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第42回:ネメシスⅢを読みました

こんにちは!あみのです。今回の本は、テレビドラマ『ネメシス』のノベライズの3巻です。(レーベルは講談社タイガ)

ノベライズの既刊が面白かったので、ドラマも毎週見ています。基本的な内容は同じですが、一部の謎の描き方など活字との違いを探す楽しさもあるドラマだと思っています。ドラマ独自の謎が全体を通して描かれるのもわくわくしますね!

さて今作の著者は、周木律さん。高校生のころから大好きなミステリー作家のひとりです。

「ミステリー」というジャンルを得意としながらも、作品によって違う顔を見せてくれる印象がある作家さんですが、今回の『ネメシス』ではどんなミステリーの形をぶつけてくるのでしょうか?

あらすじ(カバーからの引用)

 探偵事務所ネメシスが手がける次なる依頼は、お嬢様女子高で発生した教師の自殺事件。探偵風真は現場に赴き、助手のアンナは女子高生として学園の潜入捜査に挑む。他殺の疑いは残る中、容疑者はなんと学園152人全員。しかも、誰も犯行を目撃していない衆人環視の密室状態。ネメシスはAI研究者・姫川の力も借り捜査に当たるが。小説オリジナル「名探偵初めての敗北」も収録!

感想

3巻はドラマ版の4話にあたるエピソードと、ノベライズ版限定エピソードの豪華?2本立てでした。

前者は女子高を舞台にした学園ミステリー、後者は将棋をテーマにした回と印象が異なる内容ではありますが、どちらのエピソードでも「AI」が物語の重要なカギとなっていました。

今作では、姫川という若きAI研究者が新たな仲間として登場します。彼は究極のAIを追求し、日々開発に臨んでいます。

今回、風真とアンナが挑むふたつの事件は、姫川にとって「理想のAI」に対する挑戦の物語でもあったと思います。

AIによって暮らしが豊かになりつつある世の中ですが、読み進めていくとAIの弱点や人間ならではの強みが物語から見えてきます。物語のもうひとつのカギを握るのが、本物の人間が持つ「感情」だと思います。

ふたつの事件にて指摘されたAIの弱点は、人間の「感情」にまつわるものが多かったです。これは、姫川のようなAI開発に挑む人々が今後乗り越えるべき壁でもあると思います。

この壁を乗り越えたとき、私たちの生活には何が待ち受けているのだろう?今回のお話は、そのようなことを思わず考えてしまった回でもありました。

もしAIだけで世の中が成り立ってしまったら、「便利」という言葉を超越した逆に不安な世界になりそうだと個人的には思います。

だけどこれは現状における考えであって、今回描かれたような弱点をAIが乗り越えたら、もしかすると予想以上に豊かな社会になる可能性だって充分あるのかもしれません。

AIと本物の人間、それぞれの良いところを活かしあった社会を目指すことが1番望ましいと私は思いました。

また個人的に「学園ミステリー」というジャンルが好きなので、1話目は現時点で1番面白いと思ったエピソードでした。「女子高生」としてハチャメチャな潜入捜査を行うアンナの活躍、ドラマではどう演出されるか楽しみです。

2話目はノベライズ版オリジナルのエピソードではありますが、普通に1時間ドラマを見たのと同じくらい濃い内容でした。機会があればこちらも映像化してもらいたいものです。

次巻の担当作家は降田天さんとのこと。降田さんは個人的にあまりなじみのなかった作家さんなので、これまで以上に内容にドキドキです。

また同時発売される5巻では、藤石波矢さんが描く風真&アンナに再び会えるとのこと。こちらも4巻同様待ち遠しいですね。

今回出てきた姫川をはじめ、黄以子や星くんといったこれまでの脇役たちのノベライズ版での再登場はあるのでしょうか。ミステリーだけでなく、個性的なキャラクターの活躍にも期待できるのがこの作品のよいところだと思います。

ドラマで描かれる謎だけでは物足りない人、何度もネメシスの魅力的なキャラクターを楽しみたい人には、ぜひノベライズ版もドラマと一緒に楽しんでほしいです!

★1,2巻の感想※ドラマ放送開始前に書いた記事です


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