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エッセイ

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2023年3月の記事一覧

川内倫子さん『そんなふう』

川内倫子さん『そんなふう』

 2022年12月26日、恋人と一緒に、クリスマスプレゼントを探しに行った時のこと。
 渋谷の本屋さんで、写真家の川内倫子さんのエッセイ集『そんなふう』を見つけ、裏表紙の言葉に釘付けになった。

 いつか私は母親になるのだろうか。子育てをうまくできるのだろうか。子どもをしんどくさせるのではないか。母親になる可能性を持った身体で生きていることがこわい。
 そんなふうに考えていることを共有しているから

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女性として生きること

女性として生きること

生まれ持った性を、自然に受け入れて生きている人は、
自分の性に対して、向き合う時間を持っている人は、
どれだけいるだろう。

 私は最近まで、女性として生きていることを、嬉しく思えずにいた。

 理由は様々ある。
 妊娠できる身体であること。
 搾取される側になりやすいこと、経済的に弱い立場になりやすいこと。
 
 15歳の頃から5年ほど「私は母の失敗作だ」と思っていたこと、幼少期から人の目を過度

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物語は続く|金銭的自立と金銭的孤立

物語は続く|金銭的自立と金銭的孤立

このエッセイは2022年3月4日開催『月の正夢』で発売されたエッセイ集に掲載されています。

 西村亮哉くんから「月の正夢に向けて、大切な人との気づきをテーマにエッセイを書いてほしい」と頼まれた。
 彼とは、四年前に『物語は続く』と名付けられた企画で共演して以来、お互いが必要だと感じるその時々で関わり続けている。
 彼は、私にとって大切な人で、彼にとっても、私は大切な人だと思う。
 今回は、彼との

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自分を磨くこと、鏡になること

自分を磨くこと、鏡になること

このエッセイは2022年3月4日開催『月の正夢』で発売されたエッセイ集に掲載されています。

 年の初め、君が代のような人と、初詣に行った。神社と富士山が見える海辺の町で、それぞれが用意した話題を思い思いに話した帰り道、話し足りずに入ったカフェで、用意した話題の先にある対話をした。
 その中で、作家として生き続ける人になりたいと思った。

 先日、自分と対話をしながら絵を描く女性と、四時間ほどかけ

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