外資系生保アクチュアリー

外資系生保で働く部長職のアラフォーアクチュアリー正会員。社会人18年。部長になって5年…

外資系生保アクチュアリー

外資系生保で働く部長職のアラフォーアクチュアリー正会員。社会人18年。部長になって5年目に突入。

記事一覧

ワンちゃんの旅立ち

2024年2月13日の朝、僕はこれまでの人生で一番悲しい出来事を経験した。最愛の存在だった愛犬が旅立ったのだ。noteのアイコンにしているこのワンちゃんだ。2013年4月、保護…

経済価値ベースの生命保険負債評価におけるTVOGの理論と実務、その勘所

0. はじめにTVOGとは、Time Value of Financial Options and Guarantees (inherent in Life Insurance Products)の略で、日本語だと、(生命保険商品に内在する)金融「オプ…

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読了後の感想〜花津谷徹氏著「生命保険の数理:古典論から経済価値評価まで」を読んで

著者の方とは何度か話したことがある程度だと記憶しているが、たしか、私がまだ若手の頃、アクチュアリー会のセミナーに参加して、保険負債の経済価値評価に関するプレゼン…

【自分解釈】保険会社のERMについて-あるアクチュアリーの国内生保・外資系両方での実務経験から

以下は、自分の仕事上の経験を思い出しながら、何らかの文献に頼ることもなく、ひたすら自分の記憶の糸をたどり、それを頼りに書いていますので、若干正確性に欠ける可能性…

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責任準備金対応債券と保険会社のALMについて

以下は、個人的な意見であり、所属会社の見解とは無関係です。 さて、単なる個人的なメモなので、定義や教科書的な記載等は省略するが、以下の略語を使用。 満期保有目的…

評価される仕事のための50のヒント〜ひとりの生保アクチュアリーの体験から

今回この記事では、自分が仕事に向き合う際に意識的あるいは無意識裡にしていることや、こうあるべきというマインドセットをまとめました。 巷に溢れるアクチュアリーに関…

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自分のアクチュアリーとしてのキャリア備忘録

さて、3年前に書いたここまでのアクチュアリーとしてのキャリアについてが、(一部で)ご好評をいただいているようなので、また、少し古い内容でもあったので、ここにアッ…

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アクチュアリーに必要なコミュニケーションスキルについて

いまさら感のあるテーマなので、他の方が語ってきたことと多分に重複しているとは思いますが、自分のこれまでの経験(数々の失敗体験を含む)から思ってきたことを自分の言…

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外資系生保アクチュアリーのコンピテンシーについて

外資系生保アクチュリーとして、ある程度上の立場に立つor立ちたい人に求められる能力について(アクチュアリーに限らないですけど)、以下、自分の経験に基づき私見を述べ…

アクチュアリーは取る価値のある資格か(2021/1/3に書いて投稿せずに温めていたものです)

アクチュアリーを選択肢のひとつとして考えている理系大学生には知りたい内容かもしれません。ただ、最初に元も子もないことを言ってしまうと、ここにその答えはありません…

ここまでのアクチュアリーとしてのキャリアについて(2021/1/2に書いて投稿せずに温めていたものです)

普段はなかなか書く気にならないのですが、年始ヒマなこともあって、私の生保アクチュアリーとしてのここまでのキャリア(約15年)を道半ばですが簡単に書いてみました。今目…

ワンちゃんの旅立ち

ワンちゃんの旅立ち

2024年2月13日の朝、僕はこれまでの人生で一番悲しい出来事を経験した。最愛の存在だった愛犬が旅立ったのだ。noteのアイコンにしているこのワンちゃんだ。2013年4月、保護団体から家族に迎えて約11年、享年推定16歳だった。僕にとっては、どんな時も一緒の、かけがえのない相棒そのものだった。

直前まで元気だっただけに、突然のことでショックは大きく、いまだにまったく心の整理ができていない。もちろ

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経済価値ベースの生命保険負債評価におけるTVOGの理論と実務、その勘所

経済価値ベースの生命保険負債評価におけるTVOGの理論と実務、その勘所

0. はじめにTVOGとは、Time Value of Financial Options and Guarantees (inherent in Life Insurance Products)の略で、日本語だと、(生命保険商品に内在する)金融「オプションと保証の時間価値」という事になる。
この記事は、経済価値ベースの保険負債評価に興味はあるが、あるいは、携わっているが、いまいち勘所がわからな

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読了後の感想〜花津谷徹氏著「生命保険の数理:古典論から経済価値評価まで」を読んで

著者の方とは何度か話したことがある程度だと記憶しているが、たしか、私がまだ若手の頃、アクチュアリー会のセミナーに参加して、保険負債の経済価値評価に関するプレゼンをした際に講評コメントをいただいたり、セミナーの事務局を務めていた時代に話したことがあると思う。私の印象では、アクチュアリー会の中でもMCEV (Market Consistent Embedded Value)推進の旗を振り、リードするよ

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【自分解釈】保険会社のERMについて-あるアクチュアリーの国内生保・外資系両方での実務経験から

以下は、自分の仕事上の経験を思い出しながら、何らかの文献に頼ることもなく、ひたすら自分の記憶の糸をたどり、それを頼りに書いていますので、若干正確性に欠ける可能性がある点はご留意ください。必要に応じて、原典等の裏取りをするようお願いいたします。しかし、その分、自分の言葉になっているとは思います。

さて、ERMという言葉を、今になってあらためて耳にするとき、リーマンショックの少し後、2010年前後に

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責任準備金対応債券と保険会社のALMについて

以下は、個人的な意見であり、所属会社の見解とは無関係です。

さて、単なる個人的なメモなので、定義や教科書的な記載等は省略するが、以下の略語を使用。
満期保有目的債券: HTM (Held To Maturity)
責任準備金対応債券: RMB (Reserve Matching Bond)
その他有価証券: AFS (Available For Sale)

まず簡単なサマリー

 (*) なお

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評価される仕事のための50のヒント〜ひとりの生保アクチュアリーの体験から

評価される仕事のための50のヒント〜ひとりの生保アクチュアリーの体験から

今回この記事では、自分が仕事に向き合う際に意識的あるいは無意識裡にしていることや、こうあるべきというマインドセットをまとめました。
巷に溢れるアクチュアリーに関する情報は、就活や試験対策に偏りがちです。それを否定するつもりはありませんが、私は、これまであまりなかったアプローチで情報を配信することを意識しています。就活や資格試験など、アクチュアリー業務を語るうえで、ほんのごく一部に過ぎないからです。

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自分のアクチュアリーとしてのキャリア備忘録

自分のアクチュアリーとしてのキャリア備忘録

さて、3年前に書いたここまでのアクチュアリーとしてのキャリアについてが、(一部で)ご好評をいただいているようなので、また、少し古い内容でもあったので、ここにアップデート版を書いてみました。当時、今後のキャリア形成はいよいよどんどん難しくなると書きましたが、それから3年経ち、そろそろキャリアの折り返し地点に差し掛かろうかという今どうなのかも以下記載しています。また、これまで携わってきた業務についても

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アクチュアリーに必要なコミュニケーションスキルについて

アクチュアリーに必要なコミュニケーションスキルについて

いまさら感のあるテーマなので、他の方が語ってきたことと多分に重複しているとは思いますが、自分のこれまでの経験(数々の失敗体験を含む)から思ってきたことを自分の言葉で述べます。
なぜこの文章を書こうと思ったかというと、先日、コンピテンシー(外資系生保アクチュアリーのコンピテンシー)について書きましたが、その中でもとりわけコミュニケーション能力が重要だと思う一方、これまでの経験から、意外に重視していな

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外資系生保アクチュアリーのコンピテンシーについて

外資系生保アクチュアリーのコンピテンシーについて

外資系生保アクチュリーとして、ある程度上の立場に立つor立ちたい人に求められる能力について(アクチュアリーに限らないですけど)、以下、自分の経験に基づき私見を述べます。
※外資ならではのものだけでなく、日本社でも当てはまるものも含みます。
※外資と言っても、北米系、欧州系、その他、さまざまなカルチャーが存在するので、以下がすべての外資に当てはまるわけではないです。

いかに価値を生む提案ができるか

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アクチュアリーは取る価値のある資格か(2021/1/3に書いて投稿せずに温めていたものです)

アクチュアリーを選択肢のひとつとして考えている理系大学生には知りたい内容かもしれません。ただ、最初に元も子もないことを言ってしまうと、ここにその答えはありません。ただ、どの資格でも成り立つことかもしれませんが、生かすも殺すも本人次第ということは言えます。私の経験上も、全然生かせていない人、生かせている人両方知っています。では以下本論です。

自分にとってアクチュアリー正会員資格の価値って何だろう?

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ここまでのアクチュアリーとしてのキャリアについて(2021/1/2に書いて投稿せずに温めていたものです)

普段はなかなか書く気にならないのですが、年始ヒマなこともあって、私の生保アクチュアリーとしてのここまでのキャリア(約15年)を道半ばですが簡単に書いてみました。今目指している方、これから目指す方にとってどこまで参考になるか保証はしかねますが、平凡だからこそ超一線級の方のキャリアよりは身近で少しは参考になるかもしれません。

まず、元々博士課程へ進学し数学者を志すつもりだったのを急遽進路変更したこと

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