見出し画像

学校で「授業のユニバーサルデザイン」を導入して、みんなが理解できる授業を創るー。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

授業のユニバーサルデザイン」という言葉をご存知ですか?

具体的には、

「みんなが公平に使える」

「使い手に必要な情報が分かりやすく理解できる」

「色んな使い方ができる」

「使い方明確で簡単に理解できる」

「使いやすい広さや大きさが確保されている」

などが挙げられます。

教室から飛び出してしまう、読み書きに時間がかかってしまう―。文部科学省によりますと、小中学校の通常学級で、その様な困難を抱える子ども達の割合は推計8.8%となっています。

特別支援教育の視点を導入し、みんなが理解しやすい様に工夫する「授業のユニバーサルデザイン」の重要度が高まる中で、2年前から研究授業のテーマにしている愛知県一宮市の三条小学校があります。

今回は「授業のユニバーサルデザイン」を導入している愛知県の小学校を紹介しながら、この社会福祉を振り返ります。

「授業のユニバーサルデザイン」を導入した学校現場。

三条小学校の小学2年生が国語の授業で取り組んでいたのは「お手紙」という絵本でした。その絵本には、手紙を1度も貰ったことのない「がまくん」と、手紙を出して「がまくん」を喜ばせたい「かえるくん」が登場します。2学期の研究授業ではその絵本から複数の登場人物の感情をくみ取ることが目標でした。

担任の教諭の女性が、手紙の内容が記入された紙を黒板に貼って、子ども達に音読する様に言いました。「君が、僕の…友達?であることを…」。手紙の内容を読み終わると、あちこちから「違う」という声が上がります。教諭の女性は、教科書に書かれていた「親友」をわざと「友達」に変えていました。「がまくん」の宛名の前に書かれていた「親愛なる」という言葉も削除していました。

この変更したり、削除した言葉は登場人物の気持ちに関連する重要な言葉です。誤った言葉を入れることで、子ども達の注意を引き、言葉の相違を考えさせました。親愛や親友は、小学2年生では想像できない子も中にはいます。意味が理解できる児童に発表して貰い、手紙に込められた心情をみんなで確認しました。

物語では、手紙の内容を理解した「がまくん」と、「がまくん」から手紙の感想を聞いた「かえるくん」の二人が幸せな気持ちになります。

児童らには、二人が幸せな気持ちになった理由をプリントに書き出して貰い、ペアを組ませて自分の意見をシェアしました。クラス全体の話し合いには参加しにくかった子が、ペア活動では積極的に意見を出し合う姿もありました。

それ以外にも、教諭の女性は登場人物の気持ちをハートの数で示して心情の変化を可視化し、二人の気持ちを顔で表現する様に促進させる工夫も凝らしました。

理解が早くできる子が授業に飽きない様に、プリントには余白も作り、一杯理由を書ける様にしました。研究授業を終えた後、この研究授業で講師を担当した愛知県名古屋市にある名進研小学校の教諭の男性Aさんが「どうしてではなく、何が幸せだったかを質問すると、回答が出やすくなります」とアドバイスをしました。

三条小学校が「授業のユニバーサルデザイン」を導入したのは、授業中に席を立つなど授業に集中できない児童がいたからでした。黒板の周囲をスッキリさせ、指示や目標を文字で伝えるなど環境も整備しました。

研究初年度の全国学力・学習状況調査の国語では三条小学校の児童の平均正答率が上昇しました。三条小学校の校長の男性Bさんは「困っている子に、ハッキリと理解できる喜びを感じて貰うかを工夫を取り入れてました。子ども達が授業を受ける反応が良くなって、子ども達の表情も変化していきました」とこの2年間の成果をそう振り返りました。

参考:「授業のユニバーサルデザイン」でどの子も「分かる」を目指す 中日新聞(2023年)

「授業のユニバーサルデザイン」に詳しい星槎大学大学院の特別支援教育が専門の教授の男性Cさんは、「教育のユニバーサル」は教室環境と授業、人的環境の3項目のユニバーサルデザインで成立すると説明します。

授業では、

①身近なテーマを用いて自分と結び付ける

②子ども達を惹き付ける

③ペアで話し合う場を設けて理解を揃える

④選択肢やその根拠を子ども達に考えさせるなど方向付けをする

⑤仲間に認めて貰えるきっかけを作り実感させる

の5つのテクニックを導入することで、子ども達の集中度が上がり、指示理解が円滑になる効果が現れた学校もありました。

私の好きな絵本!

この小学校が取り上げたかえるくんとがまくんが出て来る絵本は、私が小学2年生位の頃から大好きな絵本です。絵のタッチやストーリー、物語の構成全てが、小学生で出逢った時から大好きで、絵本のタイトルは忘れていましたが、絵を覚えていたことで、20年近く経って、本屋さんでこの絵本を見つけた時、すっごく嬉しくて、全巻を即購入したのを思い出しました。

小学生の頃から大好きだった絵本が、今「授業のユニバーサルデザイン」という視点で活用されていることは、非常に考え深いです。

それだけ今でも広く読まれる理由が、ここにあるんでしょうね。

私は昔から本を読むことが好きで、読むことが大変だと思ったことはないのですが、活字が苦手だった人もいますよね。「授業のユニバーサルデザイン」があれば、自然と子どもの頃から、こういう子もいるから、配慮しなきゃになるんでしょうね。

自分が昔から本の虫だと言われた位読むことに対して大変な思いがなかった分、大切な気持ちを忘れていたな、とこの記事を通して反省しました。

この記事から、「自分の思いだけで、物事を判断しない」と学べました。


この記事が参加している募集

ライターの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?