あなたの大切な人の「お食事の要件」を守る「お・も・て・な・し」
こんにちは!
異文化の人たちとのお食事を楽しむため、そして彼らのアイデンティティや個人のポリシー、健康を守るための「お食事の要件」シリーズ。
これまでは「お食事に関する5つの要件」のうち、自分の好みかどうかには関わらず、
食べて良い食品・食材
食べてはいけない食品・食材
をご紹介してきました。(以下の1~4)
◆ お食事に関する5つの要件 ◆
1)アレルギー
2)宗教上の理由
・ハラル(イスラム教)、コーシャ(ユダヤ教)など
3)個人のポリシー
・ヴィーガン、ベジタリアンなど
4)健康上の理由
・セリアック病、乳糖不耐症、糖尿病、妊婦
5)好き嫌い
それでは、このような「お食事の要件」を持つ人たちが、日本に訪れた時、彼らから日本の「食」はどのように映るのでしょうか?
「お食事の要件」持つ、持たない関わらず、私たちも海外で訪れた先の「食」にびっくり仰天!することがあるように、海外の人たちにとっても、日本の「食」にオーマイゴッド並みに驚くことがあるだろうな〜とは、想像できますよね?
いまは海外からの渡航が制限されていますが、状況が落ち着けば、ふたたび海外の色んな国の人たちが、日本にやって来ることになるでしょう。
その時のために、「お食事の要件」を持つ人たちは、日本での食の楽しみ方や食材・食品選びをどのように気をつけているのか、私たちも知っておくと、いつかは役に立つ・・かも知れませんよね (^_-)-☆
ということで今回から、異文化から見た日本の食についてお話します。
もちろん、ここでご紹介することが、あなたの行きつけやお気に入りのお店に、必ず当てはまる・・ということではありません。
一般的に、海外の旅行ガイドなどでは、日本を訪れる人に向けて、このようなアドバイスをしている・・つまり、「日本の食」は海外から、このような印象を持たれていますよ~、という視点でご紹介します。
明と暗
「お食事の要件」を持たない人たちにとっては、日本の食は嬉し美味し珍しオーマイゴッドの意味で楽しい思い出、「お食事の要件」を持つ人たちにとっては、状況により落胆・失望オーマイゴッドの意味で残念な思い出ともなり得るため、日本の食に対する思い出は、明暗が分かれます。
これは私たち日本人も実感していることだと思いますが、日本(特に都心)には、さまざまな国の料理や、食品・食材が豊富で、選択肢がたくさんあります。
レストラン、ファミレス、居酒屋など飲食店の種類や予算、シチュエーションに合わせた選択肢が豊富ですし、自炊する場合は、あちこちに点在するスーパーやコンビニで、いつでも購入することがことができます。
また、スナックやスイーツなどは、コンビニやスーパー独自のプライベート・ブランドを持ち、競い合うように、お手ごろな値段で人気商品を次々と販売しています。
このように食の環境が、とても恵まれている日本。
特別な「お食事の要件」を持たない人たちにとっては、多種多様な食の選択肢が用意されており、それらを目一杯楽しむことができます。
逆に「お食事の要件」を持つ人たちが、日本を旅先に選ぶ場合は
日本の食材・食品
飲食店でのオーダーのスタイル
を、あらかじめ理解しておくこと、その上で日本の独自性を受け容れられない場合は、旅行先を別の国にすることも検討した方が良いと、旅行ガイドではアドバイスしています。
言葉の壁
日本の母国語は日本語のみなので、海外の人たちとの間に「言葉の壁」は、どうしても存在します。
「お食事の要件」を持たない人たちからすれば、多少のコミュニケーションの不便さも、旅の醍醐味のひとつとして、おおらかに受け容れられるくらい、日本は食の宝庫!
しかし、何かしらの「お食事の要件」を持つ人たちは、言葉の壁があることが、大きな不安要素となる場合があります。
スーパーはコンビニなど、店頭で購入する食品・食材や店頭のPOPの多くは、日本語のみです。
外食については、最近では都心や観光地にある飲食店などで、英語メニューを置く飲食店も増えてきました。
万が一、英語メニューのない場合でも、メニューに載っている写真やイラストを見て、食べられるものを判断できる場合が増えてきています。
店の外にディスプレイされている食品サンプル。
日本独特ともいえる食品サンプルは、とてもリアルなので、どんな料理でどんな具材を使っているのか、一目瞭然(↓)。
食品サンプルは、食べる前に、どんな料理なのかを、リアルに見せてくれるため、とても参考にはなるのですが、その料理がどのように調理され、どのような調味料が使われたのかを、確認することまではできません。
ですので、「お食事の要件」を持つ人たちにとっては、超リアルな食品サンプルが目の前にあったとしても、それ自体が十分な情報とは言えません。
※ちなみに食品サンプルは、「ニッポンお土産」として人気があります☆
ミックス&マッチ
日本のほとんどの飲食店では、メニューの変更が難しい、と評価されています。
たとえば、欧米やオーストラリアなどでは、オーダーする人の「お食事の要件」に合わせ、食材の置き換え(たとえばグルテンが含まれているメニューはグルテンフリーの食材に置き換えてもらう)をしたり、レシピに変更を加える(NG食品や調味料を省いて調理する、調理法を変える)ことをお願いするすることは、珍しくありません。
このように、もともと提供されているメニューに変更を加えて調理することを、
ミックス&マッチ
と、言います。
ミックス&マッチは、さまざまな「お食事の要件」を持つ人が、そのお店でお食事を楽しめるように、サービスとして定着しています。
日本の飲食店では、予約のときにあらかじめ伝えておかない限り、メニューの変更は簡単ではありません。
また、たとえばお寿司などは、長年、厳しい修行を積んだ職人さんの技術とこだわりが結集した「渾身の一品」をいただくことがマナーであり、職人さんにメニューの変更やアレンジを求めることは、大変失礼であると理解されています。
そもそも、私たち日本人は「飲食店が提案するメニューに変更を加える」「お店の人に調理法をリクエストする」という発想自体を、あまり持っておらず
メニューに書かれている料理を
そのまま頼む
ことが、一般的です。
そのため、旅行ガイドでは
ミックス&マッチのリクエストが拒否されても、
感情的にならないこと
事前に予約をして食べられないものを
伝えておくこと
と、アドバイスしています。
カードを見せられたら?
日本では、ミックス&マッチができるお店がまだ限られている中、「お食事の要件」を持つ海外の人たちができることのひとつに、
「お食事の要件」が書かれたカードを持ち歩く
が、あります。
たとえ日本語でコミュニケーションができなくても、宿泊先や飲食店、スーパーやコンビニなどで、このカードを見せることで、その人の「お食事の要件」がひと目でわかる、というものです。
このように、日本語に訳されているカードもありますが、
日本語に訳されていないカードを見せられる場合も、あるかと思います。
このようなカードを見せられた場合、言語の意味が分からなくても
あっ、この人には「お食事の要件」があるのね!
と、理解した上で、具体的に何を食べてはいけないのか、ご本人とコミュニケーションを取る必要があります。
相手の話していることが分からない場合でも、周囲を巻き込む、翻訳アプリを使うなど、できる範囲で最低限のコミュニケーションを取ってあげましょう。
「呼び出し」には応じましょう
あなたが飲食店で働いている場合、食材や調味料、調理法など細かなことを聞いてくる、お客さまがいるかも知れません。
もし、あなたが答えられない場合、シェフやマネージャーを呼んで欲しい、というリクエストされるかも知れません。
彼らがシェフやマネージャーを呼んで欲しい、とリクエストする理由は、提供される料理の食材や調味料、調理方法に関する正しい情報を得る必要があるため。
決して、あなたの対応を批判するためではありません。
料理に関する情報は、「お食事の要件」を持つ人たちが、自分自身のアイデンティティやポリシーや健康を守るために、必ず「確認しなければならないこと」なのです。
ですので、「呼び出し」には応じてあげましょう。
いかがでしたか?
「お・も・て・な・し」の基本は、コミュニケーション。
特に「お食事の要件」を持つ人たちにとって、食に関するコミュニケーションは、とても重要なので、彼らも真剣です。
次回は、「お食事の要件から見た日本の食材・食品」について、もう少し掘り下げてみましょう。
そして、あなたがゲストをおもてなしすることになったら、役に立つ・・かも知れませんので、来たるべき日にそなえ、一気に参照できるよう、「お食事の要件」をマガジンにまとめておきますね☆
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