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#4. シマウマと人間の違い 〜不安のスイッチON-OFFの科学〜

未曾有の大豪雨やコロナなど、何かと予測不能な出来事が多発し、不安や悩みを抱える方も多いと思います。人間はこういう時、不安や悩みにどう向き合うのがいいのでしょうか? というお話です。 

シマウマは踊り、人間は悩む

「なぜシマウマは潰瘍(ストレス)にならないのか」という本(Sapolsky, 1994)があります。

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この本によると、「人間は、脳を発達させて言葉を操れるように進化した結果、未来を予測したり、過去を思い出したりできる。だけど、シマウマはそこまで進化していないので、未来や過去を考えないので悩まない」だそうです。

私たちが悩んでいる時は、変えられない過去を振り返って「あの時、こうしておけば・・」とか、見えない未来を不安に思って「これから先、どうしよう」とか・・まさに、「心ここにあらず」ですよね。

こんな時、私たちは、不安スイッチをONにしたまま、知らずに身につけたお得意のあの手、この手を使って、「不安をなくそう、悩まないようにしよう」とします。どんな方法があるのでしょうか? あなたにも当てはまるパターンがあるかもしれません (Harris, 2008)。

逃げパターン1:隠す、逃げる

不安が強くならないように、「見なかったことにしよう」「嫌な人・物・場所・状況から離れよう」とする。画像2

逃げパターン2:気をそらす

不快な気分や思考に浸らないように、気分転換して他の行動にでる。例えば、ショッピング、喫煙、やけ食い、夜どおし動画を見たり、ゲームしたり。

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逃げパターン3:感覚を麻痺させる

お酒を飲みすぎたり、睡眠薬などで寝過ぎたり。叱られたり、嫌な思いをしている時に、ただ白い壁を見つめて、嫌な話は右から左に・・・とか。

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ひと休み

このほか、逃げないで戦うパターンもいくつかあります。(これは次回)

「逃げるが勝ち!」「え、これの何が悪いの?」「ストレス発散になっていいでしょ?」と思いませんか?

そうなんです! 短期的には、結構使える戦略なのです。長期的には、どうでしょう? ずっと続けると、カラダに害のある戦略もありますよね。いつもやけ食いしてたら肥満になるし、ゲームしすぎ、お酒の飲み過ぎも・・とか。

戦略を使って、なくそうとしていた不安や悩みは消えますか? いつもこの戦略が有効なら、人間は簡単に不安や悩みを解消できていますよね? そんなに長いこと、悩まなくていいはずですよね? そんなにいつも不安にならなくていいはずですよね?

ここでウッカリしているのが、不安のスイッチをONにしたまま、あの手この手に出ていることです。 だから、ストレス発散が、根本的な不安や悩みの解決になっていないことって、ありませんか? では、どうしたら不安のスイッチはOFFにできるのでしょうか?(次回に続く)

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--本記事のイラストは、freepikよりライセンスを取得済みのものです--

Harris, R. (2008). The happiness trap based on ACT: A revolutionary mindfulness-based program for overcoming stress, anxiety and depression. London: Robinson.

Sapolsky, R. M. (1994) Why zebras don't get ulcers: The acclaimed guide to stress, stress-related disease, and coping (3rd ed), NY: St. Martin's Griffin





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