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面白い本、おすすめの本を紹介していきます。
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2021年3月の記事一覧

「弱さ」にこそ社会の伸びしろがある

「弱さ」にこそ社会の伸びしろがある

正直に言って、自分を強いと思ったことは一度もありません。

大学生の頃にあさくハマったレイモンド・チャンドラーの探偵小説。その主人公であるフィリップ・マーロウの有名なセリフは

男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない

というものでした。その時はカッコいいなぁと思い、「そんな男に私はなりたい」と思ったこともありましたが、

40も半ばを過ぎた今、「強さ」とか「強味(st

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奴隷根性から脱却するための本

奴隷根性から脱却するための本

「今の政治はひどい」と思っている人は少なくないかもしれません。しかし「そもそも政府なんて必要ない」と思っている人がいたとしたら、これは全然違う話になってきます。

政府なんて必要ないという考え方を、無政府主義(アナキズム)と呼びます。今からおよそ100年前、明治の終わりから大正時代にかけて、このアナキズムの急先鋒と言われ注目されていたのが大杉栄という人です。

個人的には大好きな、この大杉栄につい

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ダラダラしたい時に読む本

ダラダラしたい時に読む本

ダラダラしたい時に読む本というのがあります。例えば寒い冬にコタツにくるまりながらうつらうつらと読む本、あるいは「今日はもう何もしない」と決めた休日にソファでごろごろしながら読む本。

そんな本を考えた時に、今パッと思いつくのが内田百閒の『阿呆列車』です。(「あほうれっしゃ」と読みます)

用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来よ

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ジャズを聴きながら、ある自由人のことを思い出す

ジャズを聴きながら、ある自由人のことを思い出す

今朝、通勤中に(なぜかむしょうに)ジャズが聴きたくなって、“NOW JAZZ BEST millennium”というアルバムを聴いてました。

私がジャズを聴くようになったのは、まぎれもなく植草甚一さんの影響です。この植草さん、一言で言ってしまうとむちゃくちゃ変なおじさんで、映画とジャズと古本(特に洋書)をこよなく愛し、コーヒーが大好きで、タバコを15分に一回吸うという超ヘビースモーカー。背は小さ

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海外ミステリー小説の楽しみ方

海外ミステリー小説の楽しみ方

大きな書店に行き、少し時間に余裕がある時は必ず「ハヤカワ文庫」のコーナーに行きます。ハヤカワ文庫には翻訳もののミステリー小説が多く、私はこれを読むのがこの上なく好きです。

外国のミステリー小説は、読む人と読まない人にきっぱり分かれます。それは以下の3点の理由によるのではないでしょうか。

① 登場人物が多過ぎて、誰が誰だか分からなくなる

② 外国の文化や習慣が微妙に理解しづらい
③ 時間を置い

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