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inagakijunya
『またこの世界転生』/掌編小説・ショートショート
僕はネズミになっていた。
それもドブネズミ。
おかしい。
大きなトラックにはねられて死んだはずなのに、またこの世界に転生していた。
いつになったら僕は、剣と魔法のすてきな異世界に転生して、魔法の才にあふれた第十王子として自由で優雅な生活をおくれるのだろうか。
この前は焦げた食パン、その前は排水溝につまった輪ゴムだった。
今回はまた生き物になれただけ、ましかもしれない。
とりあえず、腹が減っては戦はできぬ。なにかおいしい食べ物を探しにいこう。
僕は暗い下水道から這い出して、マンホールの隙間から顔を出したところ、高速で走り去るマウンテンバイクにひかれた。
今度こそ第十王子。薄れゆく意識の中で僕は強く祈った。
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