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千一夜物語

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私の"千一夜物語"。 人の持つ、"性"と"愛"と"孤独"。 身体ではなく脳が感じる、ノンフィクションであり、フィクションな"男"たちとの"夜"を描きます。
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#短編小説

◆衝動◆

◆衝動◆

衝動に駆られた、巡り逢いだった。

まだ肌寒さが残る春。
私は、見ず知らずの男と二人で旅をした。

岐阜の隠れ宿である。

宿の最寄り駅に続く、ローカル線の乗り口で待ち合わせた。
それが、二人の初対面だった。

彼は、静かな"間(ま)"の持ち主で、
話していてもいなくてもすっと身を委ねたくなる、心地良いリズムのある人だった。

電車の座席に腰掛け、揺られながら話していると、
ふと何かを思い出したか

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◆愛が深すぎるんだよ◆

◆愛が深すぎるんだよ◆

「愛が深すぎるんだよ。」

そう言って、彼は
泣きじゃくる私を強く抱きしめた。

たった一人の男と真剣に向き合うことが、
如何に貴く価値のあるものか。

それを教えてくれた、初めての人だった。

■■■■■■■■■■■■■■■

出逢いは、六本木ヒルズ。

一目惚れ、と言えば体のいい、ナンパだった。

最初の数ヶ月は、
相手の素性など殆ど何も知らない、曖昧な関係。

会いたくなれば
少し日数に余裕

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◆色のない部屋◆

◆色のない部屋◆

休みの前夜は、いつも、
終電で向かうのがお決まりだった。

駒沢大学駅。

いつも、少し遅れて来る。
いつも、改札の出口で待ちぼうける。

携帯が鳴って、いつもの、彼の声。
顔を上げると、いつもの、自転車と、彼。

駒沢公園のサイクリングロードが、近道だった。
深夜の二人乗り。
くだらない話をひたすらに、笑い合った。
私は細身な彼の、意外にたくましい肩に手を添わせて、
いつも通りのその時間が、ただ

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◆上海ナイト◆

◆上海ナイト◆

薄暗い、雑居ビルの階段を数階上がったところに、
彼の部屋はあった。
窓からは、上海の夜景が赤黒い錆のような膜を帯びて連なり、
行き交う車のライトが、やけに眩しかった。

私たちは並んでソファに座り、
彼が入れてくれたコーヒーを飲みながら、
互いのことをいろいろと話した。

私も彼も、どうやら恋を失ったばかりのようだった。

飾られた写真立てに、笑顔の彼女。
伏し目がちに語る彼の、低い声。

暫く話

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