見出し画像

【エッセイ】永遠にカスタネットを叩く

この世の全ての中で、一番の地獄はなんだろうか。
想像してみた。
永遠に何かをやり続ける。
それが、一番の地獄の世界なのかもしれないと思った。

ニーチェは、同じ人生を何度も繰り返す事を、絶望の世界だと言った。
それも途方もない絶望だが、今すぐ出来る絶望として、永遠に一つの事をやり続けなきゃいけないとしたら。

ただし、好きな物を選べる。
永遠にやらなきゃいけない何かは、なんなのかを、選べる。

なんでもいい。
焼肉食べ放題、セックスし放題、スプラトゥーンし放題、カスタネット叩き放題。
自分の好きな物を、永遠に続ける。
これが永遠だと考えると、二時間くらいでイヤになるだろう。

地獄の悪魔達が観ている「黄金伝説」では、永遠に何かをしなければならない人間でゲラゲラ笑っている。
放送時間も永遠だ。そして好きな所から見られる。ただし、20時間も過ぎれば、どのシーンもほとんど同じと言っていいが。
2万時間を超えても、200万時間を超えても、その黄金伝説は終わらない。
ゾッとする。恐ろしい。
この一瞬一瞬が、いつも終わる世界で良かった。
どんなに楽しい事も、終わりが来る。
それは、精神を安定させる、一つの考え方かもしれない。
そして、どんなに辛い事も、終わりが来るのだ。世界は、社会は、知らない所で、いつも始まりと終わりが起きていて、いつも動き続けているのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?