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アイドル

先日、知り合いの頼みで地下アイドルのライブに同行した。

前々からいつかライブハウスには行ってみたいとは思っていたがまさか初めて足を運ぶ理由があまりよく知らないアイドルのライブの為になるとは思っていなかった。これだから人生は面白いなぁなんてしみじみと考えながら待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせ場所には先に到着していた知り合いとその他のファンの方がちらほらと集まっていた。

入場の時間になるとそれぞれのオンラインチケットを受付の方に見せドリンクチケットを受け取る流れで次々と観客が入ってきた。

会場の中はあまり広くはなく何だか熱気に満ちていた。知り合いは他のファンたちとの交流を楽しんでいた為、どこで何をしていいのかわからず人間観察をしながらドリンクチケットで交換したモスコミュールを飲む事にした。

そのアイドルはグッズが少ないのか自作の推しTシャツを着ているファンが何人かいて愛というか気合いを感じた。

そんなことをしているうちに照明が暗くなりステージに次々とメンバーが現れ曲が始まった。あらかじめ渡されていたサイリウムを知り合いの推しカラーに発光させてわけもわからず振る。周りの観客たちは慣れた手つきでサイリウムを振る人もいれば、ガチのファンはサイリウムを持たずに床に向かって何かを叫んでいたり寝っ転がりながら回転したり肩車で推しにアピールしたりしていて、アイドルをあまり見ていないように感じた。ちゃんと頑張っている姿を見ずに自分達だけで楽しんでいる姿を見ているとアイドルと夜職は少し似ているのかもなぁと思った。自分が楽しむ為に彼女達の頑張りを消費されている気がした。爆音が響くスピーカーの横でそんなことを考えながらパフォーマンスを見ていたのはきっと私だけだろう。

そんなこんなでライブは進み、チェキの撮影会が始まった。何となく彼女達の頑張りを報いたくなり1枚2000円のチェキ券を2枚買った。1枚は知り合いの推しと撮り、もう1枚はパフォーマンスを見て気になったメンバーと撮る事にした。

よく推しを目の前にすると言葉が上手く出てこないという話を聞いていたがそんな事ないだろうと小馬鹿にしていたが驚いた事に、いざ自分の番になると聞いた通りだった。何を話していいのか分からず「とっても輝いていました。」なんてよく分からないことを口走った。しかも怖いのが気になっているメンバーの列が途切れ、寂しそうに立っている姿を見ると助けてあげたくなり気がつくと追加でチェキ券を購入していた。自分もしっかり沼にハマっていた。

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