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鉱物備忘録

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今まで集めてきた鉱物についてただ語るだけのエッセイ。
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#エッセー

No.40 セルサイト

No.40 セルサイト



黄色っぽい乳白色のセルサイトだ。透明度は少々悪いが中に光を当てるとランプのようにぼんやりと明るい光があふれる。
大きさは500円玉より小さいぐらい。しかし持ってみると意外と重みがある。実はセルサイトの比重は6.5とかなり高く、クオーツのおよそ2.5倍もある。セルサイトは物質的に重い鉛を含んでいるため、見た目よりもずっしりとした重さがあるのだ。
しかしその重さに反して硬度は低く劈開も強いため傷つ

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No.23 ラピス・ラズリ

No.23 ラピス・ラズリ



ラピス・ラズリは正確に言うと鉱物ではない。ラズライトをベースにソーダライトやダイオプサイトなどを含んだ岩石である。
今回のラピス・ラズリはまるで夜空のようなルースである。白い点々はカルサイト、金の点々はパイライトだ。一般的にはもっと青味が深く濃いものが一級品とされるが、私はこのぐらい斑点が多い方が岩石らしくてあざとくなく好みである。特にパイライトの金色はラピス・ラズリの青によく映え、まるで夜に

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No.22 パイライト

No.22 パイライト



一見作り物のように見えるが、実は自然の中で採掘された正真正銘天然の鉱物である。
その証拠に、表面はぱっと見つるつるしているように見えるが、ルーペで拡大してみてみると細かい鱗のような跡が残っている。恐らく結晶が成長した時にできたものだろうと分析できる。仮に人工物ならこのような無意味で不要な細工はしないはずだ。
そう考えると「自然ってすげぇな」と常々思う。私は全鉱物の中でパイライトが一番好きだ。自

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No.21 クリソベリル

No.21 クリソベリル



キラキラ輝く太陽のようなクリソベリル。光を当てるとフレッシュな輝きが満ち溢れてくる。少しインクルージョンが入っているがそれも輝きに華を添えていてまた良い。
クリソベリル。「ベリル」という名前がついているが、ベリルとは全く別の鉱物である。化学組成も違うし硬度も屈折率もベリルとは異なる。どちらかと言うとベリルよりコランダムに近い鉱物だ。
じゃあ何で「ベリル」という名がついたのか?
理由は簡単、発見

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No.20 スピネル

No.20 スピネル



情熱的な赤が凛々しいスピネル。光に照らすとその赤がより強調され、幻想的な神々しさも感じられる。大きさが大豆ほどで、当時900円で買ったものだ。
スピネルは200年前まで宝石として認知されておらず、特に赤いスピネルはルビーとして流通していた。化学組成がコランダムに似ている上にコランダムより美しく鮮やかな原石が採れやすかったため、勘違いしやすかったようだ。
のちに「スピネル」が鉱物として認知された

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No.19 ダイオプサイト

No.19 ダイオプサイト



まるで力強い葉っぱのように、深く鮮やかなグリーンが特徴的なルースだ。曇りなく澄んでいるためそのグリーンがより引き立って見える。
ダイオプサイトは和名を「透輝石」という。その名の通り質の良いものは透き通るような爽快感があって大変美しいのだが、劈開が強く割れやすいためジュエリー用というよりコレクター向けの観賞用として人気が高い。
さて、話は変わるがダイオプサイトはグリーンというイメージが強い鉱物で

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No.18 アクアマリン

No.18 アクアマリン



傷やインクルージョンは少々目立つが輝きは十分。色は薄いがひんやりとした印象がある。アクアマリンとはラテン語で「海の水」という意味。このルースは「海!」という感じではないが、まずで水をそのまま石にしたような潤いがある。むしろこのぐらい色が薄い方が、水っぽくてひんやり感が強く味わえるから好きだ。
実はこのルース。同じ大きさのものを16個一緒にまとめて、お値段800円という破格で売られていたアクアマ

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No.17 オパール

No.17 オパール



エチオピアの虹の光沢が出ないオパールだ。
「あれ?オパールって虹の光沢が出ないものがあるの?」
と思う方も多いと思うが、そもそも虹の光沢が出るオパールの方が珍しく、この世の中で産出するオパールのほとんどが虹の光沢が出ない「コモンオパール」である。
しかしコモンオパールもなかなか乙なものだ。オパール独特のテラテラ光沢は他の鉱物ではなかなか味わえない。また、このオパールは透明感が高いので尚更テラテ

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No.16 スフェーン

No.16 スフェーン



渋いグリーンの味わい深いスフェーンだ。少し傷やインクルージョンがあるが、質が良くよく輝き美しい。
私は宝石の中でスフェーンが一番好きだ。
その魅力について解説すると、スフェーンは分散率が高くその力はダイアモンド以上、また屈折率もダイアモンドには劣るものの1.9~2.034とかなり高い。そのためダイアモンドとは異なる華やかな輝きがあり、上品で幻想的な美しさを味わえるのだ。
また、スフェーンはサフ

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No.15 ダイオプテーズ

No.15 ダイオプテーズ



透き通った青緑が爽やかな結晶だ。
一つ一つの結晶はとても小さく、大きいものでもエアガン用のBB弾ぐらいの大きさしかないが、見応えは十分である。ルーペで拡大するとキラキラとした幻想的な美しさを楽しむことができる。
ダイオプテーズは大粒の結晶になることが少ない。この原石は実物大で5センチほどなのだが、ダイオプテーズの標本としてとても良く立派な方である。
しかし、その点を除けば非常に美しい鉱物だ。硬

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No.13 オパール

No.13 オパール



オパール。10月の誕生石になるほど人気の高い宝石だ。
今回のオパールは質が良く、オパール独特の虹のような光沢がある。さながら白い石の中に虹を閉じ込めたような美しさだ。
オパールは厳密に言うと「鉱物」ではない。
鉱物というものを簡単に説明すると、岩石を構成する物質のことだ。特徴としては同じ化学組成の結晶が規則正しく並んで、それが集まってできている。基本的に私が集めている鉱物標本やルースになるよう

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No.3 レッドベリル

No.3 レッドベリル



クラック多めで小豆ほどの大きさしかないが、いちごのような赤みが美しいレッドベリルだ。光を当てるとクラックによってキラキラ輝く。根元に行くにつれて赤みが増していくためグラデーションも楽しめる。
このレッドベリル、なんと2018年の東京ミネラルショーにて2000円という破格な値段で売られていたものなのだ。
レッドベリルはエメラルドより希少でレアなベリルの一種で、宝石ともなれば超高値で取引される、一

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