「マーブル」珠川こおり著 読みました
主人公の茂果へのイライラが、途中からスッと引っ込んだ。彼氏の朗と喧嘩した場面がきっかけだ。痴話喧嘩ではなく、性的嗜好に関わる繊細な問題についてだった。
茂果はめんどくさい人間だ。視野が狭くて思い込みが激しいコミュニケーション不器用。こういう人、いるんだよな。でもそれって人間らしさだよね。人間離れしたパーフェクトヒーローやヒロインよりもずっとリアル。彼女がふつうの人間だからこそ周りも優しくて、だからなかなか言ってあげられなかった。ついに彼氏の朗が言葉にしたところで、濁っていたマーブルが調和をはじめる。爽快である。
マーブル模様って、混ぜすぎるとグレーに濁ってしまう。茂果の視界が晴れるとき、マーブルは程よいグレーを残しながら、美しいグラデーションに変わったように思う。
茂果の、事実とはまったく違うベクトルの全開妄想とかコミケの描写で、にまにましながら楽しく読んだ。
最後に余談を。なぜ高校生である穂垂は成人のオタ仲間が描いてるものの内容を「特殊性癖のアホエロばかり」と知っていたのだろう、など少々ツッコミたくなる箇所がいくつかあり気になった。
別にフォロー関係は当人たちの自由だけど発信するコンテンツの年齢制限の有無の線引きは特にツイッターにおいては慎重に行いたいところだよなと改めて考えたり。オタ活は楽しいけど面倒くさい、創作側に回るならなおさら、そんな所感だな。
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