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息をするための

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#言葉

写真は肉眼を超える

写真は肉眼を超える

高校最後の秋、受験勉強のために籠っていた図書館で神社仏閣の棚を眺めていると或る写真と目があった。火花の散るような出会いだった。

撮影者の名は土門拳。写真界の直木賞と呼ばれる毎日新聞主催の賞「土門拳賞」にも名前を残す、昭和を代表する報道写真家だ。

出逢いもともと神社仏閣がなんとなく好きで、そういった写真集をパラパラ眺めることが勉強からの逃避になっていた。しかしその中に一枚だけ目を逸らせない写真が

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言葉の呪力

言葉の呪力

 2016年9月28日から言の葉採集帳というノートを作っています。本、漫画、雑誌、SNS、WEBサイト、テレビ、就活中のメモ帳…身の回りのあらゆる狩場から自分の琴線に触れた言葉を採集して保管するノートです。細々やってきて、今は二冊目になります。

 「言霊」というだけあって、人の思いが乗った言葉は凄まじい情報量を孕んでいます。話し手の主張・思想は勿論、今までどんな言葉に触れてきたのか、どんな人に影

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君のことばに救われた

君のことばに救われた

 初めて「お題」を出発点とするnoteを書きます。

 言葉に救われた経験は沢山あって、中にはそれがなければ今ここに私はいないんじゃないかと思うものさえあります。本や雑誌の一部だったり、歌詞だったり、SNSの誰かの言葉だったり…。

さて、どれを取り上げて書こうか…と考えた時に頭に真っ先に浮かんだのは、サークルの後輩から貰った手紙でした。

 他の誰でもない、私のためだけに紡がれた言葉。そして格好

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狭間

狭間

私は言葉を思考の型押しの枠のように使ってしまっていると、以前「言葉の呪力」というnoteで書きました。その型押しの息苦しさをこの頃強く感じている。そういう話。

ただ今回は、自分の思考の中で言葉を型押しとして使ってしまうことが苦しいわけではなく、
会話の文脈の中で何か言わなければならないこと、まだ形の定まっていない考えや気持ちに言葉による型押しを急いでしまうこと、そういったことが苦しい。

人の悩

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言葉にしたら

言葉にしたら

「ねえ、天国ってあると思う?」
ー天国があるとは思わない。

この文を見て、あなたはどう読み取るだろうか。
私は天国があるともないとも思わない、そもそも天国というものに対する思想が薄い。だから「ある」とは思わない。

けれどこの一文を口に出すとき、まるで天国が「ない」と思っているようだなと感じる。

ああ、言葉から意味が零れ落ちた。

文法的には何も間違っていない。
「あると思わない」は「あると思

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