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短歌集

19
亜希が詠んだ短歌を集めてみました。 ぜひ作品に触れてほしい。
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#エッセイ

【短歌】少しずつの秋

【短歌】少しずつの秋

少しずつ短くなった蜂蜜を夜に溶かしておやすみをいう

すこしずつみじかくなったはちみつをよるにとかしておやすみをいう

秋がお散歩しはじめてクーラーが少し寒く感じるようになりましたね。

蜂蜜はお日さまのことなのですが、日が短くなってどことなく真夏の陽射しというより、蜂蜜のようなトロリとした甘さが溶けて夜になっていく。

夏は中々に蒸し暑く寝苦しかったのにいつのまにか眠ってしまえる夜がきて心地よい

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玉葱を巡る

玉葱を巡る

ひと匙を求めて掬う 呼ぶマンマ 幼き口に初めての聲

ひとさじをもとめてすくう よぶマンマ おさなきくちにはじめてのこえ

亜希

夜、クルマで通りかかった道沿いにある 建物が気になった。
こどもが被る麦わら帽子のようだった。

円形で、簡素に建てられた建物に 木の十字架が架けられている。
いったい何の建物だろう… 教会だろうか?
意匠は、忘れられず、 心の片隅にあるのに 場所がどの辺りなのか

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公園の池の真んなかにて

公園の池の真んなかにて

波留まり これからもずっとスワンボート漕ぎませんかと 彼は汗ばむ

なみとまり これからもずっとスワンボートこぎませんかと かれはあせばむ

亜希

スワンボートが好きだ。
ふつうのボートを私は漕げない。
以前、妹とボートに乗ったことがあるが、オールで水を切っているだけで、ちっとも前進せず、ひたすらその場をくるくると回転し、
「お姉ちゃんっ!!!」と妹にあきれられたことがあった。

盥(たらい)に

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青豆に春を感じて

青豆に春を感じて

豆ご飯 ラップに包む
ドット柄の営みを愛おしく想ふ

まめごはん らっぷにくるむ
どっとがらのいとなみをいとおしくおもふ

亜希

春を感じると私は、村上春樹さんの
お名前と小説1Q84のことを思い出す。

そして、豆ごはんを炊かなきゃと思うのである。

なぜそうなのかと言うと、
小説の主人公の名前は青豆さんだから。
「青豆」とは変わった名前だなと
思って、以来、忘れられなくなった。

春は、淡い

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おやゆびの使者

おやゆびの使者

くるしいと吐露するきみへ わたしもと伝える指は ハートを染める

くるしいととろするきみへ わたしもとつたえるゆびは ハートをそめる

亜希

体調が悪いとナーヴァスになってしまうのか眠れないことがある。

深夜に誰かと話したくなるが、さっき寝たばかりの家族を起こすわけにもいかず、指でスマートフォンのボタンを探りnoteを開く。

いいなと思うnoterさんのアイコン。
頁に綴られた嘘のない言葉に

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カワウソになら騙されてもいい

カワウソになら騙されてもいい

カワウソになりたいと君がつくのは ただ弱い嘘 折れそうな噓
かわうそになりたいときみがつくのは ただよわいうそ おれそうなうそ

亜希

語呂がよさそうなだけで作ってしまった一首。

四月についた嘘はなぜか許されるような気がする。
きっと不安定な季節と流動的だからだろう。

だれも傷つけないような嘘から一世一代の大嘘まで
小物なのはさり気なく、流されていってしまいそうだし、大嘘も何とかなってしまう

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