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パンクと世間知

 狂人、女衒、ジャンキー、アル中、ソープ嬢、下郎どもに囲まれてなんとか、わけも分からぬままただただ延命をはかるようにして生きて生きて生き抜いているうち、ふと、平穏のみぎわにたどり着く。
 これまではうわんうわん唸る蜂の巣どころか枝の周りにかならず蛇(毒を含む)がうねらうねらしている密林の奥深くにいたのが、ふと、木陰も晴れて私は私の在所を知ったのだ。どうであれ私は田舎者であった(福島在住であった)。
 私は不惑を間近に控えていた。こんなのってないよ。
 なんで何も知らない儘、こんな所にまで辿りついて了ったのであったのか、と安堵と同時にやって来たのは不安や恐怖というと大仰な、うっすらとした違和感といおうか、世界ってホントはこんなだったんだ、というあっけない感じである。
 あー違う違う、世界系とかで売り込むつもりねーから。
 要は脱童した翌朝みてーな感じ。それな。

 しかたもなしにだれも読んだことのない地元(クソ田舎)の作家の評伝を書いたりした。クソみてーな地元新聞社の賞を獲ってお小遣いをもらった。ザマミヤガレ。
 ラーメンブログ(ここ)を書いたりもした。なんとはなしに記事は売れた。読んでくれて本当にありがとう。
 ラーメンを食った。
 納豆も食った。
 台湾の粥を食った。
 記事にして書いた。
 売った。売れた。
 新たな食の新天地をもとめて東京で宿をとると、シャワーの勢いが弱い。
 ああそうか、自分はシャワーが強い、弱い、といったことに気が回るようになったか、そこに不平を抱けるまでの存在になったのか、と感慨もひとしおである。
 あのキングコングの主(ガチガチの狂人の実母のこと。幼年期叔父にレイプされてた。一昨年脳梗塞で倒れた)の住まう密林を抜けて。
 しかし、シャワーの勢いはどうであれ、弱いものとして弱い。
 たしかに「安い値段」順でソートして選んだものの、この宿はそこまでの、底辺宿ではなかったはず。
 ああそうだった、と私はいつものごとくに思った。
 田舎者は都会ではぼられるためにいつも、いる。

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静かに本を読みたいとおもっており、家にネット環境はありません。が、このnoteについては今後も更新していく予定です。どうぞ宜しくお願いいたします。