異文化,批評の眼差し -生誕130年記念 北川民次展[メキシコから日本へ]
8月某日、大阪から名古屋へ。
翌日、名古屋市科学館と、
名古屋市美術館へ。
「生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ」
自画像にはじまる、膨大な点数の回顧展。
1921年メキシコ移住、大戦前に帰国
北川⺠次は、歴史の大変動のさなかを生きた画家だ。
メキシコ時代の作品は、どこかゴーギャンを思わせるような色彩に満ちていた。
日本への帰国、戦争の足音
太平洋戦争開戦前に帰国して描かれたその作品には、当時の世の中の雰囲気が漂っている。
下の解説にもあるとおり、
戦争に対する作家の姿勢が、絵の中に描かれた人物たちの表情、姿を通してストレートに描かれている。
戦後の激動を描く
作家は日本とメキシコの2つの戦後を描いている。
そしてそこには、自分を含めたものに対する批評的な視点がある。
反戦運動と「いなご」
終戦後、今度は反戦運動という別の闘いが起きる。この時期の作品には強くわかりやすいメッセージが表現されたものが多い。
ただ、そうした作家の批評性や政治的な立ち位置を取り除いたとしても、作品のひとつひとつは、作品として美しく、見ごたえがあった。
ここで紹介したのは一部でしかない。それが政治的な主張を孕んでいたとしても、その主張に負けることなく、絵として惹きこまれてしまう作品に満ちていた。それは付記しておきたいと思う。
子どもたちへの教育と絵本
作家は戦後の美術教育に尽力し、絵本も数多く遺している。
社会に疑問を投げかける
しかし作家が目指していた教育の方向は、当時の日本の教育とは真逆だった。最後に展示されていたこの作品は、なんと多くのことを物語っているのだろう。
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