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記事一覧
「タイム・ウォール」山田陽志郎著 読みました
大筋としてはシンプルだ。タイムスリップして歴史に手を加えることで第二次世界大戦の開戦を回避し、その後亡くなるはずの幾多の人々の命を救うこと。開戦のキーマンとなる、とある歴史的人物に関わる計画だ。そして並行宇宙論が前提であり、新しい歴史は、別の世界線となるという。そんな無謀な作戦、計画通りに遂行出来るかどうかなんて、ドッキドキじゃん! スリル満点であっという間に読み終わった。
先の大戦があってこそ、
「宇宙怪獣ラモックス」ハインライン著
宇宙生物と人間が共生している未来、よくある(?)大事件として、ジョンの友達である食いしん坊ラモックスが槍玉に上がってしまうのだが…。
家出少年とラモックスの「エルマーの冒険」的な冒険譚のはずが、話はどんどん宇宙政治的にややこしく、壮大な方向に展開していく。
でかいぞラモックス!かわいいぞラモックス!そして君の正体にびっくりだよラモックス!
大袈裟奥様の証言にウソ発見器がビービー鳴ったり、宇宙人様が
「消えた五人の小学生」大石真・著
ボロボロのふつうの自転車を乗りこなす小学五年生、光太くん。みんな持ってるジェット自転車が欲しくてたまらない。しかしそこは小学生のプライド、なかなか素直に「ステキだね!うらやましいなあ!」などとは言えず、ツンツンした態度をとってしまう。
完全に、よくある小学生の日常である。ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんのグループと、1人外れてしまったのび太の図だ。ここからどうSFになっていくの? だってドラえ
「ハンチバック」市川沙央著を読んで感じたこと
人に薦めたい本かというと、私が普段好んで読んでいる本からするとかなり踏み込んだ内容であるため、気楽に薦められない。でも、少しでも興味を持った人は読んだ方がいいと思うし、感想を知りたい。それほど長くはなく、すぐ読めるし。私は家族と意見交換して、結末の解釈が違っていたから二人揃って読み直すということになった。
怒りを原動力にして傑作を生み出すというのは、よくあることかもしれない。市川さんの場合は怒
「虹のような染色体」夏凪空著 読みました
読み口はライトでも内容はディープで重くないか?
性別を扱っているのが今っぽい題材だなあと。考えさせられるというよりは、フィクションとしての面白さに夢中になるうちに、性別とはかようにも多様であり得る「のかもしれない」、そんな気持ちにさせられる。「かもしれない」が心地よいんだ。わかろうと思ってわかるようなものでもない、繊細なハナシだと思うから。
たまたまツイッターで流れてきた感想文から興味を持っ