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No.22 パイライト

22.パイライト

一見作り物のように見えるが、実は自然の中で採掘された正真正銘天然の鉱物である。
その証拠に、表面はぱっと見つるつるしているように見えるが、ルーペで拡大してみてみると細かい鱗のような跡が残っている。恐らく結晶が成長した時にできたものだろうと分析できる。仮に人工物ならこのような無意味で不要な細工はしないはずだ。
そう考えると「自然ってすげぇな」と常々思う。私は全鉱物の中でパイライトが一番好きだ。自然の中でこのような芸術的なカッコいい形が徐々に形成されていくと想像するとロマンがあって興奮する。パイライトという鉱物は今回のような立方体だけでなく、八面体や十二面体等カクカクした形になりやすい。そのためパイライトだけでも個性豊かな個体が山ほどあり、いくつあっても飽きないくらい面白い。
ちなみにパイライトは見ての通り金色をしている。そのため経験の浅い探鉱者は金と勘違いすることが多かったという。実際見た目だけじゃ金と区別が付かないだろうと思うような、角が取れて塊のようになったパイライトも存在する。なのでパイライトには「愚者の金」と言う異名がある。この異名もカッコいい。
個人的にパイライトは鉱物界のスーパーモデルだと思っている。カクカクとした計算されたかのような美しき造形とシンプルかつゴージャスなゴールド。無駄な輝きを抑えてスタイリッシュな美しさに仕上げたそれはまさに芸術作品!
改めて思う。
自然ってすげぇ。

【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年

「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年

「プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本」
下林典正・石橋隆 監修
ナツメ社  2014年


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