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No.16 スフェーン

16.スフェーン

渋いグリーンの味わい深いスフェーンだ。少し傷やインクルージョンがあるが、質が良くよく輝き美しい。
私は宝石の中でスフェーンが一番好きだ。
その魅力について解説すると、スフェーンは分散率が高くその力はダイアモンド以上、また屈折率もダイアモンドには劣るものの1.9~2.034とかなり高い。そのためダイアモンドとは異なる華やかな輝きがあり、上品で幻想的な美しさを味わえるのだ。
また、スフェーンはサファイアのように派手な色が少ない。一般的には渋いグリーンや褐色、鮮やかな所だとイエロー、オレンジ、グリーンがあるが、あまり多くはない。だからこそ万華鏡のようなスフェーン独自の輝きが良く映えるのだ。
しかし、スフェーンにダイアモンドやサファイアほどの知名度はない。
何故か?それはスフェーンが非常にやわらかい鉱物だからだ。
スフェーンは硬度が5とガラス並みに低い。それだけならまだ宝石として使用できるのだが、スフェーンは靭性も低いので割れやすく欠けやすい。そのため加工するのが難しく、うまく加工できたとしても下手な使用をすればすぐに欠けたり割れたりしてしまう。そのためスフェーンはジュエリーに不向きで、特に指輪やペンダントでは接触による割れが起こる可能性が高くオススメできない。
最近では少しずつ人気が出始めアクセサリーになることも多くなっているが、もともとはアクセサリー向きではなくあくまでコレクションのためにカットされる石である。そのことを留意したうえでスフェーンを扱っていきたいものである。

【補足】
①硬度
硬さ、つまり傷つきにくさの度合い。
②靭性
しなやかさ、つまり衝撃に耐える力の強さ。
ダイアモンドついて硬度は10と最強だが、靭性は水晶と同じくらいでコランダムや翡翠の方が強い。

【参考書籍】

「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年


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