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「Senpai : 先輩」の意味に慌てふためく私
以前、海外での「女性の敬称の呼び方」について、おさらいしました。
(新たな敬称「Mx.:ミックス」も登場!敬称の「お作法」はこちら↓)
ところで、日本の敬称は海外の人にどう映っているのでしょう?
日本の「敬称」マトリックス
この図は、Goin' Japanesque!という日本を紹介するサイトで見つけました。
個人的に、「これから海外の人に敬称について質問をされたときは、この図を使って説明しよう!」と思うほど感心したので、ご紹介します。
この図の定義では、「さん」はオールマイティーで広範囲に使うことができます。
「ちゃん」と「くん」の枠の一部が、交差していることから、男女区別なく使われていることも、よく表現されています。
そしてよく見ると、この図の左上のグレーの枠内に「どの(殿)」まであります!
「どの」は、
● 年長者
● 距離感あり
● 尊敬度高し
に位置しています。
この図で「どの」は、「さま(様)」に比べて、
年長者で、尊敬の念が込められているけど、
距離感はある
敬称のようです。
初「どの」を体験!
ところで、私は、「どの」という敬称は、生まれてこのかた、使ったことがありませんでした。
「どのって、時代劇でしか使わないよね~。」
と、思い込んでいましたが、つい最近、初「どの」を体験する機会に恵まれました!
なんと、ある日本企業の方から
akkie 殿
いつもお世話になっております。
・・・(以降、仕事の内容なので、略)
よろしくお願い申し上げます。
と、仕事のメールが届いたのです!
「殿!どの、DONO??」
思わずメールを二度見するくらい、驚きました。
さて・・。困りました。
(これは、謙譲語(相手が下手に出る)としての「どの」なのかな?
それとも尊敬語(私が上に置かれる)という意味での「どの」なのかな?)
何せ、私にとっては「初どの」なので、相手の人への返信で使う敬称に、「どの」を使うべきなのか、「さま」を使うべきなのか、分からなかったのです。
迷いましたが、結局オーソドックスに「さま」で返しました。
※実はいまでも、どう返すのかが「お作法」なのか分かっていないので、
ご存知の方がいらしたら、コメントから教えていただけるとありがたいです。
ということで、日本企業では、ビジネスの場面に「どの」を使っているところもあるようです。
Senpai(センパイ)の誤解
私がよく海外の人から質問される「敬称」は、「先輩」「後輩」です。
ある日、同僚のマット(アメリカ人)から、こんな質問をされました。
「akkie、あのさ、センパイってどういう意味?」
「センパイかぁ・・。
ごめん。いま手が離せない。
落ち着いたら説明するから、ちょっと待ってて!」
仕事が立て込んでた私は、マットをしばらく放置して、仕事に戻りました。
マットは暇だったようで(笑)、私が仕事をしている間に、自分で調べたようです。
「Oh My God!!
マジ?センパイってこんな意味なの?」
両手で頭を抱え、Oh My God!を連発するマット。
彼は、自分が暇なときは、忙しそうにしている相手に、ちょっかいを出すのが好きという、「かまってちゃん」なのです。
彼の行動パターンを把握している私は、「かまって攻撃」をするマットを放置したまま、黙々と仕事をしていました。
無反応の私に、耐えられなかったのか、マットが話しかけてきました。
「akkie、辞書で調べたんだけど、
● センパイは、超ミステリアスな存在
● 人を無視したり、人から気づかれない
なんだって?ど~ゆ~こと?」
訳の分からないことを言い出すマット。
「へっ?なにそれ?
ちょっと、その辞書見せてくれる?」
まんまと彼の手中にハマり、私は仕事を中断して、マットが調べた辞書の画面をのぞき込みました。
「マットの調べた辞書」は、流行り言葉やスラングなどの言葉を集めた辞書、Urban Dictionaryです。
Urban Dictionaryは、Wikipediaのように、一般のユーザーが、辞書に解説を加えることができます。
そこには確かに「Senpai」と記載があり、私もOh My Godを連発してしまうような意味が書かれていました。
Senpaiとは
● 年齢が自分よりも年上だったり、自分よりも経験が豊富だったりする場合に使う日本語の敬語。反対語は「Kouhai(後輩)」です。
● アニメや漫画の中では、必死に先輩の気を引こうとしても、先輩に無視され続けて失敗してしまうのが普通です。
Senpaiを使った例文)
熊木先輩は、今日は本当に優しく、「仕事終わったら一緒に飲みに行こう」と言ってくれました☆
ぷぷっ!
吹き出しそうになっている私に、マットはさらに別の「辞書」の解説を見せてくれました。
こちらは1828年発刊の由緒正しい、米メリアム・ウェブスターです。
そこには、おおよそこんな内容のことが書いてありました。
「センパイ」という言葉が、初めてUrban Dictionary辞書に登場したのは、
2004年のことです。
この辞書を利用している、あるユーザーが、センパイという言葉の意味を、「上のクラスの人」と紹介したのが始まりでした。
その後、アニメやマンガで使われている「センパイ」の意味として、
● 自分より年上の人
● 尊敬する人
● 師匠
● 尊敬する年上の人
などが追加されました。
センパイの反対語には、「コウハイ」があります。
(ふむふむ。これならわかる。)
が、次の段落で、またもや衝撃的な記載を発見しました。
数ある「センパイ」の意味のうち、最も使われているのは、
● あなたに気づかない人
です。
センパイに気づいてもらうことが大事なんです!
アニメやマンガでは、センパイの気を引こうと、必死に頑張るキャラクターが人気です。
また、
「センパイ、なぜ私に気づいてくれないの?」
「私のこと、センパイが気づいてくれますように」
などといったセリフが人気です。
「センパイ」という言葉は、英語としての認知が、まだ十分にされてはいません。
しかし、「センパイ」は実在するのです!
アニメやマンガの海外での影響は絶大です。
私は、マットの席の横に座りました。
「マット、あのさ。
ここに書かれてることを鵜呑みにすると、センパイの意味が間違っちゃうから、説明するね。」
一呼吸置き、私はできるだけマットが理解できるように、ゆっくりと説明しはじめました。
「センパイは、
人に対する敬称だよ。
そして、
センパイは人のことを無視しないし、
もちろん
他の人の存在も気づいてるよ。
そしてセンパイは、
そこら中に実在するよ。」
と、センパイの意味以前に、決してひどい人間を示す言葉ではないことを、伝えました。
そして、センパイとは、学校や会社、スポーツチームや団体、一般コミュニティで、
● 自分より年上の人
● 尊敬する人
● 経験の豊富な人
● 入学や入社があなたより先の人
などを指すときに使う「敬称」であることを、説明しました。
「センパイ」という言葉を、海外の人に説明するのは、簡単ではありません。
場合によっては、日本の学校や部活文化などから紐解いて説明する場合もあります。
分かりやすく、「体育会系」に紐づけて説明しようとしても、「体育会系」という言葉も文化も、日本ならではの特殊な環境なので、これまた説明するのに、ひと苦労なのです。
幸い、マットは、元NBA(アメリカのプロバスケットボール)の選手(身長2m10cm!)だったため、彼の元チームメイトなどを例に出して説明したところ、意外にスッと理解してくれました。
そしてマットは、早速、会社の中で「センパイ」という言葉を使い始めました。
ちなみに、彼は私より先に入社していたため、その日から私は
「マット センパイ!」
と、呼ぶハメになりました。(笑)
いかがでしたか?
日本の「敬称」を海外の人に理解してもらうためには、背景となる日本の文化から説明してあげると、理解してもらいやすくなります。
ちょっと面倒・・と思うこともありますが、私たちも自国の文化を理解する良い機会でもあるので、そういった側面からも、異文化交流を楽しんでみてください。
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