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アメリカの大学で教えてみないか(5):お金の話

大学の先生ってお金なさそう...
もっと豊かなでセレブな生活がしたい...
そう思ってる人にこの仕事はやっぱり向いてないかも。今日はお金の話。

ズバリ、僕の子どもは二人とも「学者なんて絶対嫌だ」って思ってます。一人は医者になり、一人は外食産業で一発当てようとしてます。僕の家にお金がないのを見て育ったからねえw。

長男も次男も最初から州外の大学に行くなんてのは学費の問題で想定外。僕が教えてるLSUに州内生として行ったので、学費は無料。その後で医学部に行った長男は、僕が学費を出せないのを知ってるので、「期待してないよ」って自分で学資ローンを申請しました。今や負債が25万ドル以上(3000万円弱)。全くもって申し訳ないw。

大学が給料から天引きして足してくれてる年金があるので、老後の生活には困りませんけど、それ以外には貯金もほとんどありません。

僕の給料は決して高くありません。今の時点では日本の国立大学の先生と同じくらいでしょうか。何年か前はもっと低かったです。贅沢はできません。お金の点ではね。

ただ、前にも書いたように、僕の年俸は9ヶ月です。残りの3ヶ月は自由です。その気になればお金も稼げます。そう考えると、そんなに悪い仕事じゃないかも。

以前、同僚と「生まれ変わったら何になる」って話をしましたが、期せるかな、同じ答えになりました。「学者、ただし、今より2倍以上稼げる医学部の教授」ですと。

で、僕はお金を稼ぐ代わりに「楽しいこと」をやって来ました。この間まで乗ってた世界一周クルーズは今年で4回目。累計では60日近くになります。地球半周以上。大事なのはこれ、「タダ」ってことです。講演をして無料で乗る。無料のバケーションですね。

大学の先生って、こういう役得が結構あります。

自由な時間があったから、1993年、当地であった「服部剛丈くん殺人事件」の裁判で、お父さんのボランティア通訳をすることができ、その後のホワイトハウス訪問に繋がったり、銃規制の運動に参加できました。

年に1回か2回行く学会は、観光気分で行けることが良くあります。アトランタ、サンフランシスコ、北京...。その気になればもっと海外の学会にも。

最近のパターンは夏休みに1ヶ月半、冬休みに1ヶ月、日本で過ごします。基本的には無職。実家に滞在するので生活費はかかりません(とーちゃんかーちゃん、ありがとね)。ただし、飲み代は稼がないとw(下記)。

他に、自由時間を使ってやったのは、
*1996年、アトランタ五輪で日本の放送関連の視察団の通訳
*1998年、長野五輪、国際放送センターのボランティア統括(これはサバティカルっていう6年に1回、半年間の有給休暇を使いました)
*2001年、サッカー、コンフェデレーションズカップ、新潟会場の国際映像制作コーディネータ
*2002年、サッカー、ワールドカップ組織委員会、埼玉スタジアム(国際映像制作担当)
*2010年からほぼ毎年 慶應大学、大学院で集中講義(飲み代稼ぎ)
*2011年から毎年 獨協大学総合講座レクチャー(同上)
*2013年から毎年 獨協大学ゼミ英語指導(同上)
*スポーツコラム執筆
*スポーツウェブサイト編集顧問
*とある英和辞典のサッカー、野球、社会学用語の監修
*日本語書籍を3冊出版
*2020年東京五輪 放送関連事業(予定)

2014年はブラジルワールドカップに誘われましたが、「飛鳥」の乗船と被ったので2人の子どもにバトンを渡しました。ちょうど日本からリオデジャネイロに向かう次男が乗った飛行機がケネディ空港から離陸するのを、自由の女神の前を航行する「飛鳥」のデッキから見た、なんていう経験もしました。

結構楽しそうでしょ。オリンピックやワールドカップなんて「お祭り」だから仕事してる気がしません。基本的には遊びです。

で、ポイントは、これ大抵お金になること。つまり、遊びながらお金がもらえる。

つまり、お金で贅沢はできないけれど、気持ちで贅沢ができるのがアメリカで教えている副産物です。南部の田舎は物価も安いので、28年前に800万で買った自宅は今でも2000万円代。それが550坪の土地付き、建坪60坪です。

見出し画像は去年わんこを連れて行ったアラバマ州のコンドミニアムのベランダからの眺め。わんこOKの海岸なので、ビーチからはちょっと離れてます。子どもが小さいうちはビーチ目の前のコンドに毎年行ってました。何もしないでベランダでワイン飲んだり、泳いだり、海岸で釣った魚や裏の湾で取れた蟹を料理したり。イルカも現れます。とにかくゆったりでした。自分で料理するので1週間いても安いものです。

冬は子どもとスキーで、それが高じて次男が日本でスキー学校の先生になっちゃったのは前に書いた通り。スキーしない奥さんはゲレンデが目の前にあるロッジで料理作りながらベランダでワイン飲んでました。

ところでアメリカは「年齢差別」だという理由で「定年退職」というのがありません。日本では同年代の友人が退職するのに僕はその気になれば80歳になっても今の仕事に留まることができます(しませんけど)。

アメリカでは仕事は「必要悪」だから、早いうちにリタイア(引退)できるのは「成功の証」です。なのでいい歳してまだ仕事してるのは「かっこ悪い」んです。でも、その気になればずっと仕事していられます。こういう自由って日本にはないんだって気がついたのが最近のこと。

ね、悪くないでしょ?

でもやっぱりお金はないなあw。

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人とは違う視点からの景色を提供できたら、って思ってます。