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No.15 ダイオプテーズ

15.ダイオプテーズ

透き通った青緑が爽やかな結晶だ。
一つ一つの結晶はとても小さく、大きいものでもエアガン用のBB弾ぐらいの大きさしかないが、見応えは十分である。ルーペで拡大するとキラキラとした幻想的な美しさを楽しむことができる。
ダイオプテーズは大粒の結晶になることが少ない。この原石は実物大で5センチほどなのだが、ダイオプテーズの標本としてとても良く立派な方である。
しかし、その点を除けば非常に美しい鉱物だ。硬度が低く割れやすいのだが、澄んだ青緑色にエメラルドを超える屈折率。装飾品には向かないが、もしも大粒で採ることのできる宝石だったなら、コレクターストーンとして高い人気を誇っていたはずだ。
実はこの鉱物、1797年までエメラルドだと思われていた。そのためロシアではダイオプテーズとは知らずに「エメラルド」として皇帝に献上されたこともあるようだ。
要するに、それだけダイオプテーズの結晶が美しいという話なのだが、それ以上に私はこのエピソードについて思うところが一つある。
先ほど説明したように、ダイオプテーズは大粒の結晶になることが少ない。しかし、皇帝に献上するともなれば、少なくとも1ctや2ctのルースでは小さすぎる。つまり割と大きなサイズのルースであることがなんとなく想像できる。しかし大きいルースを作るには、大きなサイズの結晶が必要だ。
要するに私が言いたいことをまとめると。
そのロシア皇帝に献上されたダイオプテーズ、ある意味エメラルドよりヤバくね?
一体どんなものだったのだろうか。気になる。

【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年

「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年


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