紅井りんご

小さなデザイン会社でコピーライターやってました。司書資格有。山新文学賞/やましん文芸年…

紅井りんご

小さなデザイン会社でコピーライターやってました。司書資格有。山新文学賞/やましん文芸年間賞小説部門 人賞受賞(中村三春・選)。自由律俳句/短歌/散文/書き出し小説/文芸ヌー。文芸ユニット【午前0時】https://twitter.com/akairingodesuyo

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記事一覧

自由律俳句28

会えない人がカメラロールで笑っている 長いデジャヴが終わった 老犬と並んで光る海を見ている 弾けないギターの埃を拭く 眠れなかった窓に金星

50

変態句2

あの人の空きカン拾って恋は微糖 ジップロックに閉じ込めた匂い 氷口移して絡めた舌が冷たい 脱ぎ捨てた下着探し合う月夜 ラブホ飛びだして出勤の群れに混ざる

40

自由律俳句27

熟れすぎた西瓜の種飛ばす秋空 返ってきた本の8ページ目に栞 傷つくから見ない 明日の自分にゆだねる 最後の花火終わって空虚

26

自由律俳句26

借りた本からその人の匂い タイムラインで見た虹を空に探す 気が狂いそうなほど真っすぐな道 海から帰って床ざらついている 雲がちぎれて月が笑った

45

自由律俳句25

誰にも見せなかった詩を捨てる 目がさめて淋しい夢の余韻 わたしの中に燃え残っていたもの 朝顔が夕方まで 金星が街を見おろす夜のはじまり

36

いちごつみ短歌 5月号 (vol.6)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。 灰色の雨が降る日はいつか見た虹の色さえ思い出せない ♧ 青色の瓦…

43

自由律俳句24

もう会えない人がつけた傷 どこまでも白い曇り空が眩しい 狂ったままの時計と暮らす 独りの部屋に声ひびかせてみる 立ち止まれない春を進む

40

いちごつみ短歌 4月号 (vol.5)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。 屋上のタンクの影がつま先に届くのを待つ 帰りたくない ♣︎ 屋上…

34

【午前0時】いちごつみ短歌 3月号(vol.4)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。 ぐらぐらと揺れる地面の上にいてわたしの心も揺れているのだ ♧ 君…

23

【午前0時】いちごつみ短歌 2月号(vol.3)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。 一面の綿毛を飛ばしそれだけを自分の意味とした通学路 ♣︎ パン狩…

21

自由律俳句23

昨日いた雪だるま今日はいない やりきれない空に薄い昼月 心にも成長痛があると知る 皮ごと食べていい葡萄か迷う サントラまで買ってしまった

34

【午前0時】いちごつみ短歌 1月号(vol.2)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。 絡まったイヤホンコード丁寧にほどくみたいな愛が欲しくて ♧ 丁寧に…

29

2020年自由律俳句 自選五句

27

【午前0時】いちごつみ短歌 12月号 (vol.1)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。 幸せに慣れたくないな コーヒーとココナツサブレ噛んで飲み込む ♣…

25

自由律俳句22

忘れるための海いない君で満ちる 悲しい夢を見せた雨音 ゲシュタルト崩壊をじっくり味わう グラス倒して酔っている きょう着たい服がない裸でいる

33

自由律俳句21

ごみ箱に捨てた感情 結論が出ないまま動く月 すんなり感傷に浸れる雨 同じ服を着た見知らぬ人 果たせなかった約束を数える

23

自由律俳句28

会えない人がカメラロールで笑っている

長いデジャヴが終わった

老犬と並んで光る海を見ている

弾けないギターの埃を拭く

眠れなかった窓に金星

変態句2

あの人の空きカン拾って恋は微糖

ジップロックに閉じ込めた匂い

氷口移して絡めた舌が冷たい

脱ぎ捨てた下着探し合う月夜

ラブホ飛びだして出勤の群れに混ざる

自由律俳句27

熟れすぎた西瓜の種飛ばす秋空

返ってきた本の8ページ目に栞

傷つくから見ない

明日の自分にゆだねる

最後の花火終わって空虚

自由律俳句26

借りた本からその人の匂い

タイムラインで見た虹を空に探す

気が狂いそうなほど真っすぐな道

海から帰って床ざらついている

雲がちぎれて月が笑った

自由律俳句25

誰にも見せなかった詩を捨てる

目がさめて淋しい夢の余韻

わたしの中に燃え残っていたもの

朝顔が夕方まで

金星が街を見おろす夜のはじまり

いちごつみ短歌 5月号 (vol.6)

いちごつみ短歌 5月号 (vol.6)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。

灰色の雨が降る日はいつか見た虹の色さえ思い出せない ♧

青色の瓦の波間に蝶の影ブルーホールを思わせ泳ぐ ♣︎

忘れもの置き場にピーターパンの影 こどもみたいな大人ばかりだ ♧

大人でもジャングルジムを世界から隠れるための基地にしていた ♣︎

真夜中のジャングルジムから見下ろしたあの頃よりも

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自由律俳句24

もう会えない人がつけた傷

どこまでも白い曇り空が眩しい

狂ったままの時計と暮らす

独りの部屋に声ひびかせてみる

立ち止まれない春を進む

いちごつみ短歌 4月号 (vol.5)

いちごつみ短歌 4月号 (vol.5)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。

屋上のタンクの影がつま先に届くのを待つ 帰りたくない ♣︎

屋上でやきそばパンをかじっても川本真琴になれないあたし ♧

「凄いだろ」やきそばパンの腹持ちを熱弁してる兄にただ「うん」 ♣︎

推しの良さ熱弁すると早口になるし周りが見えなくなるし ♧

一人では味わえなかった寂しさが早口な夜加速さ

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【午前0時】いちごつみ短歌 3月号(vol.4)

【午前0時】いちごつみ短歌 3月号(vol.4)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。

ぐらぐらと揺れる地面の上にいてわたしの心も揺れているのだ ♧

君んちは花火大会の向こう側 小走りすれば金魚が揺れる ♣

適切に管理されてる水槽の金魚みたいだ何処へも行けず ♧

補助線を何処に引こうか猫に訊くあくびとあくび背伸びと背伸び ♣

背伸びして文語短歌を詠んでから口語へ変える冷えた親

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【午前0時】いちごつみ短歌 2月号(vol.3)

【午前0時】いちごつみ短歌 2月号(vol.3)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。

一面の綿毛を飛ばしそれだけを自分の意味とした通学路 ♣︎

パン狩りのパンが一面になっていてトングカチカチ鳴らしたら朝 ♧

この夜のこの部屋のこの灰皿に紙屑焼けば朝のよに燃ゆ ♣︎

待つという感覚だけが隙間なく部屋を満たしてわたしをつつむ ♧

脱衣籠ていねいに折り畳まれた青の浴衣がつつむ薄皮

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自由律俳句23

昨日いた雪だるま今日はいない

やりきれない空に薄い昼月

心にも成長痛があると知る

皮ごと食べていい葡萄か迷う

サントラまで買ってしまった

【午前0時】いちごつみ短歌 1月号(vol.2)

【午前0時】いちごつみ短歌 1月号(vol.2)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。

絡まったイヤホンコード丁寧にほどくみたいな愛が欲しくて ♧

丁寧に引き千切ってくマーガレット一片ずつに媚び売りながら ♣

一片の雪わたくしの頬で解け取り戻せないことのいくつか ♧

さようなら取り戻せないこども舌リボン結びが下手な指先 ♣

「指先が黄色いね」って蜜柑食べあなたと笑う並行世界

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【午前0時】いちごつみ短歌 12月号 (vol.1)

【午前0時】いちごつみ短歌 12月号 (vol.1)

※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。

幸せに慣れたくないな コーヒーとココナツサブレ噛んで飲み込む ♣

コーヒーをはじめて知った日の夜に眠れず描いた桃色の象 ♧

柔らかく生まれたてより食べやすくされた桃缶85円 ♣

「完璧な円はないよ」と言う君の少し歪んだパンケーキ待つ ♧

桜咲き開かずのはずの踏切が開いたらまた完璧ぼっち ♣

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自由律俳句22

忘れるための海いない君で満ちる

悲しい夢を見せた雨音

ゲシュタルト崩壊をじっくり味わう

グラス倒して酔っている

きょう着たい服がない裸でいる

自由律俳句21

ごみ箱に捨てた感情

結論が出ないまま動く月

すんなり感傷に浸れる雨

同じ服を着た見知らぬ人

果たせなかった約束を数える