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不思議な文通と最近書いた手紙の話

先週は3人の友人に手紙を書いた。
どうしても文通がしたくて、作家友達・大学時代の友人・フォロワーさんの3人に書いてみた。
文通、というと不思議な思い出がある。

大学時代、大学図書館の書庫6階、奥の席にて。静かな場所で読書しようと座ったが、なんとなく気になって机の引き出しを開けてみた。すると1枚の紙がペラリ。

こんにちは。
よかったら一緒にお話しませんか?

大学時代の謎の文通より抜粋(?)

A4サイズのルーズリーフの上の方にそう書いてあった。シャープペンシル特有の薄さの、可愛らしい丸めの文字で。

その下に何を書いたのか、忘れてしまった。
おそらく読んでいた本を「今読んでいるこの本オススメです。オススメの本はありますか」とでも書いたのだと思う。

そこから謎の文通が始まった。

顔も名前も年齢も知らない相手と1ヶ月に1、2回。オススメの本を紹介し合っては感想を書き、天気についてなどの世間話も書いた。

そんなやり取りは約2年ほど続いた。宝のような学生時代の時間は有限だった。
卒業前に座った席は、いつもより冷たくて。

今日で大学を卒業します。
今まで仲良くしてくれてありがとう。

大学時代の謎の文通より抜粋(?)

そう書き残した。
卒業後すぐに母校とは別の大学図書館に勤め、仕事が忙しくなり、コロナ禍になり、やっと落ち着いて母校の大学図書館に行くと、もうその紙はなくなっていた。

夢のような日々だった。
何故お互い1度も名乗らなかったのか。
何故その紙の写真を撮らなかったのだろう。

後悔しても、もう遅い。

儚く美しい思い出として
心にいつまでも残っている。

そこで、文通仲間を作ってみたくなった。


まずは1番の作家友達に声をかけ、一緒に行った美術館のイベントで同じ便箋を買った。
3種の絵柄3枚の白くシンプルな便箋。

よし試しに書いてみるか。

そう思った数分後には3枚ほど書き終えていた。書いても書いても書き足りない。
作家友達への感謝、どれほど大切だと思っているのか、楽しかった思い出話、今後一緒にしたいこと……。

この筆、さては生きているな?
そう思えるほどスラスラと言葉が溢れ出る。

空白な箇所には絵を描いて。
詰められるだけの想いを“載”せて
1枚の封筒に9枚の便箋を入れて送った。

数枚で終わる予定だったし、下書き用にしてもっと丁寧な字で書くつもりだったのに。
これはこれで思い出になるかな。

昨日届いて返事を書いてくれているみたい。
楽しみだ。

★★
次に、大学時代の友人にも書いた。この友人とは大学1年生の頃から仲が良く、学生時代の4年間でフランス留学、日本国内旅行、映画館や美術館・博物館巡りなど大学内以外でもたくさん遊んだ仲だ。
作家友達宛へ手紙を出すために行った文具店で、お揃いのレターセットを選び、お互いにフランス語の手紙を書いてみた。Google検索しまくった拙いフランス語で意味が通じないといけないので日本語訳付きで(笑)
手紙を書くのは楽しくて文具店全ての階に行けず、2人でずっと手紙を書くコーナーにいた。レターセットを選ぶ時間も、内容を考える時間も、万年筆でゆっくり字を書く時間もゆったりと心地良かった。良き友人関係というのは年月がどれほど経とうとも色褪せず、むしろ濃い関係になるのかもしれない。

貸したマステで封をした手紙が昨日届いた。
お洒落にフランス語で、と言いつつちょっとふざけた内容で文字が笑っている。身内ネタで笑い合える友人との時間はいつも楽しい。

一緒に行った某有名文具店には定期的に行く予定だ。次もまた、あの場所でお互いに手紙を書きたい。その時までにもう少しフランス語を上達させると誓って。アーメン(?)

★★★
最後にフォロワーさん
自分は基本SNS上でどれほど仲良い人が出来ても全てAIだと思うようにしているため、無闇矢鱈にフォロワーと会わない。ただ、このフォロワーさんは同業者の同い年であり、「この美術館一緒に行ってくれる方いませんか」という呟きを見て会う約束をした。

DMで送ってもらった自撮りをモデルに似顔絵を描いてみる。自己紹介と今後もっと仲良くなりたいという想いを何とか1枚の便箋に収めた。お気に入りのシールをペタペタと周りに貼り付けて、住所は書かず手渡しした。

Twitterで話していた時から共通点が多いなぁと思っていたが、同業種に勤めているだけではなく歌や美術館巡りが趣味だという。またいつか会う約束をしてLINEを交換した。

もしかしたらこのフォロワーさんにはもう手紙を書く機会はないかもしれない。だからこそ、初めて会うこのタイミングで書けて良かったとも思う。

☆☆☆☆☆
今の時代は誰でも電波を通した会話が可能で、いつでも簡易的な言葉を届けたい相手に伝えられる素敵な時代だと思う。
でもたまには便箋を選び、
書くときに使う文具を選び、
自らの手で書く言葉を考え、
そっと紙にインクを滲ませるのも悪くない。

クリスマスカードや年賀状、誕生日や結婚式という特別な日だけではなく、何でもない日を書き留めて、普段からの感謝の気持ちを手紙で送る。
何処で何をしているのかも名前も顔も分からない不思議な文通相手との想い出を胸に、徐々に様々な友達を文通仲間へと変えていく。
ということで我が友人よ。
これからもよろしく。

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