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愛知•静岡には「カラフルさ」が足りない!〜人口流出について思うところ

愛知県・静岡県の人口流出について、僕も地域(静岡県浜松市)の法人のイチ経営者として他人事ではなく、自分(たち)なりにできることはなにか考え行動する日々です。今日も、愛知・静岡……のみならず日本の各地域の人口流出をどうしたらよいか? その思考と試行の過程で気づいたこと、思ったことを発信します。


1.「文化度」の低い地域は求心力も低い

このブログ、および最近の僕の講演や企業顧問活動などで強調しているのが地域の「文化度を上げる」こと。

こういうことを言うと、地域の人から「文化度、決して低くないと思いますよ。音楽の演奏会も増えてきましたし、美術館もあります」などと言われることがあるのですが、ううむ、そういう文化のことではないのですよ。
(もちろん、そのようなアート&カルチャーのような文化度も大事ではありますが)

文化(度)なる言葉はふわっとしており、僕自身もまだ十分に言語化できておらず、ここから様々な人と対話をしつつ、試行錯誤して解像度を上げていかなければいけないと思います。

今(現時点で)の僕なりの文化度の解釈を示すならば……

・仕事のやり方、コミュニケーションの仕方などがモダンなスタイルである
・さまざまな特性、能力、価値観を持った人が受容され活躍できる場がある
・目先の成果を追うだけでなく、余白を創りながら目に見えないモノや未来の成長のための投資をしている

この3つ。少なくとも、その3つを満たしている地域や組織に僕は「文化度が高いな」と思います。

仕事の仕方やコミュニケーションの仕方などが古臭く、いまだ年功序列で上長・年長者あるいはお客様の言うことは絶対若手や女性がリスペクトされない過度な内製主義(自分たちでできないことは外の専門家にお願いすべき。他都市の企業などに仕事出したほうが地域の関係人口も増えます)、なおかつ人材育成など目に見えにくく目先の成果につながりにくいものになんだかんだ言い訳してお金を出さない(ケチる)…… そのような組織や業界は文化度が低いですし、その文化度の低さに幻滅して意欲的な人が遠ざかる。そして、殊に愛知県・静岡県においては、その意味で文化度の低い企業や組織が大変多い印象を僕は持っています。
(さらに、地域の若手や、他地域から来た人、地域に戻ってきた人から、そのようなリアルな悩みを僕は連日聞いています

ほんっっっと、愛知県や静岡県(だけではないけれども)の企業のそういうところ、マジでダメ!!!! ダサいし恥ずかしい。

それでは、胸張って「ここはいいところだよ」「地域に来てください」なんて申し訳なくて言えない。「東京いったほうが(居たほうが)いいよ」としか言えない。
※もちろん、モダンに進化した素晴らしい企業もあります。

(悪気なく文化度が低い(ダサい)仕事の仕方や行動については、他者から言わないとなかなか気づかないですよね。でもって、地域の人たちは忖度してなかなかダメ出ししないですよね。僕で良ければ喜んで(お仕事として)指摘しますよ)

ちなみに、「リスペクト」については宜しければ新刊もお手に取っていただけたら嬉しいです。

文化度については、先日こんな発信もしました↓

2.脱・製造業カルチャー

僕は、愛知・静岡の人口流出傾向に歯止めをかけるカギは、ぶっちゃけ、製造業に凝り固まりすぎた社会構造やカルチャーから脱却できるかどうか次第だと思っています。

ずばり「脱・製造業カルチャー

愛知県も静岡県も、いずれも製造業が強いエリアです。
それ自体は素晴らしいことなのですが、いかんせん「ものづくり至上主義」といいますか、製造業型の行動や思考が強すぎる。そして、製造業型に凝り固まった地域構造やカルチャーが文化度の向上を妨げている

僕は地域で行動していて、日々そう感じています。

以下も以前発信した関連記事です。少々スパイシーですが↓

「脱・製造業カルチャー」

この言葉の意味は、製造業の否定ではありません。僕は製造業を悪く言うつもりはありません(僕も製造業出身です)。なくてはならない産業ですし、これまで地域の発展を支えてきたのは間違いない。
ただ、製造業一辺倒の思考習慣や行動習慣、カルチャーからは脱していかなければならない。新しい考え方や行動を受け入れていかなければ、地域の発展はあり得ない。そう強く感じているのです。

ぶっちゃけ、製造業以外の産業や仕事を育てていかなければ先は暗い製造業スタイルに縛られない行動をする人もリスペクトされ、正しく活躍でき、正しく稼げる地域にしていかなければ地域の発展なんてあり得ないのです。

「脱・製造業カルチャー」
僕は他地域からやってきたいわゆる「よそ者」ですし、東京など大都市の企業の売上比率も高いため、なんのしがらみもなくこの言葉を発しています。

一方で、地域の人たちは現状の地域カルチャーに「もどかしさ」「モヤモヤ」を感じている人であっても、同調圧力に屈してか、周りに忖度してかなかなか表立って賛同してくれない

僕が地域の講演や取材で「脱・製造業カルチャー」を発した際、その瞬間は地域の思いある人たちも賛同して大きくうなづいてくれたものの、いざとなるとヒヨってしまうのか、そのシーンや言葉だけがカットされてしまった。そんな経験もあります。

もちろんその気持ちは分かります。でもね、そんなんだからいつまでたっても地域のカルチャー変わらんのよ。文化度上がらないのですよ!

そんなこんなで、何かと地域で「新しいことをやろう」「地域に新しい風を吹かせよう」のようなイベントや交流会はおこなわれはするものの……

・主力プレイヤーが変わり映えしない(地域の有力企業の人たちだけが輪の中心)
・地域の決まりきった有力企業への忖度で物事が進む

でもって結局、「ものづくり文化、最高!」みたいな内輪かつ自己肯定的な合意形成しかなされない

二言目には「ここは、ものづくりの町だから」(はぁ、誰が決めた?)と意味わからない、過去ベクトルの同調圧力でもって、新しい発想を否定したりマイノリティ扱いする。正直、気持ち悪いし、息苦しい。

その様子を見て、他地域から来た人や、変化を求める地域の人たちは、「ああ、この地域は結局変わる気ないんだろうな……」「変わり映えがしないな……」と幻滅し、そっとその輪から遠ざかっていく。
なんていうか、「どこにも行けない」村上春樹さんワールド的な、えも言われぬ無力感と虚しい諦念が漂うのです。

いい加減、地域のその景色変えていきましょう。
景色変えていこうぜ! ←僕の口ぐせです

3.文化度と多様性は比例する

僕は文化度と多様性は比例すると感じています。

文化度の高い地域や組織は、多様な考え方、多様な行動パターン、多様な成果の出し方などが受け入れられ肯定されている。特定の産業や、特定の企業だけが輪の中心にいるのではなく、さまざまなプレイヤーが輪の中心にいることができるし、たとえ輪の中心にいなくても、リスペクトされ堂々と活躍することができる。

文化度の低い地域は、多様性に対する感度も受容度も低く、旧来のヒエラルキー構造に皆が忖度または委縮し言いたいことも言えない。

こうして、関係性、産業構造、ひいては地域の文化そのものが固定化される。そこに嫌気がさして、新しいことにチャレンジしたい人、意欲ある人が遠ざかっていく。それが、人口流出を加速し関係人口増も進まない。そんなところではないでしょうか。

4.地域に必要な「カラフル」さ

僕は、愛知や静岡(のみならず、停滞モードに陥っている全国すべての都市)にはカラフルさが必要だと感じています。

カラフル。
この言葉は、僕が尊敬する変革の師(学校改革のパイオニア的存在)、住田昌治さんのご著書およびSNSでの発信に影響を受け、「僕も積極的に使っていこう」と思ったものです。

(そして僕は住田先生とは、是非いつか対談したい!)

いまの愛知も静岡も、色で例えるならモノトーン。
製造業カルチャーが強すぎて、かつプレイヤーが固定化されすぎていてグラデーションがない。

その景色を、少しずつでもカラフルにしていきたい。

本質は「ダイバーシティ&インクルージョン」(その度合いも愛知も静岡もまだまだ低い!低すぎる!)だと思うのですが、「ダイバーシティ」なる言葉は理解されにくく、ともすれば「横文字の言葉を使うな!」などと機嫌を損ねられたりもする
(そのくらい自分で調べて勉強しろ、どあほう。そんなんだからダメなんだ。そういう「学習しないダサいオトナ」が地域も日本もダメにしてきたんだ。いま、世の中リスキリングが大事ってなぜこれだけ言われているか分かります? と激詰めしたくもなりますが、そこはグッと堪えて(苦笑))

あ、そういえば先日、僕はこんな記事も書きましたっけね。スパイシー度は「甘辛」くらいです↓

その点「カラフル」なる表現は、イメージしやすく、伝わりやすく、嫌みもない。

嬉しいことに、僕たちが活動をしている静岡県西部地域でも、前出のブログの過去記事中で紹介した『水曜日のヨル喫茶』(通称:水ヨル)などの新たしいコミュニティや、Startup Weekendなど、新たなコトを起こしたり、地域の人と地域外の人が意見を交わしたり共創する場が増えてきました。

いまも、僕はStartup Weekend 磐田のコーチ役を終えて帰ってきて(僕自身もめちゃくちゃ勉強になりました。主催者、参加者の皆さん、ほんとうにありがとうございます!)、一息ついてこの記事を書いているところです。

第3回Startup Weekend磐田の様子

地域で新しいことをしたい、新しいカルチャーを生んでいきたい。
そんな思いを持った人が集い、コトを起こす場が増えてきたのはほんとうに良いことだと思いますし、地域がカラフルになってきたと感じています。

第3回Startup Weekend磐田のコーチ陣。カラフルな背景も素敵

このようなカラフルな景色が地域に増えていって欲しいし、僕(僕たち)も出来ることをやっていきたいと思います。

5.僕(たち)なりにできる「カラフル」創生

僕(たち)も、自分たちなりに地域をカラフルにする取り組みを少しずつ始めています。

このような発信をブログ、講演、メディア出演の機会などでしつこく続けていくのはもちろん、地域企業や団体への顧問活動を通じて仕事の仕方をモダンなスタイルに変え、カラフルな組織創り(組織開発)を進めていったり、東京など他都市の企業の地域への進出を支援したり、Starup Weekendのような活動に参画したり、#ダム際ワーキング などのイベントで地域外の人と地域の人の越境学習や共創の場を創っています。

草の根レベルの活動では、僕とミーティングされたい、取材してくださる人たちに浜松にお越しいただいています。
(※通常はオンライン対応です)

先日も東京の大手外資系企業と制作会社のご依頼でメディアの取材を受けたのですが、「東京のスタジオで」のリクエストに対し「もしよろしければ是非この機会に浜松にお越しください!」とお願いし、取材陣9名に浜松にお越しいただきました。
(僕がスケジュールが詰まりすぎていて、移動時間がとれない事情もありました。お越しいただきありがとうございます!)

IT系カリスマライターの酒井真弓さんと浜松のThe Garageにて。お互いの著書を携えて。

小さな行動かもしれませんが、こうして地域の体験人口、関係人口が増えていったら嬉しいですし、なるべくその機会に僕の大切な地域の変革パートナーの皆さんともお引き合わせして、「浜松や静岡県西部地域に面白い人たちがいる!」「また来たい!」と東京など他都市から来てくださった方に思ってもらえるよう行動しています。
(お陰様で、浜松・豊橋などへのリピーターも増えてきました。感謝しかありません。ありがとうございます!)

そして、地域の思いある人たちにも、「地域にいながらにして他都市の面白い人たちに出会える」「他都市の人と繋がって新しいコトを起こすことができる」って思ってもらえたら最高です。

地域の人たちだけでは、残念ながら地域の色は変わりません。油断すると、すぐ内輪の仲間意識からの現状肯定に逃げてしまう。

地域を変えるには、外の風を当て続けること、他地域の人にファンになってもらうこと。この2つが間違いなく必須。

だから僕は、僕たちは他都市の人たちをジャンジャン地域に呼び、地域の魅力や可能性を発見してもらう。
なおかつ、その流動を阻害する要因や「もったいない」部分については、ズバズバ地域側に指摘して変えてもらう。

それをとことんやっていこうと思います。

6.地域にないカラーは、創ってしまえばよい

地域に無いカラーは、創ってしまえばよいのです。
思いある人たちと繋がって。あるいは最初は他都市から来た人たちにファンになってもらって、徐々に地域の人たちの関心を高めていく段階的共創アプローチもありです。世論とは、得てしてそのように形成されるものです。

よほどおかしなカラーでない限り、よほど閉鎖的な地域でない限りは、「勝手にやれば」でなんとかなると思っています。

それでも地域ネイティブな人たちが猛烈に抵抗してくる/邪魔してくるようなダサい地域には、グッバイすればよい。もはやマインドが腐っていますし、つける薬がないですから。どうぞ内輪だけで盛り上がってお過疎りになってください(そのかわり、二度と人口流出をとめたいとか、関係人口増やしたいとか言うんじゃねーぞ。どあほう)。ごきげんよう。

地域をカラフルに。さまざまな色を増やしていきたい。

出来るところから、徐々にかつ地道に進めていきます。たまにスパイシーなことも言い放ちつつ(苦笑)
(下手な忖度して生きるくらいだったら、僕は東京に回帰します♪)