宦官吉日

怖い話というより気持ち悪い話が多いかもしれません

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最近の記事

忽湧 6/28 「誰」

介護士をやっている方から又聞きした、80代前半の男性のお話です。 私の家は区の運動場にありまして。 寝室のカーテンを開けると目の前がテニスコートなんですよ。 もう寝たきりの自宅介護ですから、介護士さんに窓を開けてもらってね、テニスを見るのがちょっとした楽しみなんですよ。 目も悪いのでハッキリとは見えないんですが、耳はまだある程度聞こえますんで、若い熱といいますか、今日も頑張って練習をしているのに元気をもらってるんです。 そんな日が続いた、とある日の夕暮れに。 いつもなら

    • 忽湧 6/27 「義実家の栗きんとん」

      お正月に、夫の実家へ挨拶に行ったんです。 夫は岐阜の山奥の人で、東京から遠くて。 なので毎年一回しかお義父さんやお義母さんと会わないんですよ。 その話を友達にしたら羨ましいとか、うちは姑の方から家に来るからうざいとか、色々言われるんですけど。 私は年に一回の訪問が嫌で嫌でたまらないんです。 いや、別にいびられるとかでは無いんです。 むしろすっごい優しくて。 この前、妊娠したと伝えたら、家に育児セットとか、妊娠中に気をつけることのメモとかが包装されて届いて。 でも。 義実家は

      • 忽湧 6/26 「宙掌」

        取引先の方が面白い話をしてくれたので、脚色しつつ載せさせていただきます。 私が七歳の時。飛行船に乗せてもらったことがあるんですよ。 大きくて真っ白な飛行船。くじらのお腹みたいだ。なんて思いました。 中も広くて、映画でしか見ないような赤絨毯、金色で煌びやかに装飾されたシャンデリア、白いシーツの敷かれたテーブルの上で照ったご馳走。 とにかくワクワクして。ここが楽園なんだ。天国ってこうなんだな。 そう思いました。 ただ、やっぱり人が多いんでね。私は母とはぐれてしまったんです。

        • 忽湧 6/25 「猫のジロー」

          情報提供者: 章博さん 僕の住んでいる区域では地域猫という制度がありまして。 最近だと広告も出てたらしいので既に知っているかもしれませんが、 地域猫というのは地域住民で共同管理する野良猫みたいなものです。 ただね、そのせいで僕、猫が好きじゃなくなったんです。 うちの地域に住み着いてた地域猫は五匹です。 一匹目は白猫のキャサリン。 二匹目は黒猫のウニ。 三匹目はハチワレの若狭丸。 四匹目が茶トラの虎徹。 そして五匹目、キジトラのジローです。 うちの地域では猫が一番懐いた人

        忽湧 6/28 「誰」

          忽湧 6/24 「白い桜と蔵」

          私の友人、Sくんから聞いたお話です。 Sくんの先祖は大正時代の大商人だったそうで。甲府の方にある祖父母の家がすごく立派なんですよ。 古い家ではあるんですが、商人だから質にこだわっていたのか、全然現役で住める家で。母屋だけでなく、蔵、池や大きなお庭がある立派なお屋敷だそうです。 お庭には立派な桜の木が生えていて、この桜が春になると本当に雪のような白さの花びらをぶわあっと広げるのは、もう圧巻だったといいます。 ただ、Sくんが不思議に思ったのは、家にある蔵です。 誰も中に入った

          忽湧 6/24 「白い桜と蔵」

          忽湧 6/23 「探しているアルバム」

          昔、祖父に聞かせてもらって感動したアルバムを探しています。 名前は忘れてしまったんですが、「う〇〇ぬ」みたいな名前だったと思います。 こういった旨の投稿をこの前yahoo知恵袋に書き込んだところ、「アルバム自体はわからないんですけど、探している人が結構いますよ!」って教えてくださって。 どうやら、私と同じようにあのアルバムを聞いたことがあって、それが一体なんだったのかを知りたがっている人がいるみたいで。 今はコミュニティに参加して、一緒にアルバムを探しています。 もしかし

          忽湧 6/23 「探しているアルバム」

          忽湧 6/22 「柊虫」

          今日、散歩をしていたら生垣の柊を触る3歳ぐらいの女の子を見かけた。 お母さんと思われる女性が 「そんなもの触ると危ないよ」と注意したところ、 女の子はいたずらっ子のような笑みを浮かべ、柊を捨て、お母さんの後ろをつけて行きました。 柊の葉の棘は少しツンツンする程度では外皮を突き破ることもない。 私も小学校の頃、好奇心と危ないものを触る興奮でよく触っていました。 とはいえ今はもう触らない。これは大人になったとか、成長したからとかではなく、トラウマからです。あれをまだ夢だと思いき

          忽湧 6/22 「柊虫」