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内面ぐちゃぐちゃの本番前日

次の日のパフォーマンス本番のために3人で稽古するために野田浜へレンタカーで向かう途中kさんが具合が悪いと言ったので、この日は急遽稽古をやめてkさんにはゆっくり休んでもらい、おれと樋口さんはチラシをもって宣伝。

仲良くなった喫茶店に行きマスターにチラシを渡してパフォーマンスの事を告げると

「じゃあここで宣伝すればいいじゃん。おれがお客さんと繋いであげるよ」

と有り難い提案をもらったので、それに乗る形で喫茶店に居座りひたすら宣伝。

と同時に違う事も考えていた。

ここ数日kさんの体調が優れない。現にこの日もそうだ‥なんか心配で胸がザワつく。
万が一の事があった場合、島の病院は脆弱だよなぁとかいろいろ考えた、本当にいろいろと。

いろいろ考え、悩んだ、だけど決めた。

連絡して樋口さんを喫茶店に呼び、自分の心境を伝える。淡々と聞く樋口さん。

”kさんには申し訳ないですが、二人でやりましょう”

と樋口さんに伝える。
勿論3人でやりたいのは当然だけど、おれはちょっと怖い。何かあった時に責任とりきれない。

樋口さんはおれの心境を察して了承。

そこから3人のパフォーマンスを2人でやるものに変えるために話す。ひたすら話しなんとなく流れは出来た。

暗くなってきたので、喫茶店から出る。
樋口さんには19時位に3人で集まりましょうと告げる。

泊まっている青木さんの家に戻りみんなを呼ぶ。

”いろいろ考えたんですけど、ここ数日の体調とかを見て今回は樋口さんとおれ2人でやります”

とkさんに告げる。
当然反対するkさん。

”だったらおれたちを安心させる材料を下さい。例えばこういう症状が出た時にはこういう薬や対処法とか”

と立て続けに言う。

「え〜なんでそんなに深刻なの〜」

どこか他人事のkさんに

”勿論3人で当然やりたいですけど、何かあった時に責任とりきれません。だからおれらを安心させる材料がなかったら今回はやめときましょう”

と本気で伝える。

「じゃあ‥‥○○が起こった時は□□で、△△が起こった時は◇◇で‥」

といい始めるkさん。

”□□でダメな時はどうすればいいんですか?”

といいながら、おれは何をやっているんだろうと葛藤していた。自分の企画にわざわざきてくれた人に非常な宣告をして更に追い打ちをかけている。

100%な状態なんてだれもがないのではないか?

誰もが万が一の可能性なんてあるのではないか?

そもそもおれにそんな権利はあるのだろうか‥

対処法を一生懸命話し続けているkさんの姿をみて、

”わかりました、3人でやりましょう”

といっていた。
自分の中で切りかえて、次の日の本番に向けて話し合おうとした時に樋口さんが

「寺越さんちょっといいですか」

と言われて外に出る。そこで樋口さんは感情を露わにした。樋口さんは喫茶店で2人でやる事に決まった時から相当な覚悟をしてここにのぞんでいた。なのにおれは独断で3人でやる方向に戻し、更に樋口さんに一言もなしに次の日の本番に向けて話そうとした。勿論樋口さんも3人でやりたい、ただ彼女の覚悟に対してのおれの配慮のなさに憤っていた。

(余談だけど、この先樋口さんとはいろいろ活動を共にしていくがここまで感情が露わになったのは未だに見たことない)

樋口さんは一頻り言葉を告げ、本番に向けての話しをするために内面を抑えて戻っていった。

おれの内面はぐちゃぐちゃだった。
もう本番の話しなんかしないで酒飲みまくって眠りたいなぁと思った。2人共々傷つけておれは何をやっているんだ。
でも次の日には本番がくる。
話そう、逃げるな!と自分を鼓舞しておれも戻り3人で本番の流れを追いながら話す。

途中で疲れたkさんには体調を優先してもらい寝てもらう。樋口さんと2人で延々と話す。

気づいたら深夜‥なんとか形になった。

樋口さんに再度ちゃんと謝ると同時にそこまで覚悟をもって向き合ってくれた事が嬉しかった事も伝える。

この一連の出来事が彼女を表現者として本当に本当に信用できると直感的に思ったんだと今は思う。

こんなに精神的に追い詰められたのはこの企画始めてで、おそろしく疲れて気づいたら寝ていた。


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