あるちゃ

主にROM、時々Twitterの連ツイまとめなど。するかも知れませんが、さてそれはどう…

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主にROM、時々Twitterの連ツイまとめなど。するかも知れませんが、さてそれはどうかな。

最近の記事

ピアノ物語3-2

「今日までありがとうございました」  そんな言葉と共に憧れの先輩とさよならしたのは先輩の高校の卒業式の日だった。  中学2年生の時から密かに心のうちで思い続けて同じ高校まで追いかけた。  思いも告げず、憧れの先輩の妹ポジションに約2年。なんてレトロな片思い。    再会は、憧れの先輩が通う高校に在学生として初めて校舎に入った入学式の日にあっさりとできた。  先輩は入学式の舞台上でピアノを弾いていた。  私の大好きな、先輩のピアノ。  記憶が巻き戻される。  遡ること約1年前、

    • ピアノ物語3-1

      「今日までありがとうね」  そんな言葉と共に彼女にフラれたのは高校の卒業式の日だった。  前日はおろか直前までそんな空気など微塵も感じていなかったので咄嗟に返す言葉が見つからなかった。  そしてやっと口から出てきたのは、 「え?」  なんて間抜けな。  高校の入学式で一目惚れして、知れば知るほど好きになって、その勢いのまま告白してまさかのOK。  派手ではないのに人目を惹く華がある、真顔は美人で笑顔は可愛い彼女。  夢ようだと思ったし、夢のような3年間だった。  そして今はそ

      • 心象風景はいつも曖昧・1(メモのようなもの)

        海にて。 日差しは柔らかくあるけれど景色はまばゆい。 打ち寄せる波を避けながら歩く海と陸との境界線。 濡れた砂は足元を湿らせ、乾いた砂は歩みを頼りなくさせる。 海岸線は緩いカーブを描きながら遠い先まで続いており、その端ははっきりはしないがおおよその見当はつく。 行けるところまで歩いてみようかと思い歩き出す。 しかし砂浜の歩きにくさと、復路にも同程度の時間を要するのだと考え立ち止まる。 海の方を向いて大きくひとつ深呼吸。 そしてゆっくりと向きをかえて、来た分だけの距離を戻る。

        • ピアノ物語2

          おそらく彼氏と彼女。 音楽ホールの客席、端っこの席に並んで座る2人連れ。 時はピアノリサイタルの前半が終わって15分休憩に入ったところ。 今時の清楚風女子大生と言う感じの女子が隣の男子に話しかけている。 「知ってる曲あったでしょ?」 「えーあー、うん」 (あったけどところどころって感じなんだよなー) と言うニュアンスの返事。 男子は特にこれといった特徴なし。 至って普通。 かっこいいともかわいいとも言えないけどブサイクでもなく中肉中背。 至って普通。 その普通なところがい

        ピアノ物語3-2

          ピアノ物語

          絶望を知っていた。言葉として。 絶望を知っていた。知識として。 絶望を知らなかった。経験として。 降りかかった事象に打つ手がないところまで来た。 立ち向かう術も回避する手筈も見つけることも掴むこともできず、ただ絶望に包まれた自分だけが存在している。 その反面、どうにかしなくてはと言う本能のようなものがまだどこか自分の中に残っているらしく、もう何時間も街の中を歩き続けている。 歩くことで解決することなんて何ひとつない状態なのに、動いていないと大きな声で叫び出してしまいそうだった

          ピアノ物語

          なにしにきたの?(物語です)

          くまさんがうさぎさんにでんわをしていいました。 「きょう、あそべる?」 うさぎさんはこたえました。 「きょうはおとうさんのおてつだいをするからあそべないよ」 つぎにくまさんはいぬさんにでんわをしていいました。 「きょう、あそべる?」 いぬさんはこたえました。 「きょうはおとうのおせわをしないとならないからあそべないよ」 つぎにくまさんはねこさんにでんわをしていいました。 「きょう、あそべる?」 ねこさんはこたえました。 「きょうはおじいちゃんのおてつだいをするからあそべな

          なにしにきたの?(物語です)

          あかいはな しろいはな(物語です)

          あるところに、なかよくならんですくすくとそだつ、ふたつのみどりいろのくさがありました。 そのふたつのくさはとてもなかよしで、いつもいっしょにおひさまにてらされ、いつもいっしょにかぜにふかれ、いつもいっしょにあめにぬれていました。 ふたつのくさは、おたがいのことがとてもだいすきでした。 あるひのこと、どちらのくさにもつぼみがひとつ、それぞれのあたまのところにつきました。 おんなじばしょにできたふたつのくさのそれぞれのつぼみは、おんなじおおきさ、おんなじかたちのつぼみでした

          あかいはな しろいはな(物語です)

          やわらかないろ(物語です)

          おひさまは、おつきさまがねむっているあいだにじぶんのきいろをわけてあげました。 そしておつきさまは、おはながねむっているあいだにじぶんのきいろをわけてあげました。 おひさまは、かぜにそよぐおはなにじぶんのきいろをわけてあげました。 おはなは、ひるまはおひさまのきいろを、よるはおつきさまのきいろをうけとって、おおきなおおきなおはなを、たくさんたくさんさかせました。 おおきなおおきなたくさんのたくさんのおはなは、ちきゅうというなのほしにすむおおくのいきものに、やわらかなか

          やわらかないろ(物語です)

          ある日ある時の心象風景

          大好きなピアニストさんがおりまして、その方の演奏を聴くと、必ずしもではないのですが、私の中に心象風景がぱあっと広がる時があります。 その方の演奏に出会う前も、ピアニストさんの演奏にある種の感情をかきたてられたり、音から色々と感じたりすることはあったのですが、どこかであったような見たような、そんな心象風景が広がるというのそれまでになく、初めてそれが心中に広がったあの時、驚きと感動で震えが止まらなかったのを今でも覚えています。 ところで、このピアニストさんはたまに演奏動画をS

          ある日ある時の心象風景

          大人絵本会はつづくよどこまでも

          昨夕、10年間続いた大人絵本会がひとまずの終会を見ました。 と、いきなりタイトルと矛盾した文で始めてみる。 さて、大人絵本会とは? ツイッターにてほぼ月一でえほんうるふさん主宰で開かれていた絵本対象のウェブ読書会であり、私は恐らく3回目か4回目あたりから参加させてもらっていました。 (多分、3回目は覗いただけで発言できず、4回目から飛び込んだとかそんな感じ) その長く続いた絵本会が昨晩の開催をもって10年の歴史を閉じ…かけました。 なんというか、一旦終了。 でも終わりで

          大人絵本会はつづくよどこまでも

          文字通り、寝ても覚めても…

          もう年がかわって1ヶ月近くが経ちますが、2019年を振り返って私が買ってよかった物と言えば、それはピアノです。 とは言っても電子ピアノですが。 大人の初心者ピアノ、つまりは完全に趣味。 家族の誰も使わない自分のためだけに6桁の買い物をするなんて… めちゃめちゃ迷いましたが、迷った割には、当初予定していたものより倍以上するものを買ってしまってのですが💦 (さすがにハイブリッドには手が出ず…) 3月に購入したので10ヶ月ほど経ちましたが、独学と言うこともありほとんど進捗せず… で

          文字通り、寝ても覚めても…

          今年も素晴らしいピアノを聴けますように

          上手い演奏も人気のある演奏も山ほどあって、素晴らしいピアニストさんもたくさんいると思う。 そんな中で、自分の心をふるわせる演奏に出会い、そんな演奏をホールで直接聴ける機会を得られていることが今の私の大きな幸せのひとつと言える。 今年も聴ける限り聴きに行きたい。 ところで『私の心をふるわせる演奏』とひとことで言ってもいろいろあって、ふるえる心の部分もふるえ方もふるえる幅も様々。 そして、あの、心というか、自分の体という、器以外の全てを持っていかれる感覚! それほどまでのことは

          今年も素晴らしいピアノを聴けますように

          感想をつぶやくときに思うこと

          ホールにピアノを聴きに行くようになって1年9ヶ月。 私はTwitterのヘビーユーザーなので、これまで演奏会の感想をその都度ツイートをしてきたわけなのだけど、最近になってその是非について考えるようになり… そもそもこれまでも考えることはあったのですが、今回考えるようになったきっかけは、Twitterのフォロワーさんがとても近しい事を考えていると知って自分の考えを掘り下げてみたくなった事です。 SNSの中でもTwitterはかなりオープンで、ワールドワイド掲示板なわけで、

          感想をつぶやくときに思うこと

          ピアノにわかの戯言

          いま私がピアノにどっぷりハマっているそもそものきっかけはYouTubeで観た牛田智大さんの乙女の祈りだったのだけど、その後わりと直ぐに音源を揃えてしまったし、何しろ牛田さんの出す音に惚れてしまったのと今よりも更にクラシック無知だったので、作曲家や曲に対するイメージがなくて… 平たく言ってしまうと牛田さんが弾いていればなんでもいい状態だったのだけど、その当時ピアノ曲で一番好きだったショパンの英雄ポロネーズ(今は一番なんて絞れない🤣)をYouTubeで聴き漁ったら明らかに好みと

          ピアノにわかの戯言