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役員インタビュー「研究者のキャリアに新たな選択を」 ~研究者編~



※〜企業編〜「企業側の気づいていない可能性を広げる」はこちら↓

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引き続きインタビューは現在A-Co-Laboでインターンをしている藤堂がお届けします。
第二弾の今回は、研究者担当の返町洋祐さんに色々とお話を伺いました!!

A-Co-Labo CAO

取締役CAO 返町洋祐 (Sorimachi Yousuke)
【Twitter🕊】SorienceX

1991年長野県生まれ。筑波大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(農学)。国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)研究業務員として従事する傍ら、2019年から筑波大学発ベンチャーとして株式会社インセプタムを自ら立ち上げ、大学からの装置開発や分析の受託、科学イベントの企画実施、科学教材の製造販売を行う。ライフテーマは「誰もが創造性を発揮できる社会を実現する」こと。


返町さんは研究者の将来が不透明なことに研究者になる上でどう感じていましたか?

科学が元々好きだったので研究は色々なことに手を出していました。自分の場合、ラボの分野の伝統的な流れとは乖離した様なことをかなりやっていました。理系研究の分野では、学際的な分野間の融合的な研究をすると良いという風潮があるのですが、融合した部分は分野としてまだ確立していないから発表もしづらいし、教員の方も上手く対応できないしという感じで余計な苦労もありました…笑」

そうだったんですね...!

「1番悩んだのはマスターの時、化学メーカーから誘いが来て、“これはもう行っちゃって良いんじゃないか”という風にも思ったんですが、今までアカデミアをメインでやろうとしていて不透明な世界ということは理性では分かってはいたんですが、感情的にはここで引き上げるのはなぁ…という想いがありその後もアカデミアの道に進みました。
ただ融合的な研究をする際に割に合わない部分などはあったりもしました。他にも、自分の扱っていたテーマに関して共同開発の話がメーカーから来た時に、結局立ち消えになってしまったこともありました。
業界全体の不透明さに加え、自分が主体的に動けるようにしないとやりたいことが出来ないという感覚が強くなって、他の進路も考えて会社を作るというのも検討しはじめました」

研究者のキャリア相談では具体的にどんな相談がありましたか?

「大学の任期付き研究員の方が、今後どのようなキャリアを歩んでいくのが良いのか、アカデミアに進むのか、企業に入るのか、副業、はたまた起業するのか、、、という話や、博士学生の方でアカデミアに残るのかそれとも就職するのか悩んでる話などがありました」

今後更に相談が来た際は、どの様なお話をされたいと考えていますか?

「同年代か少し下の方だったら私の周りの人の現状の具体例も伝えつつ、加えて自分が大学発ベンチャーを立てたという経験もあるのでその部分のお話が出来ます。一般的に、大学のラボでずっと研究しているとラボでポスドクをして助教になるというキャリアパスしか見えてない人が多いです。国の研究機関だったりとか民間に行ってから大学に戻るということもあるので実体験に基づいてお話が出来ると思います」

返町さんより年代が上の方の場合は...?

「自分より年代が上の人の場合は、実際に自分が見てきた上の年代の人の話をいくつか出来ると思っています。結構ポスドクの多いラボにいましたので。また年齢が近いであろう原田さん(CEO)を紹介してお話を伺うことも出来ると思います。アカデミアの実態を実体験に基づきお話しつつ、実際に自分が見てきたりやってきたキャリアパスの可能性や、方法をご紹介します

研究者と企業を繋ぐ際に気をつけていたり大切にしている点を教えて下さい

「面談の時にいつも伝えているのはA-Co-Laboは研究者フレンドリーなサービスということです。研究者はかなり特殊な業界なので、アカデミアを知る人間でないと分からない様な慣習が色々ありますからね。そういった部分にも最大限配慮できるということを面談時に伝えています。研究者にとって1番良い状態になる様に情報を集めて調整するという点を1番気をつけています」

CICで撮影した写真
今までプロジェクトに参画してきた研究者はどんな分野を研究されている方ですか?

「酵素を作っているメーカーから科学教材を作れないかという話を頂いたことがあります。そこの酵素を使って教材を試作してみたり、ドローンを使った教材を作りたいという話を受けて教育系の素地のある人を当てたりという感じで生物と教育系が今の所多いですね」

期間や報酬はどの様に決まるのですか?

「報酬はケース・バイ・ケースではあるんですが….A-Co-Laboの課題の一つがそこでもあるのですが、逆に使いやすいところでもあると思っています。基本的には先方の課題を聞いて、後は規模などを色々考えた上でどのくらいの報酬になるかを内々で考える形ですね。それに加えてプロジェクトの期間と研究者の人数の掛け算で最低このくらいのにはなるかなという風に見積もりを出すという流れです」

期間はどうですか?

「期間に関しては変動しやすいです。実際に肥料を作っているメーカーから、肥料の効果が本当にあるのか検証する研究計画を立てて欲しいという話が来ました。話を進めていく中で先方が専門家じゃないが故に簡単だと思っていたことが実際依頼された通りにやってみるとかなりの時間と研究者が必要なことが分かり、お金も跳ね上がるという例もありました。期間にしても費用にしてもしっかりと話を聞きながら決めていくという形です」

具体的に今まで研究者から頂けた声はありますか?

「面談の時には弊社のサービスに興味あるという様な話を頂けたり、アカデミアだけでやっていく閉塞感は自分も感じるから協力したいという声を頂いてます。プロジェクト終了後は楽しかったという声もあれば時間に報酬の割が悪いという話もありました。ただ、これはいつも手伝っていただいている方からのご意見なので、嫌味とかではなく率直に割が悪いということかと思いますので何とかしていきたいと思っています..笑」

研究者同士の交流は頻繁にあったりするのですか?

「7月の半ばにオンラインで20人ほど集まり交流会がありました。参加した研究者は20名で自己紹介から始まりました。
前半は3つのグループに分かれて割り振られたテーマについて話し合いをしました。
テーマはそれぞれ別で、
1つ目のグループは
【A-Co-Laboのビジネスを考える】
2つ目のグループは 
【研究者同士の交流を考える】
3つ目のグループは
【社会に向け活動する】です。

1つ目のグループでは、ディスカッションの場をマネタイズしたいというのと、繋がる場としての価値を提供できないか。またオンラインでも雑談がしやすい様な環境を作れると良いとのことでした。
2つ目のグループでは、悩みを相談出来る様な場所になると良いという結論と、知人同士の数珠繋ぎでコネクションを広げ、分野の幅も広げたいとのことでした。
3つ目のグループでは、研究に関わる社会的な課題として研究の評価を何に置くかということや、研究者の活躍の場が現状では限られている(例えば、研究費を取る為には大学等に所属していないといけないが、これでは大学外の研究者の能力を活かしきれていない)ということでした。

後半では前半とは異なるグループに分かれて雑談会を行いました。それぞれの参加者の業界(大学、企業、個人、事業主など)での最近のトレンドが主な話題になりました」

その際の研究者の反応はどうでしたか?

「前半後半共に積極的に話題を提供してくれる方が多かったです。普段はなかなか話す機会が無いような話題を話せることを楽しめている方もいました。ただオンラインなので研究者同士が1対1で話して個々に交流するのが難しかったです」

その部分の課題は今後どの様にしていきたいですか?

「現在検討中なのですが、登録して頂いた研究者同士で(あるいはA-Co-Laboに対して)質問や相談が出来る場を作りたいと考えています。ゆくゆくはこのコミュニティに入ることに価値を感じてA-Co-Laboに登録して頂けるくらいのものにしていきたいです」

イベントではIT企業の新規事業の種探しなどを行っていますが、研究者側の反応はどうでしたか?

「楽しんで頂けていると思います。ただ先方が完全にアカデミアの方ではないので、やりにくさを感じるという声があったり、先方がどういうことを求めているのかもっと具体的に提示して欲しいという声もありました。というのも、先方はIT企業でアカデミックな知見がないので、専門外の方に話すという形で研究者にはオーダーしているのですが、企業側の声としてはそれでもまだ難しいという声だったり、“うちの事業にもう少し絡みそうな話が聞きたかった”という意見を頂くことがあります。そうなると研究者側ももう少し最初から事情を教えて欲しかったという部分があるみたいです」

難しいところですね....

「ただこれは私見なのですが、あまり最初に企業の事業に直結する様に依頼してしまうと、研究者の方も“それだと自分は分野違いです”という様になってしまうと思っていて、この辺のバランスが難しいところだなと思っています」

互いの着地点を見つけるまで時間がかかりそうですね....

「そうですね。先程言ったようにプロジェクトの期間や金額も話ながら決めていきます。クライアントが十分な知見を持っていないからこそA-Co-Laboに頼もうとしているのですが、知見がないが故に漠然としたイメージで話が進むので、その時点ではどうなるか未知数という点はあります」

CICにて撮影した集合写真
研究者の方はA-Co-Laboをきっかけにキャリアの選択の幅は広がっていますか?

「現時点では初めたばかりですが、今の方向性ならキャリアの幅が広くなる人が出てくるのは間違いないと思います。例えばプロジェクトに関わった人がその後も企業との付き合いが深くなったり、学生のポスドクが発表した場合にはアカデミアの道とは別に民間とかこういう(A-Co-Laboみたいな)世界もあるのか!という気づきに繋がると思います」

今後どんな分野の研究者にA-Co-Laboを利用して欲しいと考えていますか?

どの分野でも大歓迎です。しいて挙げるならば情報系で機械学習や画像認識とかですね。今需要が多くて、ディープラーニングで何かしたいけど、どうしたらいいか分からないといったご相談があります。そういった時に今の時点では実質的に扱える方が数人しかいないので、十分な対応ができていないという実態があります」

文系の研究者はどうですか?

文系の研究者の方もお持ちしています。この前”IT企業の新規事業の種探し”というイベントを行った時に、オノマトペの分類などをやられている言語学の方がいらっしゃいました。実は(私の専門である)生物よりITと相性が良かったりします。文系の中の結構な数の分野が、企業と組む余地があると思っています」

なぜ言語学の研究は生物学の研究よりIT企業と相性が良いのですか?

「例えば生物の場合だと、生物とコンピューターの相性が良くないです。人間とマウスも全然違うし、大腸菌と納豆菌も違うという所で個別の物しか扱えないです。でも言語学だったら日本語だと全てに共通する何かになり得るのでコンピューターに概念的に考えさせるのは比較的簡単です。マウスを扱ってない人は沢山いるけど、日本語を扱ってない人はあまりいないという感じです。どこかで接点があるという風に考えた時に確率が全然違います」

~感想~
A-Co-Laboが研究者フレンドリーという点は、研究者にとって企業とマッチチングする際にとても安心できるポイントだと思います。理系・文系問わずどんどん研究者のキャリア選択の幅が広がれば、研究者が研究を諦めない社会に近づくのではないかと思いました!
A-Co-Laboが研究者同士の交流の場としても更に盛り上がったら様々なアイデアが生まれそうですね!
返町さん、今回はインタビューでお話を聞かせて頂きありがとうございましたー!   藤堂

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