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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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#冬

ライドインマイボディ

乗って走行
シンクロ率は100%
メンテナンス次第で縦横無尽
吐く息は蒸気
白い煙は
前へ後ろへ遠ざかる
屁がなる
ぶっぶっと
自家中毒
穴から穴へ
空気を串刺し
吸って吐いて
ぶほぶほ
鳴らしてエンジン
浮遊
目の前の雲を掴んで
空へ飛んでいった

アニョハセヨ
なんにせよ
巡ることって
巡礼なんだよ
人に何かを強制するくらいなら
共生したいと願う
警報級の雪が降るぞと
注意喚起の声が重なり合う
2月のある夜
シネマのような結晶が舞っていた

衝動的犯行に及び

衝動的犯行に及び

バケツの水が凍っていて上辺に円盤が浮かんでいたふんとフリスビーみたいに投げれば重さで遠くには飛ばず落下する手は冷たい割れて溶けて何も残らない衝撃的な犯行これって無意味ですか?意味なんてなにもないなんか投げたかっただけだ現実に氷に触れた濡れた手の冷たさだけが真実だ

ホイップはやわらかい彫刻

ホイップはやわらかい彫刻

年越し前夜から降り出した
可愛げのない雪は
年明け早朝の街を無慈悲な質量で
覆い尽くしていた
白って眩しい
銀世界は
自分という輪郭を強調する
動いたら
動いただけ
myroots
連なる
何処までも
いずれ溶けて無くなる
手触りだけは記憶に残る
足跡は
増えて増えて増えて増えて
踏まれて踏まれて踏まれて踏まれて
自分だけだった冷たさに体温が宿った

頬が赤くなる
恥ずかしさからでも
ときめいたわ

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行進は深夜のペンギン

行進は深夜のペンギン

深夜11時

濡れた路面が

凍りだした

夜の街から

家路を急ぐ

人の

人の

人の

歩き方は

雪国



雪の日の

自然と身につける

歩き方で

ペンギンランナウェイ

急がず慌てず

少しづつ

前へ前へ前へ前へ

冷たい自由帳

冷たい自由帳

はぁあ

息を
吹きかけて
作った目の前の
自由帳
歪んだ
滲みのような
白紙に
結局何も
書けない
描けない
やがて
白紙は透明に
透けて見えなくなる
眩しい朝日
自由は
描けない
自由は
描きたい
意思に宿る
なんて
寝起きの人間の
寝ぼけた頭の片隅の
戯言
おはよう
靴紐を結ぶのさえも億劫だ