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希望の国の海外移住 オランダ保育園13日目

保育園に通い出してから娘はほぼ毎日泣いていた。

保育園に行っても知り合いは勿論いないし、誰ひとりとして日本語は話せない。
泣きたくなるのも無理はない。

「お家にいたい。保育園行きたくない。今日はニッコリできない。」という台詞を毎日100回くらい朝も夜も繰り返していた。
その台詞を耳にする度に父も胸を締めつけられる想いだった。

親の。勝手な。移住計画に巻き込んでしまって、本当に申し訳なく思う。

でもきっとこの苦労を重ねる事で将来英語が喋れるようになれば、父のように社会人になって海外勤務を命じられてもあたふたせずに済む。
そして、有限な時間を言語よりも仕事や友達作りに使って欲しい。
言葉は世界を広げてくれる。
それが我々両親の押し付けがましい願いである。

娘よ、今は耐え忍ぶ時なのだ。

・・・という日々が10日ほど続いた。

そして11日日目。

ふと。

「今日は保育園にニッコリ行けるよ」と言い出したではないか。

随分な変化ではないか。

父としてはそのターニングポイントが何だったのかを探るべく幾つか質問をしてみた。が、あまり明確な答えはない。
強いて言えば、恐竜のおもちゃで遊ぶのが楽しい。という事くらい。

これはもしかして親に心配させないように気を遣った嘘?なのか?
本当はやっぱりまだ保育園に行きたくないんじゃないのか?

疑念が渦巻いた。

だが12日目の朝も。
13日目の朝も。
「保育園好き。保育園行きたい」と言うではないか。

そんな13日目の朝に先生達と雑談をした。
先生達によると、娘の学校生活に特に大きな変化は無いようだ。

ただ少しづつおやつに出る果物の名前を英語で言えるようになったり、お絵描きの授業を楽しんだりと環境に馴染みつつあることは確かなようだ。

そして13日目の午後1時に娘を迎えに行った際に、父は泣きそうな光景に遭遇した。


こちらは学年が1つ上のエリーちゃん。
校庭で遊ぶ際は学年が違う生徒とも一緒に遊ぶことがあるようで、エリーちゃんはうちの娘のことがどうやら大好きで何をするにも一緒にいてくれるし、世話をしてくれているようだ。

この時もうちの娘とのお別れ(と言っても翌朝また会うんだけれど)を惜しんでわざわざ10メートルくらいの距離から駆け寄ってハグしてくれた。しかも熱烈なやつ。

ありがとうエリーちゃん。

私が県庁を退職してオランダに移住すると決意してから10ヶ月。

以下の記事で「今回の海外生活では私には仕事ではなく、娘とバディーとなり毎日幼稚園に送迎する日々が待っているだろう。日本語が通じずに泣いて帰ってくるかもしれない。そんな娘を毎日励ますのが最大の仕事だ。」と当時書いていた。

まさか、13日目にしてこんなに娘を可愛がってくれる友達ができるなんて全く想像できなかった。

娘よ。上出来すぎる。

エリーちゃん。本当にありがとう。

先生達やクラスメイトにも恵まれてきっと娘はラッキーガールだ。
そして、人種差別や偏見など全くない、このオランダにも改めて感謝である。

そして娘よ。
明日からもチャリで楽しく登園しようではないか。我々はバディーだ。

あー、お仕事したい。

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