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世界一小さな芸術祭レポートNo2〜扉を開ける〜
この扉の先には何があるだろうと期待と恐怖を感じながらドアノブに手をかける。
何だこれは?青葉荘竹?
文字が一面に書いてあり、ところどころに穴が空いてる。読むとどうやら覗き見パフォーマンスとして行ったものを展示物に変換してあるようだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1684812546518-JC9jqUCXDm.jpg?width=800)
右下)パフォーマンス時のノート
それぞれの体験や「寂しい」「喋りたい」などの欲求を元に背景にはコロナ禍による経済格差の拡大を考えて架空の設定を作り上げる。
架空のアパート青葉荘の¨竹¨に住んでる住人と(隣の¨梅¨に住んでた)孤独死して地縛霊となった派手シャツおっさんとすれ違いの交流を覗き見パフォーマンスとして11/20に行う
どうやら穴から覗くものらしい。
恐る恐る覗いてみた。
ビールの空き缶とタバコの空箱でいっぱいの汚れたシンク、「アイツムカつく」「酒飲むしかない」「誰かと飲みたい」など愚痴やボヤキの数々が書かれた壁、クシャクシャになったパフォーマンス中の写真、恐らく粘土で作られた黒と白の人間らしきもの2体がそっぽを向いている、どの穴から見える景色も退廃的であり、そこはかとなく寂しさに溢れていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1684815940720-pJJYLVj3Jy.jpg?width=800)
(後日調べたらパフォーマンスの事がnoteにのっていた)
穴から目を離して、もう一歩中に踏み込む。
そこは真ん中に座椅子が置いてあり、芸術祭の参加者であろう様々な人物が額にデザインされて壁に貼り付けてあり空間のいたるところに展示物が置いてあった。 そしてそれらが様々な線で繋がっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1684816848932-7WRC2rQ3iN.jpg?width=800)
ドアを開けてすぐのところにこの芸術祭のことが書いてあった。
世界一小さな芸術祭(出会った人と作っていくぜ東京芸術祭)にお越し頂き誠にありがとうございます。
「出会った人と作っていくぜ東京編」を行うにあたりどういうものがいいかみんなで話し合いました。一時は大人の隠れんぼをすることになりかけましたが、冷静に考えてコロナ禍の大勢の人と会いにくい状況だからこそ一人の人と向き合いながら作るのがいいのでは?と思い直し集まってくれた人達に二人一組のペアをつくってもらい、そのペアでなんでもいいので作ってもらうようお願いしました。
そこでできたものをこの小さなミュージアムに集めて世界一小さな芸術祭が幕を開けました。
それぞれの作品を気軽にお手にとってじっくり見て頂けると幸いです。
寺越隆喜
そういう流れだったのか。
しかし大人の隠れんぼとはなんだったのだろう。そっちはそっちで少し気になってはいる。
あたり一面に張り巡らされている線を辿っていくとそれぞれの作品からペアが繋がっている。
先ほどの「青葉荘 竹」という作品もよくみたら線が繋がっていて、どうやら寺越と梅崎信一さんのペアが作ったものらしい。
窓付近に何個か作品が展示されている。
「小川じょうじくんと出会った」という作品なのか?線をたどると小川じょうじさんと國松卓さんの作品らしい。
QRコードが何個も書いてある。
私はスマホを掲げて読みとろうとしたが、どれもうまくよみとらない。どういうことなのだと悪戦苦闘しながら何個目かのQRコードがやっとヒットした。
そこに上がってきた動画はインタビューをしているものだった。恐らくインタビューされているのが小川じょうじさんだろう。二人ともに俳優なのだろう。俳優というものをあまりよく知らない私は興味深く見させてもらった。
![](https://assets.st-note.com/img/1684912247995-x0EBmZZ4dY.jpg?width=800)
(小川じょうじ×國松卓)
隣をみるとpaypay?違うラーメンだ。
線が中華麺みたいに見える。
線をたどると吉田みずほさんと村上かおりさんのペアが作ったものらしい。Ra-MenのQRコードを読みとると何か出てくるのだろうかと思いスマホを掲げてみる。するとTwitterの画面に切り換わり彼女達のラーメン屋巡りにてラーメン好きの村山かおりさんの語録集になっていた。ラーメンにここまで熱をあげれるというのはやはり素晴らしい事なのだろう。
私もラーメンが食べたくなってきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1684912618008-I3FUAJjV4z.jpg?width=800)
(吉田みずほ×村山かおり)
ラーメン食べる時に借りたお金をむーさんに返さなくてはいけなくて、作品づくりを主眼にラーメン食べに行くことになり、その日の楽しかった出来事をまとめたいと思った(吉田みずほ)
続けてその隣には似たような本が二つある。
線をたどるとどうやら吉田みずほさんと山下智代さんの作品らしい。
中をみるとどうやら彼女達の交換日記のようでもあり、詩とイラストの絵本のようでもある。読んでいるうちに不思議と彼女たちのやりとりが物語のように見えてくる。吉田みずほさんの視点と山下智代さんの視点は全く違うのにやりとりを読んでいくうちにそれが合わさる瞬間を感じる。
もう一つも拝見させてもらった。
コチラは見てくれた方に自由に書き込んでもらうための作りになっていた。
今まできた方がいろんな言葉を書き込んでいるのを見て更にこの二人の物語が膨らみを増していくのを感じる。
私はノンフィクションライターではあるがこういう物語の作り方もあるのかもしれないと気づかせてもらった気がした。
![](https://assets.st-note.com/img/1684913838919-ZtZw5HI0xa.jpg?width=800)
(山下智代×吉田みずほ)
吉田さんに手紙を送ろうと思いました。
まだこの企画(出会った人と作っていくぜ東京)でかくれんぼをやることになるかもしれなかった頃、吉田さんが「かくれんぼへ招待するお手紙が届くのはどうか」と提案してくれたんです。
結局、かくれんぼはなくなりましたが、それから私は吉田さんに招待状を送りたいと思いました。
吉田さんなら、きっと一緒に漕ぎ出してくれるに違いないと思って。
果たしてそれは間違いありませんでした。
この作品がここにある、それがすべてなのです
(山下智代)
山下さんからお手紙が届いて、その中に詩の書かれたカードが入っていて、それを「形」あるものとして、届けたいと思った
(吉田みずほ)
まだ作品はあるのだが、私は少しの休憩を挟むために一旦真ん中にある座椅子に座ってみた。上をみると線がところ狭しと張り巡らされている。
ふと座椅子にも線が繋がっているのに気づく。
繋がっている先をみるとドアノブだった。
そうか、私も繋がったのか。
文 中谷計
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