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第54回:短くも刺激的な物語たち

こんにちは、あみのです。今回の本は、『5分後に猛毒なラスト』という短時間で人生を変える(かもしれない)「5分シリーズ」の作品です。今作は文庫ではなく単行本。

先日、このシリーズの感動系の巻を読んでとても面白かったので、他の巻にも興味を持ち、図書館で借りてみました。この前は感動とか心温まる話に特化した巻だったので、今回は雰囲気が異なるホラー&サスペンス寄りのテーマをチョイス。

この1冊で、スパイスの効いた短編が10本楽しめます。日常に潜む恐怖からファンタジーまで、様々なジャンルの短編が収録されているので、読めばきっと好みの「猛毒」な物語に出会えると思います。

作品概要(出版社作品紹介ページより)

この刺激、クセになる!小説投稿サイト「エブリスタ」に集まった7万作超の中から選ばれた人間の闇ばかりの短編集。生きているからこそ生まれる欲望、憎悪、嫉妬……痺れるような刺激満載!

感想

ホラーやサスペンスの醍醐味である「驚き」を、短くも印象的に味わうことができたアンソロジーでした。テーマが「猛毒」なだけあって、後味が悪かったり、ブラックユーモアがふんだんに盛り込まれていたりする作品ばかりでした。でもこれはこれで良い。

この物語にはどんな秘密が隠されているのだろうか、と想像を膨らませながら読み進めることができ、闇の深いラストに驚愕する。この無限ループがたまらないアンソロジーでした。

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私が今作でも特に刺激的に感じた作品が、『美味しいモノに私はなった』『トタニさんが来ない。』の2本。両方とも冒頭から嫌な予感しかしない物語で、今作のコンセプトにとても相応しい内容でした。

前者は、主人公と「天使」を名乗る美しい少年との交流の物語。この少年が主人公に接触した理由とは何か。きっとおぞましい結末が待ち受けているのだろうけど、不思議と読み始めたら止まらなくなる作品でした。ラストシーンはエグいけど、表現の仕方が個人的に好きでしたね。

後者は、奇妙な運送業者の「トタニさん」に惹かれる主人公の姿が描かれた物語。トタニさんとは一体何者なのか、彼が運ぶ「白い箱」の正体とは。「人の死」が身近に感じる物語の世界観や、トタニさんのどこか不気味な演出に最初から最後までハラハラした作品でした。個人的にはこれ1番戦慄したと思う。

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読んでいくうちに「面白さ」へと変貌する「猛毒」な物語たち。私もすっかりこの「猛毒」に魅了されてしまいました。優しい物語も好きですが、たまにはちょっと毒のある物語で気分転換してみるのも悪くないですね。

感動系だけでなく、ホラー&サスペンス系の5分シリーズももっと堪能したい!と思えた1冊でした。さて、次はどのテーマを読んでみようかな。

今回も私の感想を読んで頂き、ありがとうございます!
ちなみに先日読んだ「5分シリーズ」の感動系の巻とはこれです。

優しめな物語を好む人はこちらをぜひ。文庫&傑作選なので、5分シリーズを読んだことがない人には特におすすめかもです。

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