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The Planet Magazine Wombat

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ライアル・ワトソン博士によるとWombatとは世界で一番役立たずの動物だそうです。20世紀に4冊だけ丸い地球のプラネットマガジンWombatは雑誌として講談社から刊行されました。…
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#政治

精神的文化と物質経済の統合へ

「ダグラスは単にマクロ経済的合理性の視点でベーシックインカムを提示をしたのではありません。彼は雇用による所得、働かざるもの食うべからずという思想を正当化している人間観、労働観からの転換を主張しました。これが大変面白いユニークなものです。彼は技術者として生産と労働の現場を直に体験し、よく知っていました。そして自分の体験を踏まえて、生産はほとんど道具とプロセスの問題で、人間の個々の労働が生産に果たす役

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ダグラスのシステム欠陥是正のための3つの政策提言

「ダグラスは単に構造分析をしただけでなく、エンジニアらしく、どうしたら企業会計と銀行金融のシステムの構造的欠陥を是正できるかということで、具体的な政策提言を行っています。その提言は3つあります。まず、第一に銀行の私的信用創造が経済の歪みや不均衡の根本原因なので、政府が公益事業として通貨を発行して、利子なしで社会や企業に供給すべきであるとしています。一国の生産と消費を均衡させるに必要な通貨の量という

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お金が世界政治そのものだ

「イングランド銀行が近代のすべての銀行の原型です。その背景には国際商業の発展があったわけです。17世紀イングランド銀行から19世紀の金本位制の時代あたりまで、完全に貨幣フェティシズムに支配されたのが近代と言う時代ではないかと思います。それが20世紀に入ってから銀行業界は中央銀行の形をとってカルテルを形成し、さらに金本位制が放棄されて、貨幣は紙幣と言う法定通貨になっていた」

「その結果として、悪い

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功利主義でも理想主義でもない道としてのデモクラシー

「もっとも深刻な問題は、人間には動物のような集団形成の本能が存在していないことです。しかも人間は労働分業の下で社会的協力なしには生きていけません。人間はこのディレンマを本能ではない創意工夫によって、文化と政治によって解決するしかありません」

和をもって尊し。日本の文化と政治の原点を改めて想う。和をもって尊しがいつのまにか同調圧力へと変節してしまった日本の歴史も想う。

「功利主義者や唯物論者は、

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政府の新しい役割

「政府通貨の場合、政府の課題はできる限り客観的な国民経済計算に基づいて企業経済に通貨を過不足なく供給することであり、それによって企業経済の反映が教育医療福祉など国家の公共サービスに使える富の余剰を生み出すのである。だからここでそうした公共サービスの財源となるのは、過去の企業の収益と家計の所得から税として差し引かれた富ではなく、政府による適切な信用の管理によって新たに生産された富なのである」

「政

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