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都会のカタスミで

散歩のついでに買いものでも
なんて思って、外に出てみると
となりの部屋では
引っ越しのマッサイチュウ

荷物を運んでいる
引っ越しなんだから
荷物を運ぶわけだけど
運んでいるのは
ねこだった

ねこが運んでいる
二本足で立って

その荷物を運んでいるねこの後ろを
春うさぎがついていく
ついていくのだけど
荷物は、持っていない

その春うさぎの後ろを
カルガモちゃんがついていく
ついていくのだけど
やっぱり、荷物は、持っていない

わたしは、散歩のことも
買いもののことも忘れ
ねこたちの引っ越しの様子を
部屋の玄関から、ドアを薄く開け
こっそり見ていた

あとあと
引っ越しの挨拶に
来たりするのだろうか
ねこが
春うさぎが
カルガモちゃんが

来てほしいような
来なくてもいいような

来てくれたらうれしいような
やっぱり、来なくてもいいような

無関心のふりして
人知れず、そーっと見てるくらいで
ちょうどいいのかも

無関心のふりして
ほんとに無関心でいるのだって
ぜんぜん問題ないのだし

都会での暮らしなんて
そのくらいでちょうどいい

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