マガジンのカバー画像

糸を手にしてから織物ができるまで。

41
日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機…
運営しているクリエイター

#名古屋帯

本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染めの作家、梅崎由起子さんの帯を二種制作させていただきました。

本日ご紹介するのは、レース風柄の帯です。

本藍染めは、藍の葉を発酵させた汁に繊維をつけては乾かしを繰り返してその濃度や色味をだす染め方です。

梅崎先生のページ ↓

2月の半ばころに打ち合わせをさせていただいた時の様子もブログに書いてくださっています。

「藍を建てる」と先生がおっしゃっていたのですが、糸や布を染めるまえに、

もっとみる
星と神話

星と神話

今年はとても変化の大きい年で、春の訪れとともに、これまでに経験したことのない「自粛生活」がやってきました。

新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるための対策だったものの、あらゆるところの流通や生産活動が止まってしまったために、私自身も発信の方法を変える意味合いで、このnoteをはじめました。

この『星と神話』と名づけた帯を制作したのは、2019年の年末。

和工房明月の屋号で仕事をするときに

もっとみる
月ごよみ

月ごよみ

私が今暮らしているところは京都市内といえど随分北の方で、京都の観光マップにはみだして、のらないくらいのほどよい田舎です。

20時ころになると周辺は真っ暗。車も人通りもほとんどなく、夜中に気配がするのはけもののものばかりです。

家の裏山には竹藪もあるので、シカやイノシシが草をはみに来たり、春のタケノコの生える季節には、シャリシャリという音がすぐ近くから聞こえてきます。

夏はなんといっても虫の声

もっとみる
『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ

『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ



こちらの写真にある帯は黒の経糸で、2020年の初めに配色して織られたものです。

月明りで光る水面と遠くにたたずむ富士。そのすそ野に広がる峰々を様々な緯糸で表現しています。

月明りが夜を照らし、静寂の中の富士を美しく魅せている風景です。

こちらの帯が、夜の『富士と月』なら、朝焼けに染まるバージョンを配色したい。そう思って、白の経糸にかける糸を探し始めました。

こんなかんじかしら…。と取り

もっとみる