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ADHDの私は、あの失敗があったから今がある。


ADHD_noteです。

今回は『失敗があって今がある』ということについて書きたいと思います。


私は、不注意と多動衝動性の両方の特性を持つADHDの当事者です。

今でこそ私は、『対人関係が得意』という自負があります(20代の頃、まだ自身の障害について診断がされていないときに、プライベートでも、仕事上でも複数の人たちから対人業務や接客で高評価を受けたことがありました)が、それは、幼少~中学時代にかけて、多くの失敗があったからです。


たとえば、私が幼稚園~中学1年のころ・・・

・動きたければ親や先生の指示に従わずに立ち歩く、ふざける

・ところ構わず大きな声で話す。

・思ったことは、すぐにその場で言う。

・気に入らないことが起こると、かんしゃく(怒り)を起こす、わめく。

 さらに、、、

・友人などを叩くなどの攻撃をする。

・ガラスを割るなど、ものに当たって破壊するなど・・・。


お恥ずかしい話ですが、これらは実際、私の幼稚園くらいから中学1年くらいまでの実話です。

実は、これらはADHD(特に幼少期から小学生、中学生くらいまで)の患者に多く見られる症状です。

一見、「そんな子供は、たまにいるでしょ?」とか、「あ~、知り合いにもいたよ、短気で喧嘩早い同級生が」という感想をお持ちの方もいるかもしれません。

また、「そんなことが障害?」と思われる方もいらっしゃると思います。


でも冷静に考えて見ると、先に挙げた症状を、もしも高校生以降、社会人になって、30代、40代、50代あるいはそれ以降になって行っていると考えたらどうでしょうか?

高校生を超えれば、さすがに ”あり得ない” ことで、場合によっては補導や検挙の対象になります。

それでも、「それはそうでしょう。高校生にもなればわかることでしょ?」と思う方もいらっしゃると思いますが、それは「健常者の発想」「健常者の視点」だからです。


ADHDがあるにもかかわらず、見逃されるなどで、中学生頃までに適切な対処(あるいは痛い思い)をしない限りは高校以降、成人期になっても同様の症状が続くケースがあります。

※高校生以上の年齢になって、同様の症状が続いている場合、既に”二次障害”など、他の精神疾患が併発、合併している可能性があります。


例を挙げるとすれば、
・休日のショッピングセンターなどで家族や店員に怒鳴っている人
・「あおり運転」などの迷惑行為で検挙され、ニュースに出てくる人
・緊急事態宣言中に外でアルコール飲料を飲んで大声で騒いでいる人


あくまでも私の見解ですし、可能性でしかないですが、
上記の人たちは、ベースにADHDという脳機能障害を持っている可能性が高く、さらに青年期までに障害特性に伴う痛い思いをしなかった(たとえば、「気に入らない」ことがあれば、すべて暴言、暴力などを用いて対処し、周囲をねじ伏せた、あるいはそのような言動によって周囲に相手にされなくなり社会に適応できなくなってきた(社会性を失った)など)、あるいは、適切な治療なりを受けられなかったため(親や教師、友人や地域の人たちが「発達障害などの精神疾患」に対する知識、理解が無く、見逃されたため)、症状が具現化したということが考えられます。

上記の事例をADHDの症状に当てはめると、

・怒りが抑えられない
(ADHDの人は、大脳のコントロールがうまくいかないため、気に入らないことなどがあるとすぐに怒りが最高に達するということがあります。そのため、”休日のショッピングセンター” や ”区役所、市役所の窓口” など、ところ構わずに怒鳴り散らすと考えられます。)

・我慢が出来ない
(幼少期から、学校や公園で順番を待てない、遊びやゲームのルールを守らないケースがあります。上記の例で言えば、「渋滞」や「前に走る車」は「行列」と同じく、「自分の前に立ちはだかる(自分の行動を邪魔している)人」という歪んだ見方をして、危険(違反)な追い越しの仕方をする、車間を詰める、クラクションを鳴らす、幅寄せをする、怒鳴りつける、物を投げるなどの攻撃的な言動(いわゆる「あおり行為」を行うと考えられます。)

・依存しやすい(アルコールや人間関係に依存しやすい)
上記の様な言動もあり、徐々に人間関係が崩壊、ひいては破たんするケースがあります。そうなると、新たに知り合った人に対して「逃すまい」という感情になったり、アルコールなどに依存して現実逃避したりするようになります。(※実は、私が以前働いていた職場にこのような男性がいました)

と、以上のようなことが考えられます。


ただ、ここまでくると、もはや「ADHD」というよりは、やはり、当事者自身の自己理解の不足や周囲の人たちの理解が無かったばかりに、他の精神疾患(双極性障害、パーソナリティー障害など)を発症してしまっている状態(ある種の二次障害)と言えます。



私の場合は、中学の頃に「あ、こういう言動をしていたら、周囲と上手くやっていけなくなるな」とか、あるいは、成人してから、自分自身の障害特性(性格傾向など含め)自己理解に努めたことで、そこまで人間関係に問題が表出することも少なかったのかと分析しています。


そもそもADHDは、精神疾患に分類され、脳機能特性(脳の感情をコントロールする部分(物質)などがうまく働かないことによること)で症状が起こっている可能性が非常に高く、ある意味で自分自身で制御できない ”障害” です。

概念で言えば、「病気」と思えなくもありませんが、正確に言えば、『病気』では無く、『生まれつき(先天性)の障害』です。

先天性の上下肢欠損や、耳が聞こえないといった「身体障害」の方たちと同様に考えて、それを『病気』というかどうかという話です。

もちろん、服薬や行動療法など、対処法は複数ありますが、効果がみられないことも多いです。

そのため、私のように、いろいろな失敗を数えきれないほど経験することで、「社会」というものを知り、健常者と同じかそれ以上に『障害の部分が目立たなくなる(=適応する)』という事はあります。

しかし、薬を飲んでも、専門的な訓練をしても、生まれつきの脳の機能自体=『障害の根本』は生涯変わりませんし、一見適応しているならいいと思われがちですが、”過剰適応”というまた別の障害が発生することがあります。

「過剰適応」をすると、無理して頑張っている状態が続いている状態となり、うつや適応障害をはじめとした精神疾患、ひいては、過呼吸やめまいなど身体的症状が発生し、ひきこもりなど社会生活を送れなくなることがあります。


本田秀夫医師は、「発達障害のある人は、生きているだけで”過剰適応”の状態です」と、講演でも述べられています。


・・・と、ここまでADHDのマイナス面ばかり挙げてきましたが、朗報もあります。

起業家や発明家の中にはADHDの人が多いと言われることがあり、ADHD(特に多動衝動性)がある場合に、発想力や行動力を活かせる ”特定の環境” では、特性がプラスに働くこともあります。
※ちなみにこのように特性を活かして仕事をしたりする場合には、『障害』は発生しておらず、病院にかかることもないため、ADHDと診断されることはありません。

逆に言うと、なぜ「発達障害」の診断をされるかと言えば、「障害」によって、日常生活に支障を来たしていると状況が生じているためです。

たとえば、ADHDで不注意特性が多い人が「一般企業の総合職」などに就いた場合、障害特性によって、ほとんどの業務を行うことが出来ないでしょう。そのため、適応障害などの二次障害を起こして心身を壊し、病院にかかるから、というのが理由です。

このようなことを防ぐためにも、子どもの頃から、成人後の就職先まで、自分の特性に合った環境を選ぶことで、「健常者」の人たちよりも圧倒的な成果を上げることが出来ます。

逆に言えば、その人の特性で得意なこと、たとえば対人業務が得意なことが多いADHDの人であれば、『営業』や『プレゼン』『企画』などが考えられます。

しかしそれも、自分自身の特性をしっかりと理解して、失敗を数えきれないほど積み重ねることでわかることが多いものです。

※実家が自営業だったり、体格や身体能力、運動能力に恵まれていてスポーツの道に進んだといった、偶然自分の特性に合った環境に身を置いていたという人は相対的に少なく、運がいいケースだと思います。

確かにできるだけ失敗は少ない方がいいと考えることはあると思いますが、私自身の経験としてお伝えしたいことは、

『失敗があったから、今がある』

という事です。

実は成人してからも、ADHDの特性と見られる失敗が原因で、疎遠になった人も何人かいたり、仕事でも何度も失敗をしました。

しかしながら、そういった失敗を、繰り返し繰り返ししてきたからこそ、今があります。(仕事選びで失敗したなどの影響でADHDが判明したため、失敗したこと自体は良かったと今は思えます。)

長々と書いてきましたが、今回の記事は、特に発達障害のある人に対して、当事者として伝えたいことをお伝えしました。

是非参考にしていただけたら幸いです。


ちなみに画像は、失敗があるから、成功がある的な画像。

Marc AによるPixabayからの画像

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