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曖 みいあ
2023年12月3日 22:49
「ハァハァ…。もう、追ってきてないよな?」俺は、一度も後ろを振り返らないまま、ただひたすらシオンを引っ張って…路地を走り回って、人気のない方を選んで進んだ…んだけど。「てか、追っ手がどうこうより…俺たち、今どこにいるんだろ?」俺は苦笑いして、掴んでいた手を離し、隣に立つシオンに話しかけた。俺たちの周りには、いつの間にか建物が無くなっていて。小さな川と、そこにかかる小
2023年11月5日 14:45
「お前に…選ばせてやるよ!」嬉しそうに、そう言うノヴァンの顔を。状況が分からない俺は…ただ、見つめることしか出来ない。(生きる…?死ぬ…?それって…)混乱する俺を助けてくれたのは、「何の説明もせずに…!ほんと”簡単に”、言い過ぎですよっ!」ノヴァンの横に立っていた、サクヤだった。「だって〜。回りくどいの、苦手なんだよな〜。」「いくら何でも、すっ飛ばし過ぎです。…ヨ
2023年11月5日 14:44
「うーん、申し訳ないんだけど…。俺は、”アオ兄”じゃ…ないよ?」そう言って笑う…目の前にいる、この男は…一体、誰だろう?俺は、その全く馴染みのない人物を…じっと、観察してみた。歳は…20歳半ば、くらいだろうか。色素の薄い、白のような、銀のような髪は…無造作にハネていて。ニコニコと、人懐っこい笑顔で、こちらを見ている。そして…やたらと、”真っ黒な”軍服を、着ていて。ホワイトノーブ
2023年11月5日 14:42
「…んっ…。」頭が…ぼーっとする。ここは…どこ、だ…。俺は…。俺は…。ーー『…戻ってこい、ヨウ…。』ーーー『俺は、ずっと…。お前の、そばにいるから。』…そうだ、俺は…あの時…、確かに…。「…ア、オ兄…。」まだ…ほとんど、無意識に。ぽつりと、声に…出してみる。そのまま、少しずつ覚醒してきた頭で…。自分に起こった出来事を、思い返していく。あの時…。ブレイ
2023年11月3日 09:23
(…全部、全部、全部、全部…)「…ヨウの、せいっ!!!」腰まで流れる金髪に、黄色の瞳が眩しい…美しくも、怒れる少女その全身から…濃く、赤みがかった黄色のモヤが、溢れ出す。怒れる少女…ヒマリは、泣きながら…叫ぶ。「絶対に、ゆるさないっ!!!」溢れ出した黄色のモヤは、まっすぐに…漆黒のモヤへ。「…ヒ、マリ…!…ヒ…マリ…!」漆黒のモヤは、ぶつかってくる黄色のモヤを……
2023年11月3日 09:22
「あと少し…、何か、”きっかけ”があれば…。」…これは、誰の声?何を言っているのかは分からないけど……頭に響く、この声を…私は、知っているような…。「んっ…。ここは…?」頭が、妙にボーッとする。気だるい身体をゆっくりと起こし、ゆっくりと頭を振る。(ここは…どこ?)浮上する意識の中、視界の先にある、真っ白な軍服に気が付いた。背中側から見ても分かる、見慣れたその隊服と、
2023年11月3日 09:20
ーーー””ドォォォォオオオン!!””ーーー3回目の衝撃。「ちっ!」今度は明らかに、ブレイズの方を狙って、黒のチカラが、発現された。黒の悪魔の周囲、真っ黒の霧の中から…雷鳴のような音と光が、ブレイズの方向めがけて放たれる。その雷のようなチカラが当たった部分は…まるで、焼け野原のように。木々は焼け焦げ、地面は焦げ付き…偶然にも、ブレイズの避けた先にいた、横たわったままだったヒマ
2023年11月3日 08:51
「くっ…!まさか…ヨウ君も、”禁色”だとは…!しかし、これは…!」凄まじい爆発のあと。何とか体勢を整えたブレイズは、目の前の光景に、驚きを隠せない。濃い深緑色のモヤの中…凄まじい爆音と、衝撃を伴って、溢れ出た”深紅”のモヤが…ゆっくりと、鳥のような形に姿を変えて。そして、”深紅の鳥”は、濃い深緑のモヤに包まれ…融合、していく。だんだんと、鳥は、ただの濃い紅色のモヤとなり…
2023年11月3日 08:49
時刻は、少し遡り…ーーー【黒の再来】まで、あと30秒ーーー「まったく、結局モモナのせいで遅刻だよ…。ほら、2人とも急いで。」「アザミのばかっ!モモのせいじゃないの!ブレイズ隊長から、頼まれた仕事があったからだもんっ!」「まあまあ。私がサプライズで来てあげてるんですもの。きっとみんな、遅刻なんて忘れて喜んでくれるわ。」「…ミチカは勝手についてきたんでしょ。」「うんうん。」
2023年11月3日 08:26
「奥の手、と聞こえたので。用心して、この距離から…。勅令するーーノエル、舞い狂え。」また、あの猛吹雪が、ブレイズの周りを包む。どんどんと、吹雪が大きくなっていく…。…確実に、俺たちを消すために。俺は…アオ兄を抱きしめる腕に、さらに力をこめた。置いて逃げるなんて、できない。絶対に、離さない。最後くらい…俺だって、アオ兄を守りたかった。「アオ兄、ごめんっ。」泣きながら
2023年11月3日 08:25
思いっきり抱きしめたことで、アオ兄の顔が、俺の肩口にうずめられる。「…ふふっ。」アオ兄のかすれた笑い声が、直接、俺の耳から頭の中に響いてくる。安心する、大好きな声…。「ヨウにっ、抱きしめ…られるなんて。いつ…ぶり、だろうなぁ。」苦しそうな呼吸で、でも声色は心底嬉しそうで。アオ兄は、途切れ途切れに、俺の耳元で言葉を繋いでいく。「ごめん、なっ…。ヨウを…置いて、いっちゃうなんて…
2023年11月3日 08:23
「もちろん、ヨウも一緒に。ここで死ぬくらいなら…ホワイトノーブルに、協力するよ。」アオ兄は、明るく大きな声で宣言する。「ア、アオ兄っ!」突然の流れに驚き。勝手に自分の名前も出されて、さらに困惑する。「なんでっ…。」平気で…何の罪もない人も殺せる。そんな組織に…さっきまで、怒っていたはずなのに。アオ兄は、本気で…?「ヨウ…。シゲ叔父さんのことはもちろん許せない。だけど
2023年11月3日 08:22
「話をしている間に、多少回復したでしょうが…。…ここまで、日が落ちている状態では。アオバ君も、もうそのチカラを…十分に発現することは、できないでしょう。」「…それは、お前も…同じだろう?」アオ兄は、負けじと言い返す。「残念ですが…私は少し、”特殊”、なんです。…陽が落ちても、さほどチカラは落ちません。」ブレイズ隊長の左腕が、”いつもと同じように”輝いて…「博識なアオバ
2023年11月3日 08:21
「くそッ!勅令するーーリュウマ、分け与えよッ!」叫ぶような、祈るような…そんな、アオ兄の勅令が、聞こえた。あっという間にドラゴンのリュウマが現れ、「バオオォ〜。」俺の周り一帯に、深緑色の炎を吐く。ーーー炎を受けた周囲の木々や植物は、勢いよく成長し。後ろから走って追いついてきたアオ兄と俺を、すっぽりと覆う、大きなドーム状の盾になった。ーードォンッ!!「くっ。」「って