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小説「黒の悪魔が死ぬまで。」

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伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。 その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が …ある日、突如として、現実世界にーーー誕生した。 さっぱり読める、安心…
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#連載小説

第52話「先回り」

「ハァハァ…。もう、追ってきてないよな?」

俺は、一度も後ろを振り返らないまま、
ただひたすらシオンを引っ張って…

路地を走り回って、人気のない方を選んで進んだ…んだけど。

「てか、追っ手がどうこうより…

俺たち、今どこにいるんだろ?」

俺は苦笑いして、
掴んでいた手を離し、隣に立つシオンに話しかけた。

俺たちの周りには、いつの間にか建物が無くなっていて。

小さな川と、そこにかかる小

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第31話「死を選ぶ理由」

「お前に…選ばせてやるよ!」

嬉しそうに、そう言うノヴァンの顔を。
状況が分からない俺は…ただ、見つめることしか出来ない。

(生きる…?死ぬ…?それって…)

混乱する俺を助けてくれたのは、

「何の説明もせずに…!ほんと”簡単に”、言い過ぎですよっ!」

ノヴァンの横に立っていた、サクヤだった。

「だって〜。回りくどいの、苦手なんだよな〜。」

「いくら何でも、すっ飛ばし過ぎです。

…ヨ

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第30話「三者三様な隊長」

「うーん、申し訳ないんだけど…。俺は、”アオ兄”じゃ…ないよ?」

そう言って笑う…目の前にいる、この男は…一体、誰だろう?
俺は、その全く馴染みのない人物を…じっと、観察してみた。

歳は…20歳半ば、くらいだろうか。
色素の薄い、白のような、銀のような髪は…無造作にハネていて。
ニコニコと、人懐っこい笑顔で、こちらを見ている。

そして…やたらと、”真っ黒な”軍服を、着ていて。
ホワイトノーブ

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第二章(新しい世界):第29話「紅の光の中で」

「…んっ…。」

頭が…ぼーっとする。

ここは…どこ、だ…。俺は…。

俺は…。

ーー『…戻ってこい、ヨウ…。』

ーーー『俺は、ずっと…。お前の、そばにいるから。』

…そうだ、俺は…あの時…、確かに…。

「…ア、オ兄…。」

まだ…ほとんど、無意識に。
ぽつりと、声に…出してみる。

そのまま、少しずつ覚醒してきた頭で…。
自分に起こった出来事を、思い返していく。

あの時…。

ブレイ

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第28話「悪魔はどこへ…」

(…全部、全部、全部、全部…)

「…ヨウの、せいっ!!!」

腰まで流れる金髪に、黄色の瞳が眩しい…美しくも、怒れる少女
その全身から…濃く、赤みがかった黄色のモヤが、溢れ出す。

怒れる少女…ヒマリは、泣きながら…叫ぶ。

「絶対に、ゆるさないっ!!!」

溢れ出した黄色のモヤは、まっすぐに…漆黒のモヤへ。

「…ヒ、マリ…!…ヒ…マリ…!」

漆黒のモヤは、ぶつかってくる黄色のモヤを…

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第27話「すれ違い」

「あと少し…、何か、”きっかけ”があれば…。」

…これは、誰の声?

何を言っているのかは分からないけど…

…頭に響く、この声を…私は、知っているような…。

「んっ…。ここは…?」

頭が、妙にボーッとする。
気だるい身体をゆっくりと起こし、ゆっくりと頭を振る。

(ここは…どこ?)

浮上する意識の中、視界の先にある、真っ白な軍服に気が付いた。
背中側から見ても分かる、見慣れたその隊服と、

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第26話「まだ、足りない」

ーーー””ドォォォォオオオン!!””ーーー

3回目の衝撃。

「ちっ!」

今度は明らかに、ブレイズの方を狙って、黒のチカラが、発現された。

黒の悪魔の周囲、
真っ黒の霧の中から…雷鳴のような音と光が、ブレイズの方向めがけて放たれる。

その雷のようなチカラが当たった部分は…まるで、焼け野原のように。
木々は焼け焦げ、地面は焦げ付き…偶然にも、ブレイズの避けた先にいた、横たわったままだったヒマ

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第25話「どうなっても、構わない」

「くっ…!

まさか…ヨウ君も、”禁色”だとは…!しかし、これは…!」

凄まじい爆発のあと。
何とか体勢を整えたブレイズは、目の前の光景に、驚きを隠せない。

濃い深緑色のモヤの中…凄まじい爆音と、衝撃を伴って、
溢れ出た”深紅”のモヤが…ゆっくりと、鳥のような形に姿を変えて。

そして、”深紅の鳥”は、濃い深緑のモヤに包まれ…融合、していく。

だんだんと、鳥は、ただの濃い紅色のモヤとなり…

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第24話「黒の再来」

時刻は、少し遡り…

ーーー【黒の再来】まで、あと30秒ーーー

「まったく、結局モモナのせいで遅刻だよ…。ほら、2人とも急いで。」

「アザミのばかっ!モモのせいじゃないの!
ブレイズ隊長から、頼まれた仕事があったからだもんっ!」

「まあまあ。私がサプライズで来てあげてるんですもの。
きっとみんな、遅刻なんて忘れて喜んでくれるわ。」

「…ミチカは勝手についてきたんでしょ。」「うんうん。」

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第23話「ついに、迎えるーー」

「奥の手、と聞こえたので。
用心して、この距離から…。勅令するーーノエル、舞い狂え。」

また、あの猛吹雪が、ブレイズの周りを包む。

どんどんと、吹雪が大きくなっていく…。
…確実に、俺たちを消すために。

俺は…アオ兄を抱きしめる腕に、さらに力をこめた。
置いて逃げるなんて、できない。

絶対に、離さない。

最後くらい…俺だって、アオ兄を守りたかった。

「アオ兄、ごめんっ。」

泣きながら

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第22話「別れは1分後」

思いっきり抱きしめたことで、
アオ兄の顔が、俺の肩口にうずめられる。

「…ふふっ。」
アオ兄のかすれた笑い声が、直接、俺の耳から頭の中に響いてくる。安心する、大好きな声…。

「ヨウにっ、抱きしめ…られるなんて。いつ…ぶり、だろうなぁ。」

苦しそうな呼吸で、でも声色は心底嬉しそうで。
アオ兄は、途切れ途切れに、俺の耳元で言葉を繋いでいく。

「ごめん、なっ…。ヨウを…置いて、いっちゃうなんて…

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第21話「放棄したのは」

「もちろん、ヨウも一緒に。
ここで死ぬくらいなら…ホワイトノーブルに、協力するよ。」

アオ兄は、明るく大きな声で宣言する。

「ア、アオ兄っ!」

突然の流れに驚き。
勝手に自分の名前も出されて、さらに困惑する。

「なんでっ…。」

平気で…何の罪もない人も殺せる。
そんな組織に…さっきまで、怒っていたはずなのに。アオ兄は、本気で…?

「ヨウ…。シゲ叔父さんのことはもちろん許せない。
だけど

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第20話「白銀の世界で」

「話をしている間に、多少回復したでしょうが…。

…ここまで、日が落ちている状態では。

アオバ君も、もうそのチカラを…十分に発現することは、できないでしょう。」

「…それは、お前も…同じだろう?」

アオ兄は、負けじと言い返す。

「残念ですが…私は少し、”特殊”、なんです。
…陽が落ちても、さほどチカラは落ちません。」

ブレイズ隊長の左腕が、”いつもと同じように”輝いて…

「博識なアオバ

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第19話「正義の色」

「くそッ!勅令するーーリュウマ、分け与えよッ!」

叫ぶような、祈るような…そんな、アオ兄の勅令が、聞こえた。

あっという間にドラゴンのリュウマが現れ、

「バオオォ〜。」

俺の周り一帯に、深緑色の炎を吐く。

ーーー炎を受けた周囲の木々や植物は、勢いよく成長し。
後ろから走って追いついてきたアオ兄と俺を、すっぽりと覆う、大きなドーム状の盾になった。

ーードォンッ!!

「くっ。」

「って

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