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適応障害になって二度目の夏、そしてほうじ茶プリン。

なんと今夏2度目の風邪を引いてしまった。
一度目は、1ヶ月前。2歳になる甥っ子からもらった風邪。保育園からもらってきたらしい菌を彼を通してもらってしまった。私は自分でも引くくらいに甥っ子を愛しているので、風邪を移されてしまっても愛おしさしかない。

愛おしいのだけれど、なかなかの辛さだった。私は喉がウィークポイントで、必ず喉から症状が出る。のどスプレー、はちみつ、塩水うがい、龍角散のど飴、YouTubeで見つけた喉の痛みに効くツボ押し。ありとあらゆる手段を試してみたものの、努力の甲斐なくあれよあれよという間に悪化していった。唾を飲むのも一苦労。
喉の痛みが良くなったと思ったら今度は鼻水が止まらない。地球の重力に抗えず、ひたすら流れてくるのだ。仕方がないから、外出時はティッシュを丸めて鼻の穴に栓をして移動していた。マスクで隠れるからラッキー♪なんて呑気に思っていたけれど、ふと鏡で見たら丸まったティッシュの影が見えていた。えええ。それでも仕方ない。鼻水は垂れてくる一方。垂れ流しにしておくわけにはいかない。ここはいっそのこと、バレるかバレないかのスリルを楽しむことにした(実際誰も見ていないのだけれど)。「贅沢保湿」はあっという間に1箱使い切った。大変お世話になった。

そして今回。最初はお腹の調子が悪かったのだが、またしても喉が痛くなってきた。どこで風邪をもらったのかわからないが、巷では喉風邪がどうやら流行っているらしい。クーラーで部屋が乾燥しているのも影響しているようだ。
いろんな手段でごまかしていたけれど、やっぱり悪化。今度は声帯をやられてしまった。発声NGとのこと。囁き声ならいいかな、と思っていたら「ヒソヒソ声もダメね」とお医者さんに禁止されてしまった。しばらく筆談生活になりそうだ。こんなところで昨年買ってみたiPadが役に立つとは。

声を出せないから、家族との会話に時間がかかる。相手の言葉にすぐに返事ができないのはかなりもどかしい。
元々、思ったことはすぐに口に出したくなる性分なのだが、それができないとなるとなんだかモヤモヤする。気分がちょっと落ち込む。物を落としそうになってとっさに「あっ」とか声で出そうになると、ものすごい激痛が喉を走る。身悶えるしかない。
独り言も言えないし、歌も歌えない。声を出して笑うこともできない。自由に声を発せられないことがこんなにも苦痛とは。

1ヶ月に2回も風邪を引くのは人生で初めてである。免疫力が下がっているのだろうか。改めて考えてみると、免疫力ってなんだろう。調べてみても、今ひとつわからない。まぁ、毎日会社に通勤していた頃に比べたらそりゃ運動量も落ちているし、体力も落ちているだろう。でも人生で一番といっていいほど今が一番元気なのも事実である。原因不明の体調不良はなくなったし、睡眠障害もだいぶ良くなって朝には起きられるようになった(と言いつつ、明け方までNetflixを観てしまう日もあるのだけど)。
夜中に不安に駆られてドカ食いすることもなくなったし、パソコンの前で突然涙が止まらなくなったり、ふとした時に「あ、消えたいわ。」と思うこともなくなった。
無職になって、すっかりストレスフリーな生活をしているからだろう。まぁ、喉は痛いし声も出なのだけれど。

体調を崩しながらも食い意地だけは立派で、耳鼻科帰りにデパ地下でほうじ茶プリンを2つ買った。ここのプリン、すごく美味しくて時々無性に食べたくなるのだ。小瓶に入っていて、一個260円。ちょっとした贅沢。自分へのお見舞いとしよう。
実を言うと、お店に行くのを一瞬ためらった。声が出ないのに、ショーケースに並ぶプリンをどう買おうか。お店の人と筆談でやりとりするのは人生初めてで、ちょっと緊張するし恥ずかしさもある。そこまでして買うのもなぁ、なんて思い淀んだのだ。でも、食べたい。そこまでしてでも食べたかったのだ。
店員さんは特に驚いた様子もなく、さして変わらず優しくてありがたかった。別に恥ずかしいことは何もないか、と気が楽になった。気にしすぎなのだ、何事も。
ケーキを入れる箱よりも小ぶりな、白い小箱を手からぶらさげて電車に乗った。食べたくてうずうずする。

イラストbyあっこ
ほうじ茶プリンを食べたいがあまりに、人生初の店員さんとの筆談。

ちなみに私はお茶の中でもほうじ茶が特に好きである。飲み物全般で言うと、トップ5には入る。大学生時代、和カフェでアルバイトをしていたときも休憩時間にはよくほうじ茶のドリンクメニューを飲んでいた。そういえば、くだんの入院生活ではいつもほうじ茶が出されていた。たしか4年前の入院生活でもそうだったな。ほうじ茶は緑茶よりもカフェインが少ないから、病院では重宝されるらしい。持参したマグカップでひと口飲んだ時、あまりの美味しさに「なんだこれは!」と驚いたのだ。さわやかで、スッキリして。でもどこか優しい味。それまでに何度もほうじ茶を飲んだことはあったはずだけれど、ほうじ茶が好きだと自覚したのは、この時だったように思う。

耳鼻科から帰宅して早々、わくわくしながら小箱を開けた。保冷剤は冷凍庫に入れて、もう一つのプリンは明日の楽しみにとっておこう。
待ちに待ったひと口目。舌触りがなめらかで、ほうじ茶の効いたほのかな甘みが口いっぱいに広がる。冷たいプリンが喉を通るたび、痛いところを冷やしてくれて気持ちがいい。優しい甘さが、滅入った気分を和らげてくれた気がした。
気分が落ち込んだ時、体調が悪い時。弱っている時に食べるとちょっと元気をもらえる食べものって、不思議な力がある。私はほうじ茶プリン。この記事を読んでくれている人は、何を食べるのだろう。

声が出ない生活はとても不便でストレスだけれど。美味しいものを美味しいと感じられるんだから、幸せだ。いろいろとやりたいこととか予定とかあったけど、ま、いっか。

さーてさて。調子が悪いなら無理をしないのが一番。しょうがない、しょうがない。のんびりしながら養生するとしよう。

こんな感じで、適応障害になってから迎えた二度目の夏。なんやかんや元気にやっております。

イラストbyあっこ
ほうじ茶プリン、また食べたいな。

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