのアカウントの元ツイートは既に削除されてしまっているのだが、
①高知県出身の彼女の「凱