エピソード#41 介護タクシーの看護師の役割 ~観察、アセスメントの大切さ~
この日は、数日前から 歩行困難になり、 座ることも出来ず、ほぼ寝たきり状態となり、更に二階に居室があるため 病院に通院するのは ご家族だけでは難しいという方の送迎のお手伝いでした。
前日にご家族から直接依頼があり 、 「病院に相談したところ、次の受診日まで待たないで明日にでも来たほうがいい」ということで当社を紹介されたとのことでした。
病状をお聞きし 頭の中で介助方法をシュミレーションし必要な道具を持っていきました。
訪問すると、「足を痛がるので横向きにもなれない。」とご家族に言われました。
骨折しているのか?足は腫れてもなく熱感もなし。少し前に痛み止めの座薬を使ったとのこと。
弊社が考えていた介助方法は まずは布担架での二人介助で二階から一階に降りてリクライニング車椅子に移乗する方法。布担架を敷くのには右側、左側と横向きになってもらわないと敷けません。
私は ご家族に 弊社で考えていた介助方法を説明し、その上で「座薬が効いてくる時間まで 待って、それでも横向きになれないようなら、これから行く病院に電話して 救急隊員でなければ病院に行けないと相談します。すぐにでも受診しなさいという病院の指示での今日は受診なので 緊急性はあると思います」と伝えました。
私たちも よっぽどの事がなければ ここまでのことはお話しませんが 見極めは大切だと 思っています。
座薬が効いてくる時間を見計らって、ご利用者様に「足の指先は動きますか?」と尋ねると 動きました。足首、膝と動き、痛みも だいぶおさまってきたので 再度 手順を説明し、左側、右側と向いていただき、布担架が敷けました。
そして、 男性スタッフと一緒に抱え上げると 利用者様が「膝を曲げると痛い」と言われたため、ご家族に 足が真っ直ぐになるように支えていただき、私の「イチ、ニッ、イチ、ニッ」のかけ声に合わせて、廊下、玄関段差、階段を降りました。その後、無事にリクライニング車椅子へ移乗。
ご利用者様もご家族も私たちも 皆で喜びました。
病院に向かう車内でも 痛みの増強も気分不快なく 、安心しました。
病院には 朝に行きましたが、帰りは夕方。私は痛み止めの効果はもう切れてるだろうな~、帰りは大丈夫かなと心配でしたが、受診して 安心したからか帰りは かなりお話もされて、「庭の畑が見たい」と畑を見るのに、ほぼ座位がとれたので ご家族も私たちもびっくり!
座位がとれれば 車椅子に座ってもらい 車椅子階段介助が出来るので、その提案させていただくと 「座れる」との返事。
リクライニング車椅子から介助式の車椅子へ移乗。
そのまま 車椅子階段介助で二階の居室まで移動し 車椅子からお布団までは 二人介助で抱えて 無事にお布団に寝て頂きました。この日 初めてのお手伝いでしたが、皆、心がひとつになって安全な介助が出来たと思います。
帰りはケアマネージャーさんも合流してくださり、私たちの介助方法を見て 安心してくださったようでした。
このような 難しいケースの送迎をさせていただくたびに、ナースのお仕事をしてきて良かったと実感してます。
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