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忽湧 7/8 「倉庫」

中学生の親戚から実話怪談を聞いたので作品にさせていただきました。

夏休みに入る直前。カンカン照りでジリジリと暑いこの日に、彼女は自身の部活である吹奏楽に勤しんでいたようで。
しかも金管楽器のパートリーダーなんだとか。

それで、いざ演奏しようって時に譜面立てっていうんですかね、
あれがなぜか足りないと。

おかしいな、昨日まではあったのに、と思ったそうですが
犯人探しをするのは時間が惜しいですから、
倉庫にある予備のやつを使おうという話になりまして。

で、親戚がとりに行くことになったそうです。

倉庫は誰にも使われておらず、ところどころ錆びついた年代物で。
中に入ると倉庫の中はじめっとしていて、やけに湿度が高かったそうです。

で、譜面台はあったんですけど。それ以上に変なものがあったそうで。
といってもボロボロの錆びたドラム缶なんですけどね。ただ、何か細工がしてあって。

上に変なギミックがあって、こう、上下にゆっくり動いていたそうです。
それで何か、ドラム缶の中のものを潰すような機構で。
彼女はそれを見て、「工場みたいだ」と思ったそうです。

それで、その上下に合わせて、

「うううううううううううう」

と、人の呻き声がするそうです。

そして錆びによって空いた穴からは、
とろとろと白い液体が垂れ流されていました。

ああ、これがあるから蒸し暑いのか、と頭の冷静な部分が考えて、意識が薄れていったそうです。

目が覚めると保健室におり、熱中症で倒れていたところを発見され運ばれてきた、と説明されたそうです。

それで、そのドラム缶のことを話したらしいのですが。
そんなものはなかったそうです。

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