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深すぎる「千と千尋の神隠し」

私は今、猛烈に井戸端会議がしたい。
「千と千尋の神隠し」のとある話をくっちゃべりたくて仕方ない。

(※これより先はネタバレ含みますのでノーサンキューの方はご注意ください)


では、言いますね。

ハクは千尋の亡くなったお兄ちゃんだったんですね!

え!?何だ、そんなこと今更?という方は多数派なんでしょうか?それすらわかりませんが、私は昨夜初めて知りました。なので、昨夜は鳥肌がブワッとたちました。
ジブリには都市伝説がたーくさんあります。
でも、この話は都市伝説なんかじゃないんです。
なぜかというと岡田斗司夫さんが解説していたからです。


岡田斗司夫さんのウィキペディアをみてください。一言でこんな人ですと言えないのがご理解いただけると思います。
私もその一人です。
そこまで詳しく岡田斗司夫さんを語る知識も教養もないのですが、私なりの岡田斗司夫さんとは…を申し上げますと「BSマンガ夜話」の司会をされてた方。と、これまた大好きなアニメ「トップをねらえ」の企画原作脚本をてがけた凄い方。と、いうことくらいです。(ウィキペディアを見ないで知ってたこと)
後はウィキペディアで追加される驚きの情報の数々。
陰も陽もどちらも経験しつくている波乱万丈で濃密な人生を歩まれてこられてきたことがさらっと読んだだけでもわかります。
アニメ制作会社「ガイナックス」の代表取締役社長(初代)だったなんて…

サブカルチャー全般にお詳しく、博学で、お話がお上手なのです。建設的に解説するとはこういうことなのですね。
岡田斗司夫さんは公式You Tubeチャンネルで様々な作品解説をされていて(アニメから映画と本当に様々)そこで仰っていたのが千尋にはお兄ちゃんがいたということだった。

まさかそこへ話が展開するとは想像もしてなかったが、公開当時「千と千尋の神隠し」を初めて観た時から、なんで千尋の母親ってあんなに千尋に冷たいんだろう。と、いうことだった。
冷たいというより、邪魔者扱いに近い嫌悪感を千尋に抱いてる気がしていたので、周りの友人知人にその話をしたら「そんなもんじゃない?」「え?そう?」と返ってくるのが常だったのを覚えている。
あの共有できないモヤモヤ。そうだねと頷いてくれる人がいなかった。

心細くなってる千尋の顔を見ない母親
風の音よと流して振り返ってもやはり顔を見ない
足場の悪い道でキャッてな感じで夫にしがみつく母親
夫には気を許して甘える一面も
だが千尋には無愛想に接する母親

決して全員に対して冷徹な性格ではないことが比較するとわかる。だから、尚更娘の千尋に塩対応なのかが謎だった。
自分で解明することもなく(しようと思っても力不足)時は流れ、昨夜その真実を知った衝撃たるや!そりゃあ井戸端会議もしたくなる!


と、まぁ、岡田斗司夫さんの解説を聞いた方が何千倍も伝わるのだが、まだもう少し私なりの想いを綴らせてください。

  救われた命 救われなかった命

千尋は幼い頃川で溺れて死にかけたと親から聞いたことがあると千尋本人が作中で話していた。
だが、誰に助けられたかは千尋も知らない(親から聞かされていないから)。
なぜ、私はそこで違和感を感じなかったのか。
解説を聞いてはじめてそこへ意識がいった。

そうか、言えなかったんだ。
あなたを(妹の千尋を)助けるためにお兄ちゃんは命を落としたのよ、なんて。

幼い千尋を助けようとするこどもの手は…

ハクは神様ではなく、成りかけているところの存在である。神様は夜に姿を現す。だがハクは昼間でも千尋と接することができる。川の主にはまだなっていない。

そして、ハッとさせられたのがこの比較の場面。

上が「千と千尋の神隠し」。下が「銀河鉄道の夜」

宮崎駿監督がいつか宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を自分なりに描かなきゃいけないと語っていたことを知る。

「銀河鉄道の夜」
主人公ジョバンニは知らないうちに銀河鉄道に乗っていてそこへずぶ濡れの親友カンパネルラが服を拭きながら乗車してくる。
どうして濡れているの?
そんな疑問もこれからずっと一緒だねのジョバンニの言葉にも寂し気に笑うカンパネルラ。

なぜかびしょ濡れのカンパネルラ


ここから観ている者はズレを感じる。二人の温度差。違和感を。

途中で人間の家庭教師の青年と少女と、その弟が乗車してくる。しかも、弟は片方の靴を履いておらず髪も濡れている。
彼らはタイタニック号沈没の犠牲者だった。

事故で失った片方の靴
水玉が髪に

家庭教師の青年はみんなと助かるために他の乗客(他のこどもたちも)をかき分けて前へ進む。
我が子の命だけでもと沈没する船に残る母親たちは涙を流して見送る。その光景に家庭教師の青年は本当の幸せとはなんだろうと考える。
そして二人の姉弟を抱きしめて海の底へと沈んでいった。(そちらを選んだのだ)

自己犠牲による人のための幸せ。これを宮崎駿監督は描きたいとずっと心に秘めていたという。それが「千と千尋の神隠し」を生んだ。

家庭教師らが犠牲になったことで救われた命がある。
ここでいう千尋の兄が家庭教師らでザネリという名の友人を助けようと川へ飛び込んで亡くなったカンパネルラである。
ザネリは助かるのだ。千尋が助かったように。
そして千尋はハクを助けるために片道分しかない切符で銭婆の家へ向かう。
これは死の世界へ向かう銀河鉄道のようなもので千尋も命をかけてハクを助けようとしている。

そして宮崎駿監督が書いた歌詞があった。
使用はされなかったがこの詞も物語に添っていて美しい。

「あの日の川で」。曲がついたらどんな歌になったのか。気になります。


「銀河鉄道の夜」はこどもの頃、少し怖くて観られなかった。大人になってから改めて挑戦してみたら、どっぷりはまった。細野晴臣さんが「銀河鉄道の夜」のために書き下ろした劇中の音楽。サウンド。BGMが幻想的で神秘的で、やっぱりどこかこわさもあって。本当のしあわせについて問いかけてくる。

「千と千尋の神隠し」では久石譲さんの音楽がまた違った世界を作り出し巡る命を描いている。

私の読みの甘さがまた露呈し、またか…と自己嫌悪に陥りながらも、どうして自分の本当の名前も覚えていないハクが千尋の幼かった頃からずっと知っていると言ったのか…千尋が川に落ちた話を追求しなかったのか…我が子とはいえ兄の亡くなる原因を娘の千尋が作ったと心のどこかで許しきれない母親の葛藤があの態度に出ていること…

しかも「銀河鉄道の夜」がこんなにも重なることも…

ジブリが深掘りされる理由がわかった。
ゆえに、都市伝説として違った解釈やデマがはびこるのである。
ジブリの「ねぇ、知ってた?」という話は疑って聞いていたが、この岡田斗司夫さんの裏付けされた解説には感嘆するばかりである。
こんなにも緻密に考えられて作られているジブリ映画だからこそ何回観ても面白い。というより、何回でも観られる理由がそこにあるんだなと勉強させてもらいました。
起立!礼!岡田斗司夫先生、ありがとうございました!

(岡田斗司夫さんの解説動画も貼っておきます。今の解説は後半部分です。)

最後に

これほど納得した解説は少なくてまだ興奮冷めやらずではありすが、99.9%である限り真実とは言えないことも理解しております。
宮崎駿監督本人がインタビューや会見でもなんでもいいのですが、その口から「ハクは千尋の亡くなった兄です」と言わない限り100%ではないのですよね…

一日経ってふと思って追記しました。
あくまでも限り無く確かに近い情報として受け止めようと思います。
これを読んでくださった方とまさに井戸端会議を、千と千尋の神隠しについてくっちゃべりたくなったお話でした。
ひとりひとりにそれぞれの作品があるのですから

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